植物のある暮らし

先日、いつも買い物をするスーパーマーケットの一角にある花屋で、多肉植物を買った。生き物を育てるのは、本当に苦手で、サボテンすら枯らしてしまう。だけど、200円という値段と、イヤイヤ期真っ最中の息子に疲労を感じてか、買った。名前は忘れてしまった。愛想のない店員で、水やりのことを訪ねても、ぶっきらぼうな返答だった。多肉植物なのに、黄色い花をつけていて、そのことにも惹かれた。基本、花はつけないのでたまたまです、と店員はにこりともせず、答えた。花を愛して、人はあまり好きではないのかもしれない、と思って、店員のぶっきらぼうな態度にも嫌な感じはしなかった。

夫は、ひょろひょろと本体から5.6センチ延びたつぼみを剪定したほうが良いと言った。花は低い位置にあるほうがキレイだと。夫に言わせると、わたしは何でも否定的で、だからではないけど、夫の剪定案を受け入れることができない。なぜか考える。わたしは、そのひょろひょろが気に入って、何種類かある多肉植物の中の、更にこの鉢を選んだ。わたしは、この植物に美しさを求めていないんだと思う。美しさよりも、この植物にひたむきさや、癒しや、個性や、強さを求めて、これを買ってきた。生き物は苦手なのに。

上手に育てられたらいいなと思う。うまくいったら、他の種類と合わせて、寄せ鉢なんかもしてみたい。たった200円、何の気なしに立ち寄って買ってきた、この植物に、息詰まった生活の、少しの希望を感じてる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?