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セボフルランとCOVID−19

セボフルランの集中治療領域での話題. COVID-19でARDSや重症肺炎に対する支持的療法(特に呼吸器の)が注目されている. 吸入麻酔薬であるセボフルランに肺保護作用があるのではないか?とするeditorial.
前々からセボフルランには臓器保護作用、免疫反応のメディエーターとしての機能があることがわかっていたらしい. しかし、免疫応答に関する議論はマウスの実験が中心に紹介されている. ICU在室中の「鎮静」としてセボフルランが有用か調べた研究はあったよう. ただ、セボフルランの長時間の使用は血中のフッ素濃度が高くなり、それによる腎障害や尿崩症をきたすが、その危険性が高まる濃度もcontroversyである様子. 結局は症例報告や後ろ向き研究に留まり、セボフルランの濃度や期間などの推奨は定まっていない. 本文にもこう記されている.
However robust data on the safety of long-term use of volatile anaesthetics are missing. None of sevoflurane, isoflurane, or desflurane are approved for ICU sedation and their use for this purpose would be off-label and experimental.
セボフルランがCOVID-19に対してどう作用するのか、肺胞上皮細胞や毛細血管内皮細胞の細胞死を減らし、それに続く炎症反応を抑制することが期待されている.
本文はこう締め括られている.
It is imperative that well-designed dose finding trials or RCTs are conducted according to the guidelines of good clinical practice, both for the drug itself and for the medical devices applied to administer the drug in the ICU.

今回の文献はこちら
https://doi.org/10.1016/j.bja.2020.04.076

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