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シムカ1200Sクーペ②

さあ、次の手を打たねばと思ってる矢先、友人が、フランスの日本大使館に伝手があるので連絡してあげるよと言ってくれて、先方の日本大使館の友人も快く、オレの頼みを受けてくれたらしい。
それはもう大喜び!さっそく問題の一速と二速のギア、及び破損したシンクロリングのカケラを厳重に梱包し、これと同じものを買って、日本に送って欲しいと、フランスの日本大使館へと送ったのであった。
・・・・・・・それから随分と月日は経ち、半年、そして一年になろうかという頃、ひょっとして船便で送ったのかなぁ・・、だとしたら今頃、インド洋あたりなのかなぁ・・と、不安な気持ちを抑えながら、カレンダーと睨めっこする日々が続いていた。
そして、これはやはりもう一度、連絡を取ってみたほうが良いと思い立ち、先方に連絡を入れてみると・・・、
何と!・・・航空便でとっくの昔に送ったとのこと。
じゃ、何で届いていないんだ? これは一体、どうしたことだ!
もう頭がパニック状態のまま、その送ってくれた便名も教えてもらい、航空会社に連絡を取ってみたところ・・・、
これまた何と!!!!! 
赤軍派(正確には日本赤軍)にハイジャックされて、リビアのベンガジで爆破されていたのであった!!!!!!!!!!
確かに、ハイジャックの話は知っていた。しかし、その飛行機にオレの大事な大事な大事な大事なパーツが入っていたとは・・・・あぁ、何と皮肉なことよ。
資本主義の権化のような車のパーツのことで赤軍派に文句を言うわけにもいくまいし、オレはどこにこの怒りをぶつけたらいいのだと、宙を見つめて途方に暮れていたのである。
(この話は、Tipoという車雑誌に、オレが海に向かって、赤軍派のバカヤロー!と叫んでいる絵で終わる漫画になっている)

※このテキストは、かつて第一興商の音楽ファンサイト「ROOTS MUSIC」に連載されていた文章に、大幅に加筆修正したものです。

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