リー・キット展

僕らはもっと繊細だった
@原美術館

偶然その日に訪れる機会があり、インスタレーションであることを知らずに鑑賞し始めた。
人が少ない時間だったこともあり、静かにゆっくり見ることができました。
じっとそこから動かない男性。
話しながら見進んでいくカップル。
現代アーティストについて詳しそうな女性2人。

私は、どう見るのかもわからないまま進んで行った。雨の日。まるでそこは晴れているかのような日差し(ライト)を受けている作品。繰り返される投影動画。

ある部屋で、この作品に投影されたあるものと館内のあるものが同じであることに気づいた。そして作品の方にはなかったものが、こちらには在り。
それを見つけた時に、作品とこちらの世界が繋がったような、誰かがそこにそれを残していってくれたような、
あるいは向こうでは手に入れられなかったものがまだこちらのパラレルワールドにはあるんだよと言うような。
最初からこの場所と作品が連動していると知らず、自分なりのタイミングでこの感覚になったこともあるからか、誰かがずっとここで待っていた、寂しいような懐かしいような心に触れたような気がして涙が出てきた。
そして1番初めの部屋にもう一度帰りたくなる。
ああ、ここにも。きちんと物語は始まっていたのに。気づいてなかった。

もちろん前知識があってもなくても、気づく人は気づく。このことに気付く人はきっと繊細だろう。気づかない人も幸せだろうし、気づいたら偉いということでもない。
けれど繊細さを持って、どうこれから進んでいくか。



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