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アフリカ−scientometrics−ICU

アフリカから報告された麻酔・集中治療領域の被引用数の多い論文の言語的引用解析

 scientometricsについてはこちら
https://www.editage.jp/insights/misuse-of-bibliometric-analysis-shifts-scientists-focus-from-their-research-to-pursuing-scores
研究成果を数字という形で可視化したい、という気持ちはよくわかる. みんな数字が好き. ただ、このリンク先にも書かれているように、数字だけが先行して中身が議論されることはなくなる. でもそもそも、その研究をしている人にしか、その論文の重要さなんて分からないものだろう. 良くも悪くも、科学技術が専門外の人にもありがたがられるからこそ、こんな数字が取り上げられるのだろう.

なんとscientometrics専門の雑誌もあるよう はっきり言ってどういう理論なのかはよく分からない

結局のところ、学術界で国際的に取り上げられるかどうかはアメリカと繋がりがあるかどうか. それはアフリカだけでなく日本も同様で、大学院留学する、といえばまずアメリカが候補となるし、アメリカに行った、ということが箔付けになる. 学会で世界的な共通言語として英語が使われる限り、この状況は変わらないだろうし、英語以外の言語がこれから使われることもないだろう(あるとすれば中国語か?)この点、日本は本当に苦労しているし、自分もそのうちの一人だ. 英語の勉強を日常的に継続するのは本当に難しいし、正直自分が英語を喋れるようになるとは到底思えない. しかし、英語(だけでも)を使いこなせれば、活用できる情報はうんと多くなる. 日本語のみで医学情報を集めていると、時代に乗り遅れるんじゃないかという危機感は常に持っている.
ただ、まあ、本当にアメリカに行くことが全てなんだろうか. 自分自身の経験や知識を深めるという意味では、アメリカではなくても良いんじゃないの、と思う. ではどこへ?シンガポールや台湾なんてどうかなと思っているが、それはまた今度.

さて、本文のDiscussion, Keywordsより引用(注部分は省略)

In particular, the African region is among the most affected by the human immunodeficiency virus and Mycobacterium tuberculosis, the first and second causes of sepsis in Africa, respectively. Moreover, sepsis is responsible for USD 10-469 billion in financial loss among African families and states. Despite the considerable clinical and financial burden of sepsis in Africa, it remains under-reported and under-researched. The nodes of sepsis were smaller and less connected than those of anesthesia. Given the burden of sepsis and a limited number of top-cited sepsis-related articles, we suggest that A.C.C.M. stakeholders promote more novel and col- laborative sepsis research.

アフリカではやはり感染症による敗血症が多く、それもHIVやTBによるものが多いとのこと. また、敗血症の経済損失はかなりものである. 僕はまだまだHIVや結核が敗血症を呈した症例は見たことがない. 裏を返せば、アフリカの集中治療はHIVや結核の経験が豊富だということである. そういったアフリカという地域特性を活かした集中治療(確立されたICUは果たしてあるのだろうか?)のpaperが出されれば興味深い発信になるのではないか. 研究って、「へぇ〜」をどれだけ集められるかでしょ.
そもそも「世界標準」とか、「国際的」という表現があるけれど、症例は個別のものだし、地域でICUが置かれている環境は様々である. おそらく、アフリカの中でも都市部と地方では全然違うだろうし、経済格差も様々であろう. ECMOは回せない、そんな高い抗生剤はおいていない、薬物血中濃度なんて測れない、という施設もあるのではないだろうか.と考えていると、ちょうどこんな総説を見つけた→

30012021 アフリカ2

結局は経済的な(cost-effective)ICUを作らないといけないのだろう
イギリスやアイルランドでトレーニングプログラムがあるとのこと. 日本も同様にICUのシステムごと導入したり、留学生を呼び寄せてトレーニングプログラムを作ったりできないのだろうか?そういう移民や外国人労働者を増やせれば良い循環になっていきそうな. まあ、ここでも言語の壁が立ちはだかるのだが. 日本人は優しくて気が利く(大体の人は). そういう特性を活かして、国際的にアピールするのが残された道ではないか、と思うのだが. どうせ、お金もなく、際立ったサービスもなく、生産性もない……のだから.(松)

今回の論文

https://doi.org/10.1186/s12871-021-01246-4

https://healthmanagement.org/c/icu/issuearticle/challenges-in-critical-care-in-africa-perspectives-and-solutions


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