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のままで






今日は昔の自分がとても気に入っていた
1冊の本の話をしようと思う

16の頃に見つけたTwitterのアカウント

一つ一つの言葉に吸い込まれたのは一瞬で

意味なんて理解するにはまだ少し早くて
ただ、ほんの少ししか生きていない私には
美学だと思えた

言葉にするのが苦手な自分が
形にするには儚い言葉が羅列されているもので
毎日毎日更新されるのを楽しみにしていたのを
覚えている

そんなアカウントが人気になり本を出した
私はすぐ購入した
デジタルというものは一生残ると言うけど
もう二度と見つけられないかもしれないし
いつ消えるかわからないならと
一生手元に残る紙媒体を

本嫌いな自分が
高揚感に満ち溢れていたのを覚えている
これを超えたものに未だ出会えていない

学校でも家でも毎日読んだ
表紙が擦り切れてボロボロになるまで
でもそんな自分でさえ忘れてしまう
いつしか読まなくなってダンボールの奥底で
眠っていた
本が出て直ぐにアカウントの更新は止まり
本は廃盤
簡単に手に取れる媒体ではなくなってしまっていた

最近またそのアカウントのツイートが
流行っている様で
よく目に留まるようになり思い出した
改めて噛み砕いて読むと
学生の頃とは受け取り方がまるで違くて
あまりにも今の自分にとっては
悲しく鋭利なものだった
でもどこか寂しくて
きっとそんな言葉を欲しがっていたと思う

今となっては
簡単に手に入れられるものでは無くなり
希少な物になっているようで
素敵な物はどれだけ時間が経っても人々から
求められ大事にされる物なのだと思った

もしその本が、言葉が自分だとして
私は誰かの記憶に残り
大事にされるコンテンツになれるんだろうか
こんなことを呼吸の数ほど考えて
引き攣るほど口角を上げた私に
目の前にいるあなたが
向けている笑顔が何を意図していても
もがき続けるのです

そしてその先に私の大事にしているものが
形になり誰かの手に取られ
大事に育てられるように
今日も生きなきゃいけないのです
私の心が死んでもあなたの心が生きるように
生きるのです
私のままで、貴方のままで

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