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野村証券の株が大暴落している訳

アルケゴス・キャピタル・マネジメントという運用会社が、担保の追加請求(追い証)に応じられず、取引銀行が担保株の強制売却に踏み切った。これにより、一部の国際的な金融機関に多額の損が出た。

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アルケゴス・キャピタルはファミリー・オフィスで、個人の富裕層の運用をしている会社と理解しています。ヘッジファンドだと書いているメディアもありますが、おそらく定義上はヘッジファンドではありません。ヘッジファンドなら、SEC(米証券取引委員会)に登録する義務があり、保有資産、銀行との関係等を開示する必要があります。
一方、ファミリー・オフィスの場合は、このような報告義務はなく、当局のマクロ・プルーデンス政策(金融システム全体の安定性確保の政策)の抜け穴になっていた可能性はあります。一般的には、個人の取引が金融システムを揺るがす可能性は低いと考えられていたため、規制の対象になっていなかった。ところが、今の上昇相場の中で、レバレッジを効かせていたことで運用資産が巨額になっていた可能性はあります。
ただし、アルケゴスのレバレッジ比率が5倍とか6倍との報道もありますが、リーマンショック後の厳しい金融規制が効いており、デリバティブを駆使してもレバレッジを過度にかけることは難しいと理解しています。今回の件は例外的だとみています。ゆえに、足元の株式市場も比較的冷静な反応をしていると思います。

出典:東洋経済

野村ホールディングスの取引が多かった

これまでに出ている情報を総合してみると、モルガン・スタンレー、クレディ・スイス、ゴールドマンサックス、野村ホールディングス、ドイツ銀行あたりの取引量が大きかったのでしょう。そもそも、アルケゴスの運用者であるビル・フアンという人はヘッジファンドのタイガー・アジア・マネジメントで運用をしていたときに、インサイダー取引の問題を起こしていました。ですから、証券会社はそれなりに警戒して審査はしていたと思います。
アルケゴスが特定の銘柄に大きくポジションを張っていて、その下落によって大きな損失が出ることになれば、金融機関としてはリスク管理上の対応を迫られます。一部の証券会社は、流動性のある上場株を担保に取っており、担保株式の価格の下落が小さい局面でポジションを解消したのなら、損失が小さくて済んだ可能性もあります。

野村の対応が遅れた

アルケゴス・キャピタル・マネジメント(英語: Archegos Capital Management)は、米ヘッジファンド、タイガー・アジア・パートナーズの元運用者であるビル・フアンが運用するファミリーオフィス(英語版)である。 2021年3月26日、アルケゴスはクレディ・スイスや野村ホールディングスなどのグローバル投資銀行からの証拠金請求について債務不履行に陥った。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの行った前代未聞ともいわれる規模のブロック取引、アルケゴスの破綻を受けてのものであり、他に先んじてポジションの巻き戻しを行うことで損失を抑えることができたとされる。

出典:WIKI

ゴールドマン・サックスはさっさと売却、モルガンスタンレーも追随し売却したため損害はなかったが、野村は対応が遅れたため巨額の損失を被った。

今後も、同様のことは起きる可能性があり、その場合どこの金融機関でも巨額の損失を被る可能性があります。



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