週記36【父とビールと未来の虚像】

もう金曜かい。気が付けば金曜。急いでキーボードを打っています。

友人は皆後期がスタートしているが、私はあともう一週遊べるドン!だった今週。
とはいえ友人は皆大学に行っているので、遊ぶにも一人。咳をしても一人。
映画に行って、ゲームをして、YouTubeを見て、とにかく生産性のないゴミみたいな一週間と言っても過言ではない。



・父と尾崎豊展に行った。写真は無い。


尾崎豊展は、大阪の大丸、15階ぐらいのところで開催されていた。
昼の12時に起き、即仕度を済ませ大阪駅に向かった私は、腹ペコペコのぺこ&りゅうちぇる a.k.a. 比嘉龍二、という感じだったのだが、現地集合した父は何軒かで飯を食った直後だった。もちろん、既に父の肝臓はアルコールの分解に勤しんでいた。らしい。
大阪駅周辺の地下には色々なご飯があり、我々は客足まばらなアジア料理屋に足を運んだ。
腹が減っていたのでチキンライスみたいなナシゴレンみたいなやつ(商品名忘れた)とよく分からんジュースを、父はビールを頼んだ。

どういう経緯でそういう話になったかは忘れた。なんせ約一週間前のことだ。「あそこのラーメン屋だけ異様に並んでるな」だったか「エスカレーターすごいな」だったか。
私はいつも父に聞きたいことがあった。しかし、いざ対面すると、怖気づいてしまう。全く厳格な人ではないのだが、父というのはやはり怯える要素がある。昔、携帯を買ってほしい、とねだる前にも同じような緊張をしていたのを今思い出した。
話が逸れたが、私が父に聞きたいのは、父の過去のことだ。

どうして母と結婚するまでに至ったのか。
今の仕事の前は何をしていたのか。
高3で部屋の整理をしていた時に出てきた「2015年に世界は終わる」みたいな題名のDVDは、なんなのか。
私は尋ねられないまま何年も時を経てしまったが、この日は父から語り始めたのだった。

ターニングポイントはやはり、阪神・淡路大震災のときらしい。
それまで会社員だった父は、それを機に、というと不謹慎かもしれないが、元々辞めたい意志があった上で会社を辞め、今の職に就いた。
母と出会ったのも震災の後だったそうだ。
DVDのことは何も聞けなかったが、聞きたかったことを十分に教えてくれた。
そして、
「日本は終わってる。他の国と比べても、かなり終わってる。だから、高望みしてもしょうがない。たとえぎりぎりでも、死ななければ、良いんだ」
みたいなことを言っていた。父がこれを読んだら、「全然ちゃうけどな」と言われるだろうが、覚えてないのだからしょうがない。
カエルの子はカエル。最近の私の思考と似たようなことを言われたので、これがDNAか、なんて感心していた。

「でも、まあ、姉は、結婚したりするから」どっちでもいいんやろうけど。
これもどういう経緯か忘れたが、「姉は今、バイトだけしてるプーやけどな」と言った私に父が返した言葉だ。
男女の格差に物申したい人は一旦三歩下がっていただきたい。
「でも姉はもう結婚できひんわあ、ってお母さんが嘆いてたで」と言うと、父が話してくれた。
「お父さんの周りも、まあ結婚した人いっぱいおるけど、同い年でまだ一回も結婚してない奴が一人おんねん。でも、そいつは、やっぱりなんかオカシいとこあるもん」
だから、まあ、大丈夫やろ。
いくら60手前のおっさんでも、LGBTQ等の知識はあるだろう。故に「オカシい」とは字面通りの意味として話を進めるが、少し手汗が湧きだす。

生後21年目にして恋愛経験のない私は、この先大丈夫なのかしら。
父の言う「60手前で一度も結婚してないちょっとオカシイ奴」は、のちの私ではないかしらん。
てかそもそも父は若い頃会社に勤めていたけど、私は就職できるんだろうか。フリーのプーになってしまわないだろうか。
不安が駆け巡るが、いつものこと。どんなに考えても仕方ない。高望みせず、ほどほどに生きることが出来たら、それが一番いいと思った。これがいいことなのか、悪いことなのかは、また今度考えましょう。


尾崎豊展は、あんまりおもしろくなかった。出口に置かれていた、息子のツアーを宣伝するポスターが、そういう感想を導いた。悪いのは息子じゃない、とは書いておく。


帰りは料亭的な店でコース料理を食した。
Tシャツジーパンの父と、ユニクロGUの私。場違い極まりないだろ、と始めは頬を赤らめていたが、食事の途中で来店されたご夫妻の恰好も我々と同じくらいラフだったため、肩の力が抜けた。
料理が運ばれる度に「これ、どうやって作ったんだろう」と、家の台所にもまともに立ったことのない料理素人が、サンジみたいな感想を抱いていた。作ってる方もさぞかし不快だっただろう。

父は運ばれた料理をそそくさと口にかきこんでいたが、私にはできなかった。
若人の方がプライドは高いのだ。そして、偏見も強い。父のいそいそと食べる姿を「貧乏くさい」なんて思ってしまうのだから。
箸をゆっくりと口に運び、一口一口を大切にいただいた。



来週から後期が始まる。学業頑張ろうキャンペーンがまたスタートする。
長期休みって、時間はあるけど一週間に中身が無さ過ぎて書くことに詰まるし、大学始まると、中身はそれなりに詰まるけど書く時間は確保できなくて困るよね。



本当は今回、ルッキズムのこととかについて書こうとしたんですけどね、実は。

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