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Colaboタコ部屋訴訟第一審判決の要約と個人的な感想

※暇空氏側から控訴の手続きがあったため、表題を一部変更いたしました。


判決文はColaboのホームページからダウンロードする事ができます。

また、Colaboによる今回の判決の報告会動画についてはこちら。
(判決文を横に開きながら視聴すると分かりやすいのでおススメ)


請求と判決について

原告の請求

・Colabo及び仁藤氏にそれぞれ550万円(+年3%の利息)の支払い
・訴訟の対象となった投稿の削除
・noteへの3年間の謝罪文の掲載

判決

・Colaboに対し165万円、仁藤氏に対し55万円の支払い(いずれも年3%の利息付)
・訴訟の対象となった投稿の削除
・訴訟費用の五分の一は被告が負担
・謝罪文の掲載については棄却

争点となった主な事項と裁判所の判断

1.暇空氏がnoteやYoutubeに投稿した「一つの部屋(タコ部屋)に3人の保護女性を住まわせて生活保護を受給させ、1人あたり6万5千円を徴収している」という旨の内容について、Colabo及び仁藤氏の社会的評価を低下させる事実に成り得るか?

 暇空氏によると、noteに投稿した内容は暇空茜となるこという2人の会話の中でなされた意見論評であって自身が事実を述べたわけではない、仮に事実だとしても問題がない内容との事であるが、普通の読み方をすれば、当該投稿はColaboおよび仁藤氏を対象として「3人の女性をタコ部屋に住まわせて生活保護を受給させ、1人当たり6万5千円を徴収し、不当に利益を得ている」旨の事実を示し、社会的評価を低下させる内容だと判断するのが妥当である。


2.同内容について真実性ないし真実相当性が認められ違法性阻却事由となり得るか?(事実と思われても仕方ない面があるかどうか)
 
 活動報告書の内容からそのような事実を読み取る事には無理がある。さらに、仁藤氏に対してアニメや漫画などのコンテンツを批判(厳密には温泉むすめの一部キャラクターの設定(夜這い、未成年飲酒)に対する非難)したという点を理由に強い敵意を抱き、批判や追及の動機が同左によるものと暇空氏自身が発言していた事から、活動報告書の内容をあえて曲解して拡散した可能性もあり、仁藤氏らに直接事実確認を行わなかったこと及び本人尋問にも妥当な理由が無く出廷しなかったことから、真実性および真実相当性は認められない。

3.同内容によって社会的評価の低下を受忍すべきかどうか?
 (公金によって支援活動を行っている立場上、そういった評価は甘んじて受けるべきかどうか)

 Colaboが住民監査請求によって東京都からの委託業務について改善の指示を受けた事は事実であるものの、名誉毀損であり真実性および真実相当性も認められない上記内容による社会的評価の低下を受忍すべきとはならない。
また、生活保護の不正受給が行われていたという客観的な証拠も示されておらず、そのことからも社会的評価の低下を受忍すべきとは認められない。

4.今回のように暇空氏を訴える事が不正追及や批判を委縮させるような権
  利の濫用とならないか?

 今回の訴訟提起が暇空氏の情報発信を委縮させるためだという客観的な証拠は認められないし、賠償額以上の収益を稼ぐのでどんどん訴えてくださいという暇空氏の発言や訴訟の経過に関する頻繁な情報発信から、委縮どころかかえって助長されているのではないかと思われる。

5.損害の有無と金額について

 合理的な根拠もなくColaboの活動を生活保護ビジネスなどと批判・揶揄し、Colaboが公開している情報を誤解を招くような形で引用したりすることで、相当の社会的評価の低下があると認められる。また、暇空氏の投稿を閲覧した者によって活動の妨害などが生じ、それぞれへの対応により経済的損失を含んだ多大な損害・精神的苦痛が生じたものと推察される。

6.同内容について削除や謝罪文の掲載が必要かどうか?

 上記理由から対象となる投稿により現在に至るまで多大な損害や精神的苦痛を生じている事が認められるので、投稿の削除を命ずるのが妥当である。
 一方、Colaboが管理するXのアカウント等で当該投稿に関する反論等をすることで一定程度の被害回復が可能と見込まれ、多数のメディアから取材を受けてコメントを発信している事を考慮すると、謝罪文の掲載まで命ずるのが妥当とまでは認められない。


判決についての個人的な感想

判決内容について

 Colabo及び仁藤氏の両者に対して損害賠償が認められたのはもちろん良かったとは思いますが、動機に公益性がなく、合理的な根拠無しにColaboの活動を揶揄し、訴えられてもその訴訟の経緯を書面の無断販売や動画配信で収益に繋げているという事象を裁判所側が認めた点は大きいと思います。
 また、台本で二人のキャラクターが会話しているだけで暇空氏本人が事実として挙げたわけではないという荒唐無稽な主張には開いた口が塞がりませんでした。生活保護の不正受給を正当に追及しているというのであればそもそもそのような主張をする必要もないと思うのですが・・・

支持・拡散した著名人や時事系Youtuberに対して言いたい事

 暇空氏の一連の投稿を見てそれが事実だと鵜呑みにし拡散した著名人やそれを動画にまとめて配信したYoutuberも相当数おり、被害の規模は計り知れないものとなっていると思われます。実際に判決の内容がニュース記事になっても、ヤフーニュースのコメントやXの記事引用では批判的な内容がかなり多く見受けられました。
 事実確認がなされていない、しかも係争中の案件という内容にもかかわらず一方的に不正があると決めつけて拡散する事は決してあってはならない事だと思うし、今回の件で暇空氏以外に賠償責任が問われないものだとしても、動画およびSNSの投稿で拡散してしまった事については撤回および事実説明をしっかりすべきだと思います。

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