「チケ代移動費打ち上げ代全部出すけど、行く?」
この記事はあなたの田村ゆかりはどこから? Advent Calendar2022 22日目の記事です。
昨日は悠未さんの2度落ちた雷の、その1度目。でした。
Princess rose 本当にいい曲ですよね。好きな曲の中でもトップクラスです。
試聴機での偶然の出会いは現代では減ってしまったのかもしれませんが自分もそういった出会いがいくつかあったので懐かしくなりながら読ませていただきました。
ここまでも皆さんのゆかりんとの素敵な出会いをみる事が出来て幸せを分けて頂いてます。ありがとうございます。
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こういうの初めてなので色々と多めに見てくだちい。ゆるして。
改めまして…
初めまして、ぱーりんかです。そうですバーテンダーのあいつです。初めましての方もそうでない方もこんばんは。お酒の輸入や日々の営業で忙しく、お店の周年イベントや年末の追い込みで忙しいのにこんなことしてる時間があるのか?と同僚に突っ込まれそうですが…こっそりと自分がゆかりさんを知った時の話を置いておきます。睡眠時間はみなさんが思っているより取れてます大丈夫。
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2010年
長門は俺の嫁、なんて口癖のように言っていた僕は高校へ入学した僕は物理部へ入部した。どの学校にも一つはあるいわゆる”オタク部”だ。パソコン部がなかったので物理部がPC部を兼ねていた。文化祭では、超伝導の実験をしたりプログラミングによる作品を展示したりと割と真面目にこなしてはいたが、日常の活動は部室に集まり漫画を読んだりゲームをしたり、面白そうなスレを漁ったりニコニコ動画の話題の動画について話し合うだけだった。
「部費でコミケに行く」なんて噂もあり、とんでもない部活に入ってしまったな…と思いつつも居心地は良かった。まだオタクという人種が迫害対象だった当時は、こういう仲間で安心して談笑できる空間は貴重だった。
いつものようにホームルームを終え、部室棟へ向かう。
先輩たちは既に部室におり、いつものようにモンハンをしていた。めちゃくちゃ流行ってたしな。
隅でPCゲーをひたすら進める先輩もいれば何周目か分からない数年前のジャンプを読み耽っている先輩もいた。
部長はいつもPCからアニソンやガチムチパンツレスリングを大音量で流していた。ニコニコ動画も全盛期、ボカロオタもいたし必須アモト酸中毒者もいた。東方ガチ勢は多かった。
自分はそんな五月蝿くも居心地のいい部室で漫画を読んでいた。『げんしけん』、面白いよね。
田舎の高校、スポーツ部と違い閑散とした静かな文化部の部室…広いはずもなく7人もいれば文化部と言えど暑苦しい男子部室の完成だ。
そんな男子部室で転機は訪れた。
大音量で流れるあの曲
〜♪
いつものように部長が音楽を流し始める。
今思えばこれが全ての元凶だった。
♪「Happy!!Happy!!」
モンハンで紅玉が出て狂喜乱舞する先輩。
東方でピチュって萎える同期。
気にせず音楽を流し続ける部長。
げんしけんを読みながらコミケ行ってみたいなぁと思う自分
♪「いつか、この恋が叶うなら〜」
2ちゃんの祭りに駆けつける先輩。
モンハン3乙して叩かれる先輩。
なぜか一緒にモンハンやってる天文学部員。
大学でもオタク部に入って漫画のような大学生活でも送るんだろうかと妄想する自分
♪「私〜何にもいらないかもしれない〜」
立ち上がる部長。
「「「誰にも負けないこの気持ち!!!!!!」」」
!?
「「「ゆかりに向かって咲いている!!!!」」」
ゆか…?!だれ!?
「「「世界で一番大好きな」」」
ちょっと???!
「「「ゆかりにもっと恋した〜い!!!!」」」
ゆかり、だれ!!!!!
