『うる星やつら オンリーユー』を『カリオストロの城』だと思ってみると 面白かった話

先日、久しぶりに押井守監督の『うる星やつら オンリーユー』を観た。どうしても円盤で見たかったので、amazonをチェックしたらBDは廃盤なのかプレミア価格。仕方がないのでイタリアamazonでDVDを購入。劇場公開版とディレクターズカット版の2種類が入っていた。日本語にするとイタリア語字幕が強制表示されてしまうが、まあ我慢。
『うる星やつら』の劇場版では、筆頭にあがってくるのはやはり『ビューティフルドリーマー』。私も昔はそう思っていたが、今は『うる星やつら オンリーユー』が一番面白いと思うようになった。『ビューティフルドリーマー』は、『うる星やつら』の世界から逸脱しているから光って見えるのであって、単体としては異端という感じがいまはする。他に似た例としては『クレヨンしんちゃん』の『あっぱれ戦国大合戦』などもそうかもしれない。
さて、本題。『うる星やつら オンリーユー』が『カリオストロの城』に似ているなと思ったのは、池のある庭園でエルとあたるが追いかけっこをしているシーン。なんかみたことあるな~と思っていると、『カリオストロの城』の次元とルパンが昔話をするシーンを思い出した。そう思ったときから、ん?となった。結婚をいやがる大切な人を結婚式の真っ最中に仲間とともに乱入して奪い返す?それって『カリオストロの城』と同じじゃないか?
そう考えはじめると、共通点が次々と思いつく。エルが初めて登場するシーンでは、メイドたちが歩くエルから服を脱がせ着替えさせる。カリ城の伯爵がロ〇コンなように、エルは美しい男たちを巨大冷蔵庫に冷凍保存するヘ〇シツ者。オンリーユーもカリ城も、一回は花嫁・花婿を奪い返すがどちらも奪い返される。結婚の儀式が始まり、いよい誓いの言葉を交わすギリギリのタイミングで仲間とともに殴りこんで花嫁・花婿を奪い返す。弁天が次元で、おユキが五右衛門。これはこじつけかもしれないが、クラリスが塔に監禁されていたように、オンリーユーでは教会が高い塔の上にある。さらに、どちらも昔に二人が出会ったことが話がストーリーの出発点であること。どちらも大切な人を土壇場のタイミングで奪い返すという話なので展開が似てくるのは仕方がないのかもしれないが、そうだとしてもこのシンクロはなかな面白いと思う。押井監督は『うる星やつら オンリーユー』はキャラを全部ださないといけなかったりあまり好きな作品ではないと語っている。完全に想像なのだけれども、だからこそ押井監督は『カリオストロの城』の構成をいただき、流用していないようにカリ城を再構成することで自分の創作欲を満たしたのではないか。という気もする。
そういえば、ラストであたるが登場人物から追いかけられるラストもカリ城っぽく感じられる(笑)
両作品で唯一違うのは、伯爵はお宝目当てで結婚しようとしていたが(まあ 性的にも望んでいた可能性は高いが)あたるはエルは唯一本気だった相手だったことだろうか。オンリーユーがいいな~と思うのは、真実が明らかになり、エルが王女の顔を取り戻したあとにみせる涙。あのカットだけで、あたるとの出会いが、権力者としてではなくただの”エル”として過ごせた大切な思い出だったのではと感じられるところ。
オンリーユーとカリ城について検索してみると、他にも同じような感想を持った方もいるようなので、カリ城とオンリーユーを重ねて楽しむのはありなような気がする。もし、オンリーユーを観る機会があるようなら、ぜひ2作品を頭の中で並べてみるのをお勧めしたい。以上、雑談でした。

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