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[作品紹介]BP-E002 1、2、3、4……/……4、3、2、1、

[注意]
この作品は
右開きで読み始める奇数ページの小説『1、2、3、4……』と
左開きで読み始める偶数ページの小説『……4、3、2、1、』の
二つの部分から成っている作品です。
どちらから読み始めても構いません。



 古い時期の百貨店には、階段にもデザインや客をただ行き来させるだけではないような作りをしていたように思う。
 外の光が通る窓をあしらってあったり、踊り場に腰をおろすための長椅子も設置しているデパートもあった覚えもある。
……

 例えば……売り場が表の客席から見える華やかな舞台の上とすれば、舞台を支える構造やスタッフの往来する舞台裏に相当するものだろうか。

『1、2、3、4……』
『1、2、3、4……』


 売り場の壁面を見ると、けん玉や独楽にビー玉など「懐かしい玩具」の中、四枚の木片が縦に繋がった玩具が目についた。
「変わり屏風」という古い日本の玩具だ。
 一枚に長い棒が付いており、それを握ってぶら下げて、ユキちゃんが見たのを確かめてからヒョイとひねり一枚目を裏返す。
 と、二枚目がパタリと裏返り、交互に真下の木片に当たり裏返してゆく。
 果てしなく木片が降下してゆくように。

『……4、3、2、1、』


『……4、3、2、1、』


百貨店の一階から四階に昇る男の物語(『1、2、3、4……』)と
百貨店の四階から一階に降りる女の物語(『……4、3、2、1、』)

二階ですれ違う二人が四次元の不可思議な図形を描き出す。


[2021年(令和03)01月19日(火)]

==データ==
■形式:短編小説[ネットプリント折本]
■判型:文庫版 8ページ
■本編:約15枚[400字詰原稿用紙]
■初稿:2020年(令和02)11月18日(水)
■頒布 ネットプリント折本

初版:2021年(令和03)01月19日(火)
[詳細: https://pawoo.net/@palomino4th/105583488909688675 ]
二版:2022年(令和04)11月06日(日)
[詳細: https://pawoo.net/@palomino4th/109291958192692432 ]


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