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イルカ

私、イルカが好きなんです。
私の夢の象徴で、薬を沢山飲んでいつもイルカ眺めてました。イルカのことを考えると頭を強く打たれた時と似たような、やんわり暖かい感覚を覚えます。

母はよくいるヒステリックで情緒不安定なタイプです。父の帰宅が遅いと私に当たりました。私が3歳のときですかね?2個したの弟がリビングのとなりの畳の部屋の、柵がついた赤ちゃんベッドで寝ていた記憶があるのであっていると思います。
母、いつもお酒飲んでたんですけど、その日はいつもより荒んでて、生気のない顔で1チャンネルとか見てました。
母は父の好物を作り父の帰宅を待っていたのですが、母が何度電話を掛けても父が電話を取ることはなく、今晩家族で食べるはずだったグラタンがキッチンの壁に張り付いてました。私は幼ながらに今夜母が死ぬ気がしたので、深夜の1時を回っても、私は母のそばで共に父の帰りを待ちました。
母のすすり泣く声が止み、質問されました。
「首か腕か足、どれがいい?」
意味がわかりませんでしたが、良い事で無い事は確かなので、咄嗟に今後ひとつ無くてもどうにかなりそうな腕を選び、死なないでと母に泣いて縋りました。駄々を捏ねても母は聞く耳を持ってくれません。何も出来なかったので、私は泣きながら海の生き物特集を見てました。キッチンで母が腕から血を流し倒れている間、私ずっと静かに泳ぐイルカ眺めてました。

朝目を覚ますと母の腕に傷はなく、いつものようにご飯を作り、家族でお出掛けをする準備をしていました。

私、イルカが好きです

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