Vol.9(11/22) 不思議な人たちが生み出すもの~「第8回 fm GIG アカデミー賞」に向けて

こちらは冴沢鐘己 公式メルマガを記事ごとにアップしたものです。
価格:¥550/月(税込)
毎週 火曜・金曜日(年末年始を除く) 発行予定
形式: PC・携帯向け/テキスト・HTML形式
購入リンク: https://fmgig.official.ec/items/23778242


大人になると何が寂しいかって、ほっとくとどんどん自分の世界が狭くなるのね。気がつくと、毎日顔を合わすのは同じメンバーばかり。

大きな会社に入ると異動やら転勤やらで同僚や上司、さらには住むことろまで変わったりするけど、世界そのものは変わっていないので、交わす言葉や考えてることは結局変わってなかったりするんじゃなかろうか。

さりとて、仕事をしながら何かの課外活動、たとえば草野球とかゴルフとか音楽活動をしてたとしても。何やら「2つの世界」を行ったり来たりしてるので、新しい刺激がどんどんありそうな気がするけど、意外とそんな風にはいかないもの。音楽活動をしててもそこには仕事仲間ばかりとか、仕事をしててもそこには音楽仲間ばっかりとか、けっこう「あるある」じゃない?

思い返すと学生時代は、隣の席とか隣のクラス、隣の部室や構内のそこかしこにわけのわからんやつがいたりして面白かったよね。普段は言葉を交わすことがなくても、学園祭とかで一緒に作業したりして、新しい発見や出会い、友情の芽生えがあって楽しかったもの。ちょっと世界が広がった気分がしたな。

さて、そこで質問。あなたは最近“不思議な人”と出会いましたか?

不思議な人というのは、見た目がどうこうだけではなくて、会話の中身がよくわからないとか、どんな生活をしてるのか想像もつかないとか、そんな感じ。

どちらかといえば僕なんかの方が「あの人、どうやって暮らしてるんだろう?」って不思議がられるんだろうけど、なんのなんの、僕からすれば、毎朝6時とか7時に起きて満員電車に乗ったりとか、会議でプレゼンしたりとか、飛び込みで営業したりとかが、そっちのほうがむしろテレビドラマで見るようなフィクションに近い感じ。

そういう暮らしをしている人たちにとって、音楽ってどんな意味合いを持つんだろう。

ある日、そんな疑問を持ったことがあったのです。何年前だったか、fm GIGに「ミュージシャン以外の人」が多く加わりだした頃に。

どの分野でもきっとそうで、毎日「音楽」のことばかり考えてると、どんどん発想が先鋭化してくるのです。

普通じゃ飽き足らない。
“ベタ”なことは避けたい。
それはもう手垢でベッタベタ。
もっと誰もやっていないことを。
マニアックで口うるさい“あいつら”を、うーんと唸らせるようなものを。
目にも止まらない早ワザを。
誰も聞いたことがないような「音」を。

その姿勢はきっと間違っていない。その先に新しいもの、イノベーションが生まれることは間違いない。

ただし、切り離せない影のようにつきまとう問題がある。

誰が、どうやって、その活動を支えるのか。


ここから先は

1,166字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?