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【よみか】読んだり見たりのあと書いたもの評論

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映画とかアニメとか漫画とかラノベとかを見たり読んだりするのが好きなので、読んだり見たりしたあとで作品について書いたことをnoteに書きます。いわゆる評論というやつです。ネタバレな…
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2019年9月の記事一覧

【よみか】映画「HELLO WORLD」 ~浜辺美波に実在感がキモかな

ソードアート・オンライン(SAO)シリーズの伊藤智彦監督が書きおろした完全オリジナル・アニメ映画。 「現実だと思っていたこの世界は、ただのデータだった」 「未来から10年後の僕がやってきた」 という設定だけで、SAOファンとしては、「これは見なければ」となるようなデジタルファンタジーなわけで、十分楽しめる。リアルとバーチャル(デジタル)、データと記憶。変えられない過去と変えられる未来。こういう物語が繰り返し作られること自体に、現代社会においてリアルや記憶があいまいになって

【よみか】映画「いなくなれ、群青」 ~若者たちは真辺と七草の何に共感するのか?

2014年から書かれている小説作品。 「階段島シリーズ」として知られ、シリーズは全6巻。 若い世代に圧倒的な支持を受けていて、僕も学生から教えてもらって、完結編の6巻目が今年2019年5月に出たばかりで、全巻読んでみた。 小説シリーズはなかなかおもしろいし、ラノベ(とは言わないかもしれないけど)としては、小説としてのレベルの高い。 ※小説シリーズとしても「よみか(読んだり見たりしたものについて書く)」書く予定。 で、今回はその第1卷のタイトルを冠した映画。 僕に小説を紹

【よみか】映画「ロケットマン」 ~売れっ子になるとみんな自分を見失う

20世紀のスーパースター、エルトン・ジョンの伝記的映画。 ちょっとまえに公開されてヒットした「ボヘミアン・ラプソディー」は同年代のロックグループ「クイーン」のリーダー、フレディ・マーキュリーの伝記的映画だったけれど、やっぱり、という感じでとってもつくりは似ている。 年代的にはどちらも僕の「青春の伴奏者」とも言うべき音楽たちであり、アーティストなんだけど、僕自身はクリーンよりエルトンの方に圧倒的にシンパシーがあり、実際、エルトンの黄金期のアルバム(すでに死語かも)はすべて、そ

【よみか】映画「アルキメデスの大戦」~この青年は戦艦大和を否定できたのか?

「数学で戦争を止めようとした」というメッセージで公開された映画。ヒャクタの零戦小説「永遠の0」を撮った山本貴監督(ちなみに僕は「永遠の0」は見ていない)。 「止めようとした」というタイトルからも、予告広告からも、「戦争否定」を想像させるものの、果たしてどうなのか? で、あえてここまではネタバレ前に書いておく。 戦争も戦艦大和も肯定していないけれど、戦争をシビアに見る視点がない一般の観衆の視点では、結局のところどこか戦艦大和を肯定的に見てしまうだろう。戦争も「やむを得なか