僕とたこ焼き
人間には、生活リズ厶というものが存在する。
朝決まった時間に起きて、正しい食生活を送る。1日3食きっちり食べる人もいれば、1日1食の人もいる。かく言う僕は、1日5食いくときもある。
大食い、というわけではない。むしろ小学生の頃からガリガリだった。健康診断では、毎回「痩せすぎ」にチェックをつけられていた。体質の問題もあるだろうに、あたかも努力不足と言われたみたいで、紙を破り捨てたくなった。
どうして5食でも太らないのか。僕は1回に食べる量が少ないからだ。1回でちょっとずつ食べる、を繰り返して、最終的に1日の必要エネルギーに到達する。事実上、3食と変わらないのだ。
でも、これは「乳幼児のおやつの役割」と同じだと知ってから、堂々と言えなくなってしまった。
まあそれはいいのだが、問題はおやつに何を食べるかだ。
最近、たこ焼きにハマっている。昔から好きだったわけではなく、僕の中で急に評価を上げている食べ物のひとつだ。
「たこ焼き」。まず名前がいい。
あの見た目に、これほどマッチしている名前はないだろう。例えばこれが、丸くてツルっとした表面から、「ぼうず焼き」などという名前だったらどうだろうか。僧侶感が出てしまい、一気に食べたくなくなってしまう。精進料理「坊主焼き」である。
かといって、「たこのまるぽこ焼き」などもダメだ。ちょっとあざとい。それに下ネタに聞こえなくもない。
「たこ焼き」は、まさに名前と見た目のバランスがとれた、奇跡の一品なのだ。
あと、関西人なら、一家に1台たこ焼き器があると言われている。しかし僕の家にはなかった。
だから「たこ焼きパーティ」、通称「タコパ」もしたことがない。誘われたこともない。やってみたい。
僕の家の近所には、たこ焼き屋さんがある。これは本当に助かる。お店のたこ焼きには、いろんな種類のトッピングがあるのだ。
定番のソース&マヨネーズ。他にも、ポン酢マヨ、しょうゆマヨ、明太マヨなどがある。〇〇マヨになるだけで、どれも美味しそうに感じてしまうのが不思議だな。
そんな中、僕がイチオシするのは「塩味」である。
塩味というのは、その名の通り塩をふりかけただけの、いわばプレーン味だ。トッピングは一切ない。
しかし侮ってはいけない。そもそもたこ焼きは、何も付けなくても、ちゃんと美味しい。生地には出汁がたっぷりと含まれているから、口に入れた瞬間に旨味がブワーっと広がる。シンプルで奥深い味わいだ。
もちろんソースの濃い味付けを否定する気はない。ただ、良くも悪くもソースは独裁者である。だしの味も、暴力的なソース味に染められてしまう。
これでは、本当に美味しいたこ焼きなのか分からない。たこ焼きの本質を見失ってしまうのだ。
こういう感覚を、僕はどこかで感じたことがある。
そう、ユーチューブである。派手さが求められるユーチューブ界。とにかくクリックされることを重視して、みんながソースを塗りたくる。塩たこ焼きは、そんな再生回数至上主義者たちへのアンチテーゼなのかも知れない。
そんなことを思いながら、これからも僕は塩たこ焼きを食べるだろう。
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