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この入れ物の容積は何cm3ですか?

小5計ド(小学5年生の計算ドリル)より

問題 | 厚さ1cmの厚さでできた直方体の入れ物があります。この入れ物の容積は何cm3ですか?


答え | 50cm x 80cm x 40cm = 160,000cm3

この問題、めっちゃ難しくないですか??
今日、勉強を見るボランティアで、小学校5年生と一緒に解いていたのですが、おれは解けませんでした。

おれにとっては、こういう問題に見えるのです。

問題 | 厚さ1cmの厚さでできた、たて52cm、よこ82cm、高さ41cmの直方体の入れ物があります。この入れ物の容積は何cm3ですか?

そして、答えは以下となりました。
答え | 50cm x 80cm x 39cm = 156,000cm3


どうして、高さ41cmだけが上(蓋)と下(底)それぞれ1cmが引かれるのではなく、下(底)の1cmだけなのか? それがどうすれば上の図から読み取れるのか…。それがおれにはどうにもよく分からなかったのです。
そして、それは「きちんと読めば、この問題に不備があることが分かる!」とか、「ちょっと捻くれた見方をすれば、この部分に引っ掛かりを覚えるはず」とかではなく、ごくごく素直に「直方体の入れ物があって厚さが1cm」と言われれば、「そこには蓋も含まれている」であろうことに、なんの疑問も持たない自分がいるのです…。

「みんなはなぜ蓋がないって読み取れるの?」とfacebookで聞いてみました。
すると、「むしろなぜ読み取れないの?? 読み取るルートが3つあるじゃない」と、以下の視点で考えてみるようにアドバイスをもらいました。

(1)図から直感的に「蓋はない」と感じとる
(2)図や文章から蓋が『ある』と判断する『根拠』がないけど、『ない』と判断する『根拠』はある(図は蓋のない絵だ)と判断する
(3)数字の作為を汲み取る(高さの内法が40cmになると美しい)

それでは、1つずつおれの頭の中を覗いていきましょう。その前にもう1度問題を。

力ためされてる…

(1)図から直感的に「蓋はない」と感じとる

いやぁ、図はいくらみてもおれには「蓋はない」を表しているようには見えず。。。
たしかに、「上の方に蝶番とかないじゃないか」とか「水色の部分が目一杯上まできているでしょうが」と言われれば「まあそうだね」とは思うものの、この図にそういう正確性を感じられないのです。

(2)図や文章から蓋が『ある』と判断する『根拠』がないけど、『ない』と判断する『根拠』はある(図は蓋のない絵だ)と判断する

多分、ここが一番引っかかるところです。おれの場合は以下のようになっちゃいます。

図や文章から蓋が『ない』と判断する『根拠』も『ある』と判断する『根拠』もない。のであれば、一般的に考えると蓋が『ある』と判断するのが妥当であろう。

これ、3まで見た後にもう一度戻ってくることとします。

(3)数字の作為を汲み取る(高さの内法が40cmになると美しい)

数字の作為を汲み取りかけたんですよ。「39って、何だかずいぶんと半端な数字を持ってきたなぁ。まあでも、暗算じゃなくてきちんと計算をさせようってことなんだろうな」って捉えちゃったんですよね…。
「美しさ」ではなくて、「計算に慣れさせること」とか「手間暇かけること」の作為として数字を汲み取ってしまったわけです。


図や文章から蓋が『ない』と判断する『根拠』も『ある』と判断する『根拠』もない。のであれば、一般的に考えると蓋が『ある』と判断するのが妥当であろう。

戻ってきました。
多くの方たちの意見を聞いて分かったのは、かなり多くの人(もしかしたらみんな?)が、この図から「蓋がない」と読み取れるそうです。
おれには、左右に水が入っていない部分があるのは読み取れるものの、前後(手前と奥)にはその部分があるように映らないのです。なので上下もそうだろうし、まあそういう正確性を持って書かれたものではないのだろうなと思えてしまうのです。

ちなみに、おれは「立体を組み合わせる」テストはIQテスト的なものの中でも一番得意ではありません。そして地図も、自分の移動に合わせて現在地が一緒に動いてくれる地図(要するにスマホとかのGPSを使った地図)以外だとほぼ読むことができません。空間認知能力の低さがこの問題にも関係しているんですかね? (なお、おれは自分よりも方向音痴の人はおふくろ以外知りません。)

そしてもう一つ。「入れ物とは、一般に蓋がある容器を指す」という思い込みがおれにはあるようです。とは言うものの、「一般に」はそこまで強いわけではなく、「もし蓋がないのであれば『蓋のない入れ物』と問題文に書かれるはずだよな」と無意識に想像するくらいの強さの思い込みです。

そんなわけで「図音痴」で「蓋思い」なおれは、何の疑問もなく「50cm x 80cm x 39 = 156,000cm3」という答えに至り、正解が異なると聞くと、小学校5年生に「なんで? どうして?」と説明を求め、「蓋なんてないったらないの!」という説明にどうにも納得がいかずにみんなに聞いたということでした。

自分の特性が重なった「おれには解けない問題」だったのですが、今思うのは、この図から蓋がないのを読み取れない人っていうのは、どれくらいの割合でいるものなのかなぁということ。そしてそれが国や地域や文化の差と関係するのかなぁということ。世界中、みんな同じなのかしら?
そして同じように「入れ物」「container」「récipient」という言葉に「蓋があるもの」と思い込む人が、どこにどんなふうに分散しているのかしら??

でもね、多分、小学校5年生だったときのおれは、この問題を「はいはい。きっと50cm x 80cm x 40cmって考えて欲しいんでしょ? いいですよそれで」と求められた答えを返していたと思うんだよね。どこでどう変化したのかなぁ。

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