動物園の文化史

動物園の文化史  

📚動物園の文化史 著:溝井裕一
なぜ国によって動物愛護に違いがあるのか疑問だった。動物園に限らず、日本で動物福祉が発展しない理由が、何となくこの本から響いてきた。  

ヨーロッパの自然観のバックボーンはキリスト教。その教えは人間と動物は一線を画し前者が後者を支配する。しかし、一旦管理下に入った動物は責任を持って面倒を見るべきだという思想があり、その管理に長けている。
対して日本の自然観を支えるのは、全てのものに霊魂が宿るという信仰で、人と動物に明確な境界線はない。  

西洋ではこの世のすべては神がおつくりになったという考えであるのに対し日本はこの世のすべては「おのずからなる」であった。  

動物園とは西洋自然観のもとで育まれてきたものである。自然観の異なる日本の土地に西洋自然観で作られた動物園を持ってきて、日本の自然観で管理したらいびつなもとなるのも想像できる。
結果として、動物園は十分な資金が投下されず、粗末な飼育小屋や、職員に高い給料も払われない状況だ。

海外では病気になったペットに安楽死が多い傾向など、先進的な動物愛護の傍ら、私の感覚から理解しにくい部分もある。そこは日本の自然観故なのかと思う。  

この2つの傾向をよく吟味し、どちらか全てを真似するだけでは、いびつさが生じるという事だと思う。
良いバランスで、日本らしい動物愛護を作っていく必要があるのかもしれない。

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