見出し画像

好敵手への恋文

「たとえば私がせっかく乾かした洗濯物を、またじとーっとしめらせてしまう、こぬか雨のようなんだよね。でも、そうやってこれからも一緒に、日本の布地に風合いを出していきましょう」

1984年、中島みゆきさんのコンサートツアー「明日を撃て!」のパンフレットに、ユーミンこと松任谷由実さんが寄稿した文章の一部である。
同年代の歌手で「恋愛歌の女王と失恋歌の女王」「光と影」「トレンドと我流」などとなにかと対比され、ライバルと目された二人。
冒頭の文章はそんな二人の関係性を見事にあらわした文章で、ライバルという言葉を言い表すのにこれ以上的確な言葉にはいまだ出逢っていない。

前史

さて、私にはcluster上で愛すべき、そして尊敬するライバルがいる。
七種と書いて、ななくさと読む猫である。

ライバルと言いつつも、彼が最初のワールドをアップしたのが2020年5月24日。私が同じ年の11月20日なので半年も先輩であり、現在は来場者5桁という大台にのった大人気ワールドの主であり

私がライバルと呼ぶのはおごかましいのかもしれない。

画像1

過去の写真を遡ったところ、一番最初に写っていたのは、2月13日りおもろさんのイベントであった。まだみんなデフォアバでしかイベントに入れなかった時代。

画像4

画像2

その後、お互い今とは違う姿で出会うことになるのだけど、このころ私は、あきのさんのことを著名なVtuber&イラストレーターだと思っていた。
なぜか。あと、ぴえんちゃん目立つ。

互い違いに

なんとなくの面識はあったが、はっきりと出逢ったと認識したのは、3月末に行われた加速祭のあたり。ワールド制作チャレンジを終えたあたりだった。私がひたすらひよこを量産していたころ。

出逢いの後、私は火星銭湯の増改築

あきのさんは水族館の増改築にあたる

かなりこじつけて言えば、青い水族館と赤い火星。水の中と温水の中。という構図が二人のライバル関係を暗示していたのかもしれない。
私が銭湯のワールド運営をしている頃、あきのさんは水族館の改装にひたむきに取り組んでいた。アニメーション技術が皆無だった私は、動く魚を見て関心し、自分の持っていない技術をどんどん身につけていく姿を嫉妬しながらも敬っていた。

深夜お互いのワールドを行き来しては話をしていたが、二人ともちょうど似たような時期に、ボイスを使うようになる。

バトル

加速祭のワールド制作チャレンジもある意味ではバトルなのだが、本格的なバトルは5月。9191さん主催のCUBEの中の世界再びだった。

画像3

このころは火星銭湯に毎晩人が来てくれていて、特に新しいワールドを作るつもりはなかった。そもそも私はバーチャル写真展がやりたかっただけで、銭湯も気紛れにつくってしまっただけなで、ワールド制作をしていく気はなかったのである。

ただ、アイデアが思いついてしまったのでつくりはじめた。
作る前かあとか、いつだったか覚えていないが、あきのちゃんが上へ上へ
そして外の解放感を出すのなら、私は下へ下へ、あえて狭さを出す。
と思った記憶がある。なので、制作にあたり、なにかしら意識したのは間違いない。プレゼンの際には、ライバル宣言もしている。

かくして、私のほうはもぐらホテル

あきのちゃんはSmall Worldをつくりあげる

バトルの結果としては、空間活用部門で受賞したもぐらホテルが一応は勝利である。
しかし、ワールドにかけるその後の愛情という意味では、あきのちゃんのほうが上であろう。
それを証拠に、9月末現在での来場者数はホテルの倍となっている。
もちろん、来場者数は一個のパラメータでしかなくて、それが優劣ではない。そんなこといったら、かねハウスの来場者数が説明できないのだが。

ライバルという存在

CUBEのあと、私はわりとイベントに登壇するようになる。
一方、あきのちゃんはカメラマンを多く担当するようになる。
ちなみに、このころにはすでに小小的海底世界が公開されていた。

登壇に飽き足らず主催してみたイベント「七夕大喜利in火星銭湯」にて
あきのちゃんにカメラマンを依頼。

続く、写真で日本縦断では登壇をお願いし、思えば初めて同時に一緒のステージに立った。

夏。
最初はピアノステージだけだった小小的海底世界が拡張工事を続ける一方、
私の方は盆踊りへ向けて走り始めていた。
幻想的な海底でワールド制作を続ける猫と、リアル寄りの地上でイベント制作をしていたパンダ。舞台は違えど頑張っているから頑張れた。

ライバルというのは相手の足を引っ張ったり、相手の不幸を願う存在ではない。CUBEのような勝負の場面はあるかもしれないけど、勝ち負けではない。
ただ、たしかに勝ち負けかもしれない。それは、ワールドのクオリティや来場者数争いではなく、彼の熱意に努力に愛に負けたくはない、ということ。

そして、なによりその姿に励まされ、同じ方向を見ている最も心強い仲間であり、時には嫉妬や羨望の対象であり、尊敬でき高めあえる親友。
それがライバル。
あなたがいてくれることが、走るモチベーションになります。
クリエイティブに真剣に向き合う姿勢に賛辞を。
これからも、あなたが乾かしたものを雨で濡らしながら、共に走り続けられたら幸いです。

画像5


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?