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スージー・クアトロ 3「バスの座席のグレンミラーとクリフ・リチャード」

ホテルにて朝食を取り、移動日だったと思うが、いきなり背中のほうで、いまでいえばエアプレイだが、ラッパを模した口真似で、グレンミラーのインザムードのさわりが飛び込んできた。
思わず後ろを振り向くと、メンバーたちがそれぞれに管楽器を持っているふりでインザムードの演奏は続く。
そしてこの曲の顔ともいうべきトランペットのタラ―ッのフレーズが出てきたときにはペット部隊は立ち上がり、バスの後席は自分も混ざり、ほぼグレンミラーオーケストラと化していたのであった。
南へ北へ、日本全国へのツアーは続くそんなある日、記憶が正しければ、広島かな。いやまったく当てに出来ない記憶だが、ライヴを終え、スージーらと食事をして一緒にホテルに帰り、エレベーターの前で待っていると、扉が開いて、いきなりクリフ・リチャードが現れた。
クリフ・リチャードと言えば、イギリスのプレスリーと呼ばれ、自分も音楽に目覚めたころに、ヤングワン、サマーホリデイなどのシングルを買わせてもらった世界の大スター。
そんなクリフ・リチャードが目の前に現れ、それは当然に、スージーと話が盛り上がるのは間違いない。
ずっとイギリス人だと思っていたスージーが実はアメリカはデトロイト生まれでプロデューサー繋がりで、イギリスへ行ったのがデビューのきっかけとなっていたらしいことは後で知るのだが、そんなクリフ・リチャードとスージーの盛り上がる会話のなかで、間に挟まれている自分はなんなんだと戸惑うことしきり。
クリフや、スージーの視線がときどき話の流れでこちらに向けられるので、とりあえず作り笑いではないが、カラ返事もどきはかえしておいたそんなあり得ないほどの嬉しい?突然の出来事であった。

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