部長だけではない。モンハンをしながら見事に口上だけ完璧に歌い上げる先輩たちの姿がそこにはあった。すごい一体感を感じる…
冒頭にも書いた通り、中途半端なオタクだった自分は声優に関しても詳しいわけではなく、話題のアニメだけ貪り、メロディがいいアニソンだけプレイリストに追加し、アニメージュを買っても目当ての付録と気になる記事だけ読んで本棚にストックしていき、ラノベを読み漁り、その上「いや、拙者の場合はハルヒ好きと言っても、いわゆるラノベとしてのハルヒではなくメタSF作品として見ているのでwww」などと言う感じのムーブをしながら長門は俺の嫁などと言ってしまうタイプの痛いオタクだ。声優に関しての知識は皆無だった。
ぱ「今の何?ゆかりって誰…?」
先輩1「ご存じ…ないのですか!?」
先輩2「セカイイチカワイイヨ」
先輩3「歌がマジでうまい」
先輩4「王国民のコールマジでやばいよな」
部長「ゆかりん可愛いよゆかりん」
ぱ「ゆか…りん…?」
田村ゆかりさんという声優の存在、そして王国民のこと、コールのことを教わった。教え込まれた。
ぱ「つまり先輩たちはみんな王国民ってことでおk?」
先「「「No」」」
ぱ「んんんんんwww」
部長「俺だけだよ」
先輩たちは毎日こうやって聞かされて自然と覚えてしまったのだろう。
ラージャン2体と戦いながらも余裕で歌えるレベルにまで。
先輩5「僕は奈々さん一筋なので!!」
天文部員「三次元はちょっと…」
同期「タートルズたまらん」
こういうタイプもいた。
入部して1ヶ月で様々なことを学んだ。世界の広さを知った。
そんなふざけた部活ではあったが先述の通り文化祭ではどの部活よりも本格的な展示をしていた。
リニアモーターカーの模型を作り、模造紙に超伝導に関する知識をまとめ、オンネスすごいよーだとか、マイスナー効果ってのがあってーだとか、プログラミングでオセロ作ったりとか、東方みたいな弾幕シューティングゲーム作ったりもしてた。超伝導の実験で使う超伝導材料の金属が部費のほとんどを占めていた。部費でコミケに行ってるクソ部活なんてのは風説だった。文化祭だけは真面目にこなしていた。自称進学校っぽさあるな。
文化祭を終え、いつもの日常に戻ったある日、部長から部員全員にCDが配布された。
『シトロンの雨』だ。何枚買ったんだよwwというツッコミは誰もしなかった。いつものことだからだ。
「今度ツアーがある。」
なるほど。アルバムが出たらツアーをする。それは当たり前のことだ。
なるほどなるほど。きっと部長は全部行くんだろうな。
そう思いながらCDを受け取る。
そして今でも忘れない部長のあのセリフ。
「チケ代移動費打ち上げ代全部出すけど、行く?」
「えっ、行く」
即答だった。迷いはなかった。いやちょっとあったかも。
ライブと言うもの自体初めてだった。それに加えてあのコールの一体感を生み出すゆかり王国…迷いはなかったかもしれないが恐怖心はあった。過去のCD、BDも全て予習資料として支給された。至れり尽くせりだな。
これだけは覚えておけ、と言われた曲の予習は済ませた。
ライブ当日
長野のど田舎なのに他にも王国民がいるという。みんなで合流して豊橋まで向かうらしい。
「あれww入国?ww入国?wwwww」
「えっ?あれ?いやっ…?社会見学です…?」
現れたのは実家の4軒隣に住んでるお兄さんだった。世界の狭さを知った。狭すぎるだろ。
部長からペンライトが支給された。本当に至れり尽くせりだな…。
車で3時間ほど。山奥なので県外へ出るのに一苦労だ。
ドキドキしているうちにあっという間に会場へ到着した。
人生初のライブ会場…
並ぶ
ここが…ゆかり王国…
入場する
これが…王国民…
大丈夫。予習はした。
*STARRY☆CANDY☆STRIPE* 豊橋公演 開演
1曲目『Heavenly Stars』
これはCDで予習済みだった。しかし圧倒的な歌唱力、表現力、そして生演奏も含めた迫力。全てが衝撃だった。
これが…ライブ…これがゆかりん…
オタクは…初めて生で聴いた曲を親だと思う習性がある…
とんでもないモノに出会ってしまった気がした。
2曲目『チェルシーガール』
でた!アレだ!全ての元凶!!これはバッチリだった。
初参加でこの口上が完璧に言えただけでも王国の一員になった気分だった。
3曲目『おしえてA to Z』
クラップのやつだ。これもバッチリ予習済みだった。
アニメも見たしな。中途半端オタク知識が活きる。
ここまでは良かったがその後はコールどころではなくなってきた。
そう、油断するとゆかりんではなく王国民を見てしまっていたのだ。
いかんいかん、ゆかりんを見なければ。
しかし油断すると王国民を見てしまう。
綺麗に揃うペンライトやコールに見惚れてしまっていた。
この調子で全曲書こうかと思ったけどそんなに鮮明に覚えてない。ごめん。
『シュガーチューン』『メタウサ』『恋のタイムマシン』
これらは予習の範囲外だった。
『Little Wish』『You&Me』『fancy baby doll』はバッチリだったが振り返ってみると課題が多すぎた。
一番の課題はコールやペンライトに慣れていないことで視線がゆかりんから王国民に行ってしまったことだった。悔しい。
部長「どうだった?」
