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2つ目の病院の小児科は、付き添いも面会も不可。
コロナ禍だから仕方ないが、顔すら見られないのって結構心配。

荷物を届けるために、2〜3日に1回ペースで病院には通うが、お医者さんに会えない時も。
そんな日は、娘の状態は全く分からず帰宅することになる。

私にはどうすることも出来ない。
無力感と再び対峙することになる。

そんな病院通いのある日、ある喫茶店に出会った。
コーヒーの匂いに吸い寄せられて入った。


上の子を産んでからなかなか行く機会の無かった、喫茶店という場所。
そういえば、元々喫茶店でのんびりするのが好きだった。

気さくなマスターが奥にいる常連さん達と話している声を聞きながら、テーブル席でモーニング。
しばらくすると、マスターは私にも声をかけてくれた。

住んでいるのがこの辺ではないことが分かり、不思議そうなマスターに、娘が入院していること、荷物の受け渡しに通っていること、上の子のことなど、掻い摘んで話した。

「お嬢ちゃん」と声をかけてくれたマスターは、私が2児の母である事にびっくりしていて、そんな姿を見て笑ってしまった。

続く病院通いで多少心が張り詰めていたので、マスターとの優しい会話、コーヒーの香りと温かさに、ほっこりした。

この入院中、こちらの喫茶店には何度もモーニングを食べに通った。
その度にマスターは話しかけてくれて、1つの楽しみになった。