Vol.33「AIの時代に求められる『生身の能力』とは」

こちらは冴沢鐘己 公式メルマガを記事ごとにアップしたものです。
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いろんな分野でAI化が進んできてて、事務系や工業系、単純労働系だけでなく、いずれは文化・芸術部門でも、コンピューターが作品を作る時代が来そうです。

でもまあすでに、アメリカやK-POP、そしてJ-POPでも、ひとりではなく複数のソングライターによって作られたフレーズをデータ化し、マーケティング情報に乗っ取って「ヒット曲の方程式」よろしくパーツを組み合わせた楽曲が作られてますから、いずれまったく人の脳を介さずに次々と曲が生まれるのも時間の問題ですな。

パフォーマンスそのものも数値化されてくると、アーティスト育成もスポーツのように、「ピッチ(音程)の正確さ何ポイント」「リズムの正確さ何ポイント」てな感じで数値化され、最適な強化プログラムに乗っけられて、やがてサイボーグのようなアーティストが登場するのも時間の問題。

あれですよ、大手の回転寿しチェーン店みたい。

この時間帯は子供連れが多いからマグロを流そう、女性客が多いからサーモンを多めに、とかそんな感じで、アーティストをデビューさせたり新譜をリリースしたりするわけですね。

まあ、今までもそんなのはもちろんやってたんだけど、どうしても一部のスペシャリストの経験と勘に頼る部分が大きいでしょ。そこが全部数値化されることで、誰でも活用可能なシステムを組めるようになり、効率的な全国展開が現実となるわけです。

要は、数多くの正しいデータさえ集められれば「大外し」をしなくなると。

寿司屋で言うなら極端な話、料理ができなくても、味の良し悪しがわからなくても、事業を成功させることができるわけです。

そういう事業も、それはそれで面白そうですね。とてもSF的。

音楽やアートのことがわからなくても、とにかく過去と現在のデータを集めてパソコンにほりこめば「売れる作品」が一丁あがり。

AIで美空ひばりが蘇ったとか、AIで手塚治虫の新作ができたとか、時代はそこまで来てるぞ。

すでにスマホひとつでも、好き勝手に自分の顔を加工できるわけだから、もはや「見た目」や「第一印象」などはどうにでもなる時代に入っているのです。

韓国では「人気の顔」目指して競い合うように整形もしてるわけだし。

でもね。

そう、それでもね、人間というのは面白いもので、膨大なデータと潤沢な資金や技術を注ぎ込んで生み出されたものにも満足しなかったりするのよね。

寿司屋でも、安くて美味しい回転寿しは本当に重宝しててじゅうぶん満足なんだけど、それでもいずれは職人が握る回らないお店に行きたい。

そういうお店に行くと、食べたいネタがいつもあるわけではなくて、流行のものもなかったりして、さらにはこっちの食べたいように食べさせてくれるわけではなくて、職人さん個人の判断でオススメを食べることになったりするんだけど、それがいい、となったりするわけです。

人の顔でも、究極のパーツを揃えた美男美女より、ちょっと個性的な顔に惹かれたりするし。

歌もそうよね。

カラオケの採点マシンで高得点を叩き出す人の歌は確かに「うまいな」とは思うけど、だからと言ってお金を払って1時間や2時間のステージを見たいと思うかとなると、それはまた別の話。

CDで録音したものでも、今の時代、音程とかリズムなんて後でどうとでもなるけど、それ自体が魅力となるわけではないのよね。

じゃあ「魅力」って何よ。

AIが束になっても叶わない、生身の人間だけが持つ能力って何よ。

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