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頭を突き抜けるほどの皮膚炎は、
自我を忘れさせてわたしを女神とは程遠い
阿修羅の姿へと変化させます。

痒い、苦しい、痒い、苦しい、苦しい。

遠のく意識と夜の闇の中で
日中忘れていた言葉たちが黄泉からやってくる。

꙳ ꙳

「郁美ちゃんはデトックスが身体に
 出ていいなぁ、羨ましい。」

羨ましいならじゃあ、代わってくれる?

「郁美ちゃんの肌は強くて美しいね。」

美しい?本気で思ってるの?
じゃあわたしの肌になりたいって思う?

…本当はこんな意地悪な思考に
なりたくなかった。

だけど焼けるような痛みとかゆみの地獄の中で
わたしは女神でいられるほど強くありません。

わたしの中でかすかに残る
1%の女神が静かに諭し、
わたしと問答を繰り広げます。

「みんな未経験なだけなのよ。
 だから苦しみや痛みが分からないの。」

だったらそっとしておいてよ!
寄り添わなくてなんか良いから、
わざわざ傷を抉りにこないでよ!

「じゃあもし子供が同じ台詞を言ったらどう?
 あなたは子供だから、未経験だからって
 受け流すんでしょう?」

…たしかにそれはそう。
わたしは大人に自分と同等か

それ以上の精神性を求めているわ。

「あなたは子供や動物に対して
 ものすごく優しい。それはわかるの。

 だから今度はその慈悲を
 大人に向けてみたらどう?」

だけど、子供や動物はピュアだから…

「大人だってもともとピュアなのよ。
 曇り空からも星を見つけられるかどうか、
 あなたの力量が試されるんじゃない?? 」

ぐうの音も出ません。

そしてふと、
昔の恋人との会話が蘇ってきました。


꙳ ꙳

「ねぇ、
 僕が郁美のどこを好きになったか分かる?」

えー?なにそれ?
もちろん見た目でしょ?笑

「ふふふ、違うよ。瞳だよ。」

それって見た目じゃない?

「正解のようで違うんだよ。笑
 僕は郁美の強い瞳がすごく好きになった。
 一目見た時に、ただの瞳じゃない。
 これは乗り越えた人の瞳だってわかったんだ。
 その強い瞳に心惹かれたんだ。」

心の宝箱からふわりと舞い降りた言葉は
羽になってそっと涙をぬぐい、
阿修羅になったわたしの心を撫でるように
癒してくれました。


꙳ ꙳

ーーわたしは人一倍美しいものが好き。
美しさには色々あるけれど、

一番好きな美しさは
濁流に揉まれて磨かれた後の魂の輝き。

痛みを知った後に、
人は真の美しさを纏うのだと思っています。

臭いものに蓋をして、
美辞麗句を唱える八方美人の美しさなんて

イミテーションだし、反吐が出る。

今こうしてわたしが自ら肌を燃やすのは
きっと、真の美しさを身につけたいから。

わたしは並大抵の人が到達できない、
海の底から感じる深い美しさを纏った
魂になりたいーー

そう願っているのだと気付きました。



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