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不買運動は街宣車であってはならない

このニュースのことをろくに知らず、ついさっきこの記事を紹介してもらった(なお、有料記事なのでほとんどの人は冒頭部分しか見れないと思う)。

米バドライト不買、対策乏しく 文化戦争で企業板挟み (2023年6月17日 3:28 [有料会員限定] | 日本経済新聞

なお、そのライト版というか、概要の概要みたいな記事は、<米「バドライト」首位から陥落 ビール、広告巡り不買運動>でググればいろいろと出てくるが、最初の記事から簡単に経緯を拾うと、起きていることはこんなことだ。

「トランスジェンダー俳優を広告に起用」〜「保守層によるバドライト不買運動」〜「ビール会社が広告担当幹部2人を休職」〜「リベラル層からも批判殺到」。その結果、売り上げが24.4%激減。6月上旬には米国売り上げトップの座を「モデロ」ビールに奪われた。

米バドライト不買、対策乏しく 文化戦争で企業板挟み

そして下の記事には、4月の段階における経緯と状況が書かれている。こちらの記事は無料ですべて読めるので、ぜひ、全部を読んで欲しい。

ナイキなどにトランス女性とのコラボでボイコットの声 極右激怒(2023.04.10) | Forbes JAPAN 公式サイト
https://forbesjapan.com/articles/detail/62296

さあ、ここからがおれの言いたいことだ。
まだ読もうという気がある人は、上のフォーブス・ジャパンの記事を読んでね。後からでもいいから。

ここに何を見るか。
おれは、不買運動そのものは結構なことだと思う。少なくとも悪いことじゃない。「メーカーのスタンスが好きじゃないから買いません」とソーシャルメディアや友人に公言する。結構なことだ。
でも、「スタンスが好きじゃない」からって、屋外でビールをマシンガンで撃ちまくる動画を投稿するのは話が違う。そして、小売店やバーなどの販売店に対する直接的な攻撃(店への嫌がらせや襲撃)が起きている背景が重なると、話はまったく変わる。さらに言えば、最近のアメリカでは、トランスの娘を持つ家族が、「この地は危険すぎて暮らせない」とテキサス州からの引っ越し、あるいはカナダへの引っ越しを本気で検討しているのだ(それを知ったバイデン大統領は「家族に直接電話をかけるので、電話番号を教えて欲しい」と語っていた)。

「自分も標的にされてしまうかもしれない」という恐れから、販売店で手に取らなくなる。「店が襲われたら生活できなくなるから」と商品の取り扱いをやめる。
これは、不買運動の結果ではない。街宣車で乗りつけて嫌がらせを行ったり、脅迫文書をばら撒くことで一般市民が怖くて近づけなくなる状況を作り出す、昔からの極右過激主義者のやり方となんら変わらない。人権の蹂躙だ。

これをクールだと思う人がいるのだろうか。
…うん、いるのだろうな。
でも、覚えておいて欲しい。不当な恐怖で人の行動を縛る行為を1度認めるたびに、あなたが縛られる日も一歩近づくことを。


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