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NFTを活用すれば、クリエイターに主権を取り戻せる

今回は、「NFTを活用することによって、クリエイターの主権を取り戻せる理由」について解説します。

プラットフォームの圧倒的存在感

世界中のエンタメは、「クリエイター」と「作品」と「ファン」の相互関係によって成り立っています。
ところが、ネットの登場により「デジタル作品」の存在と価値は、誰が支えるのか?という課題に直面しています。
現状は、”プラットフォーム”がその主役です。

GAFAを筆頭とする”プラットフォーム”は、「クリエイター」から生み出された「デジタル作品」を「ファン」に届ける”流通”の役割を担います。
この役割は、ネットが発展していくにつれ、絶対に必要な機能へと進化して行きました。
データの担保・決済・集客・コピー防止など、「デジタル作品」がネットで”流通”する時に必要な機能が一極集中しています。

音楽業界の現在地

例えば音楽について考えてみましょう。
ネットが主流ではなかった時代、「音楽CD」はミリオンセラーを連発していました。
音楽CDは、その存在と価値を支える、必要がない『物理的なモノ』。
ところが、「デジタル作品」は、データそのものはコピーし放題ですよね。
ということは、誰かがその存在と価値を支える必要があります。
この課題感こそが、”プラットフォーム”の台頭へと繋がりました。

音楽CD全盛時代でも、”流通”には力がありました。
しかし、当時はまだ「クリエイター」にも主権があり、音楽作品を純粋に創って販売するだけでも今よりは食べていける裾野が広かった時代でした。
それが今とはっては、サブスクで1000円払えば、世界中のあらゆる楽曲が聴き放題になってしまうほど、作品価値が最小化した世界線です。

現代は、世界中の人々が、インターネット経由で、サブスクで音楽を楽しむ時代になりました。
ストリーミングや音楽データ販売を行う”プラットフォーム”に”流通”の機能が集約され、グローバル企業が音楽業界を統べるようになりました。
クリエイターに対しては、プラットフォームがファンから回収した収益の一部が支払われます。
しかし、「クリエイター」に還元される率・額はどんどん小さくなっていき、「クリエイター」側の主義主張は一切通らないほどに上下関係が確立された状態になってしまいました。

これが、音楽業界の現在地です。

プラットフォームの利益

”プラットフォーム”は、悪者なのでしょうか?
プラットフォームは、世界中の人々に対して「安心して音楽を聴かせることができる仕組み」を作ってくれました。
それ自体は悪いことではありませんし、相応の収益の恩恵を受けとってしかるべきです。
問題なのは、彼らの力が余りにも巨大化しすぎ、今では「クリエイター」の”生殺与奪”の決定権を持ってしまうまでになったことです。

果たしてこのパワーバランスは正しいのだろうか?と疑問に感じる人も多いはず。

”プラットフォーム”も、「クリエイター」なしで業界が成り立たないことは理解しており、あまりにも極端な収益分配率は設定しないかもしれません。
しかし、それでも「クリエイター」側には主権が無く、個々の主張などはほとんど通りません。
クリエイターとしても、結局は、プラットフォームを利用する選択肢しかないため、立場が極めて弱いことに変わりがありません。

このような状況は不健全だと考える人々も多くいましたが、権限の一極集中を分散化する方法が無く、現状を甘んじて受け入れるしか無かったのです。

NFTの登場により、パワーバランスが一変

そんな課題を抱えていたエンタメ・クリエイティブの業界へ、突如として登場したのがNFTです。
この文脈でNFTをざっくり説明すると、「『ネット上』のデータをみんなで管理する」技術です。
これまでは”プラットフォーム”が1社で管理していたから、権力の一極集中がおきて不健全な状態になりました。
そうであれば、NFTの技術を使って”みんなで管理”すれば良いんじゃないか?という、とてもシンプルな発想です。
(正確には、”管理”ではなく”検証”と言うべきですが、話を単純化させるために言い換えました。)

中央集権的なプラットフォームを利用せず、物理的な音楽CDにように、ネット上のデータ所有を個人に帰属させるには、どうやったら良いのだろうか?
という課題があります。
これは、「純度の高いNFT」を使えば解決できる可能性があるのです。

参考記事:「フルオンチェーンNFT」入門講座
参考記事:NFTの純度について ―フルオンチェーンとパブリックチェーンどちらが良いか?―

ただ、NFTには、コピー防止の機能は備わっていません。
コピー防止の機能は、これまでは”プラットフォーム”が頑張って担っていました。

音楽の場合、『中身のコンテンツ』がコピーされ不正流出してしまうと、その音楽データの存在と価値が保てなくなります。
スマホ1台で、『中身のコンテンツ』はかんたんにコピーできてしまうからです。
ただ、これはいまのストリーミングや音楽データ販売でも同じ問題が起こっていたことです。

え?
でも、そんな事を言ったら、従来の”プラットフォーム”上で聴ける音楽も、どうして売上が上がっていたのだろう?と疑問に思いますよね。

不正コピーの経済合理性

いよいよ、ここからが今日の本題になってきます。
ひとつの答えは、”不正コピー”の経済合理性です。

トリッキーな作業をして無料で音楽データを手に入れる”手間”や、違法で被ることになる社会的信用のデメリットが、個人が1つのCDを購入したという”正規データ”に価値を支えるのです ”プラットフォーム”は、閉じた世界の中でなら、”正規データ”を保つことができ、強い権限を手に入れることになりました。

今後は、NFTによって分権化できます。
相対的に”プラットフォーム”は主役ではなくなり、「ファン」が欲する「作品」を作っている「クリエイター」が復権する可能性が高いのです。

大事な前提として、音楽データは、閉じた世界の”プラットフォーム”で”利用権(データにアクセスして視聴する権利)”を販売していることです。
いま、発展途上のNFTでは、音楽データの”利用権”をNFT化までできる見込みがあります。

そして、その先には、不正コピー(DIDによる本人特定)も一体化した”音楽データ”そのものがNFTになるとしたら、音楽CDが売れていた時代が、ネット上で再現される可能性があります。
そうなれば、”流通”は、あくまで「クリエイター」と「作品」と「ファン」を繋ぐ役割に落ち着きます。

そうなれば、遂に「クリエイター」が主権を取り戻す時代が到来します。
私がこの可能性にワクワクするのは、日本には創造性で輝く人たちがたくさんいるからです。
NFTが、今回解説したような方向で、よりよい社会の実現に向けて使われる未来に期待しています。


※この記事は、パジ(@paji_a)の発言をベースにかねりん(@kanerinx)が編集して記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)


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