ぱ「予習をもっとすべきでした…でも最高でした。本当にありがとうございました。」
部長に敬語使ったの初めてかもしれない。敬意のない後輩で申し訳ねぇ…。
先輩後輩の垣根のない部活だったので仕方ない。仕方ないということにしておこう。
それにしても今見返すととすごいセトリだ…お腹いっぱいってレベルじゃねーぞ…
オタクは初めていったライブを親だと思う習性がある。今でもSCSは何度も見返している。
気がつけばFC申し込みを済ませていた。
そこからはゆかりん一色の生活を送ることになる。
2011年(I Love Rabbit)〜2015年2月(Lantana in the moon light)までは全通だった。FCイベは当たらなかったけど。
とても充実した生活だった。
2015年5月
職場が変わった。
今までのように希望休が提出できる職場ではない。本格的なバーだ。
そこからしばらくゆかり王国と離れる生活が始まる。
昼には出勤し仕込みを始め、営業中はノンストップで動き続け、絶え間なく来店する海外カスタマーを英語で案内し、電話も半分以上は英語で、閉店後は膨大な量の洗い物、そして英語、お酒の勉強とカクテルの練習。帰宅するのは早くても6:00。遅い時は10:00くらいにはなった。そして13時頃には出勤…睡眠時間すらまともに取れない生活だった。店で寝落ちすることも通勤ラッシュの電車で寝過ごすことも日常茶飯事だった。
プライベートの時間はほとんどないが知識や経験、技術は身についていく。休みのために仕事をしているわけではない。仕事のために生きている。そういう職業だ。バーテンダーという生き方。拘束時間が長い、休みなどない。それはバーでは当たり前。世間一般からすればブラックだ、と断言したくなるだろうがこの道一本でやっていくにはこのくらいしなければならない。
平均睡眠時間は4時間。疲労は蓄積される一方だ。
やりがいのある仕事ではある。そもそも好きなことを仕事にしているので文句は言えない。しかし明らかに自分の許容量を超えていた。
小さなミスや理不尽な説教などいろいろなことが重なり精神的に限界を迎えていた。
ああ、このまま自転車のハンドルを切って大型トラックに巻き込まれたら楽になれるな…そう思っていた時、iPhoneからあの曲が流れた
「忘れないで。どんな時でも、私はここにいるよ。」
ゆかりん…
本当に命を救われた。大袈裟ではなく、本当に。
泣きながら自転車を漕いでいた。
「オタクは初めて生で聴いた曲を親だと思う習性がある」
このフレーズに当てはめたので仕方なく「親だと思う」と表現したが、そうでなくてもそれに近い何かになっていた。親ではないが、とても頼れる、心の拠り所。
初めてライブに連れてってもらったあの日。とても可愛い格好で、それでいてカッコよく歌うゆかりんの姿は脳裏に焼き付いていた。想いを歌詞に乗せて届けることのできる人。感情を歌に込めて声でそれを表すことのできる人。
その想い、姿勢に救われて今こうして楽しく生きている。
自分は中途半端なオタクだ。何事も中途半端で、とにかく広く浅くでつまみ食いをしている中途半端なオタクだ。中途半端なので歌詞を読むこともなくメロディだけで気に入って聴き続けている曲もあった。これを境にもう一度歌詞と向き合おう。ライブも表情ひとつ見逃さずにゆかりんが伝えようとしているその想いを受け取ろう。仕事を終え寝る前に歌詞を読む習慣がついた。
修行を終えた後にも、度重なる困難が待ち受けていたがなんとか自分のお店を開業、そして今に至る。
会える時には会いにいこう。届かなくてもいい、感謝の気持ちを持ち続けよう。そう決意した。
…
あの時、部長にライブに連れて行ってもらわなかったら。
きっと今の自分はいないだろう。全てのきっかけを作ってくれた。
大して勉強もしないのに課題ばっかり多い自称進学校に入って後悔したこともあったが、部長と出会えて本当に良かった。
あの時、ハンドルを切っていたら。
階段の踊り場から身を投げようとしたこともあった。何度も何度も挫けそうになり、その度にゆかりんに助けられていた。ゆかりんに出会えて本当に良かった。
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部長。本当にあの時、半ば強引に引き摺り込んでくださってありがとうございます。おかげでなんとか生きてます。来年のツアー、楽しみですね。
ゆかりさん。あなたがいてくれるから、私は笑顔でいます。元気です。
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実は1週間前には書き終えていたのですが、なんらかの不具合で書いた文章が全て消えてしまったので5000文字書き直しました。アップが遅れて申し訳ございません。読みづらい文章でしたが最後までお付き合いありがとうございました。誤字脱字、日本語文法おかしいぞってところがあったらこっそり教えてください。頭おかしいぞってところがあったらそっとして置いてください。
明日はながたつさんの「記憶のゆりかご」です。
タイトルが詩的で素敵。自分も記憶をゆらゆらしながら更新を楽しみに待ってます!
みなさんもお楽しみに〜!
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