2020年初のライブ現地参戦 その2

UNISON SQUARE GARDEN(以下ユニゾン)のライブレポをしようと思ったら前置きが長くなったので、ライブの内容だけ知りたい場合はこの記事だけで大丈夫なように書こうと思う。

注意事項のアナウンスが終わると、すぐに照明が落ちた。通常ユニゾンのライブでは「絵の具」という曲がオープニングSEとして使われている

イズミカワソラ/絵の具 https://nico.ms/nm7782199?cp_webto=share_others_iosapp
→パッと出てきたのがニコ動だった…

だが絵の具は流れなかった。1曲目は唐突に始まった
「クローバー」
メジャー1stアルバムのトリを飾る、柔らかなミディアムナンバー。ギターのアルペジオから始まる印象が強い。
しかし唐突に始まったのだ。演奏なし、アカペラでボーカルの斎藤宏介が静かにAメロを歌い出した。
まだ照明は落ちて間もない、薄闇の中。誰も声を発することを許されない中で、斎藤の声だけが優しく響いてくる。「異質だが憎い演出だ」と感じさせられた。
アカペラはサビに突入すると、原曲通りにベースの田淵智也のコーラスが入ってくる。2人の絡み合う歌声のハーモニーのみが会場を震わせる。ここまで視界は暗いまま。
サビが終わると同時に演奏が始まり、同時に幕が上がっていき、メンバーとロゴの入った垂れ幕が視界に入ってくる。本当に憎い演出だなと思いつつも感心させられた。
クローバーは落ち着いた曲なので、皆静かに聴くのは通常のライブとも変わらなかった。だが曲の終わりがまた異質だった。
曲の終わりは少し歌詞を変えて「また会おう、って言った「んだ」 好きだよって言ったフローリア」
となるのが定番。まあここまでは予想通り〜と思っていたらフローリアまで歌い切った瞬間、次の曲のイントロが流れ出したのである

「フルカラープログラム」
インディーズ時代からある人気のロックナンバー
個人的にはユニゾンで一番好きな曲、シンプルだが演奏がかっこよくて、まとまりが良い
ここではクローバーの余韻を残さずに、急にドラムのイントロが入ってきたので「また憎い演出」と思いつつも、体を動かさずにはいられなかった。勿論座ったままだが、上半身はめちゃくちゃに動き出した。
ベースの田淵は、バラードなどの雰囲気の落ち着いた曲以外ははちゃめちゃに暴れ回ることで有名であり、日本一見切れるベーシストなんて呼ばれたりもするのだが、本日も絶好調。ステージを縦横無尽に駆け回るのだが、必ず自分のコーラスパートになると、定位置に戻る。これがユニゾンだ。感覚が戻ってきた自分も負けじと席で踊り狂っていた(座りながら)。
フルカラープログラムが怒涛の勢いで流れていき、そのまま次にドラムの鈴木貴雄がビートを刻み始める。そこに田淵のベーススラップが絡んでくる。3曲目のイントロにアレンジを加えてきたのだ

「フィクションフリーククライシス」
アルバム「MODE MOOD MODE」より
小気味の良いギターのカッティングから入る曲だが、今回はセッションを導入してからのスタート
ユニゾンの演奏力の高さを感じる演出である。
この曲は2番Aメロ→ギターソロ→転調Cメロという構成をしていて、そのCメロは「自意識がクライシス迷子!」「マイゴー!」とコール&レスポンスが成立する部分で、非常に盛り上がるポイントが高い。今回は声が出せない状況だったため、そこだけ残念に思いつつも、ちゃっかり自分はマスクの中で小さく呟いたりなどして楽しんでいた。
曲が終わると一旦小休憩を挟み、ボーカル斎藤の短い挨拶から流れるように4曲目へ

「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」
長い。タイトル長い。シングル「流星のスコール」のカップリング曲
001とでも呼んでくれと昔言ってた気がする。そう、自分がちょうどハマっていてライブによく行った頃の曲。6,7年前に戻ったような感覚に陥る
カップリング曲とは言え、リリース前からライブでやっていたり、ベストアルバム(?)にも収録それている人気曲である。
田淵特有のユニークな言い回しと「愛してる、それだけ」となんだかシンプルなフレーズが合わさった歌詞が特徴。
今回印象が強かったのは、ドラムの貴雄が原曲の1.5倍くらいの手数でアレンジして叩いていたこと。元々手数オバケのドラマーであるところを遺憾なく発揮してきたが、誰かが忘れた頃により強化された曲を見せつけられた瞬間に、脳内でドーパミンが溢れ出すのを感じた。
その次が「セレナーデが止まらない」
001と同年のアルバム曲。本当に当時に戻されたような感覚が続く、個人的にはとても気分が良い。
斎藤のシャウト、エッジの効いたギターリフ、止め処なく進む曲展開、「ああ、これめちゃくちゃ好きだったなあ」と回顧しながら、田淵に負けまいと体を頭を揺らし続けた。この勢いを保ったまま次に出てきたのが
「世界はファンシー」
最新アルバムから先行して公開された曲

https://youtu.be/FHUHKIrUH6Y
↑お茶目なメンバーが見られる楽しいMV
本当だったらこのタイミングで「おおおおお!!!」と歓声が上がるだろうなあというのを皆必死で堪えていただろう、キラーチューンなのだ。
とにかく斎藤が忙しい。早口から早口の連続。「My Fantastic Guitar」なんて言ってからソロに入るのもとってもファンシー(歌詞を書いているのは田淵)

あと楽しくなってしまったのか、田淵がものすごい勢いでステップする。だがベースはちゃんと弾いている。いや、そもそも足は動かす必要ないだろうに…これもユニゾン節だなぁ

サビ前に「アッアッアッアッア アアアア」とまあ合いの手のような掛け声があるのだが、これも大声で皆で歌ってみたいなあと思いながら小さく口を動かす。こちらもこちらで踊ったり歌ったりマスクのポジションを戻したりと忙しい(自業自得)

アルバムだと「Fancy is lonely.」と歌って締めくくり、「弥生町ロンリープラネット」という曲に繋がるちょっとオシャレな仕掛けがあるが、今回繋がったのが
「君はともだち」
セレナーデ〜と同じアルバムのしんみり枠の曲
孤独を生きる人に理解を示し、僕が友達だよと寄り添う、そんな曲。なるほど、lonelyからのこの繋ぎはオシャレだ。
記憶違いでなければ、生で聴くのは初めてだった気がする。アルバムツアー行ってなかったと思うから。改めて聴くと心が温まる曲だなと思いつつ、こんなご時世だからこそこの曲のメッセージ性を感じることもできるのかなと感じ、憎いねユニゾン。

曲が終わってMC。喋るのは大体斎藤。ユニゾンメンバーは皮肉が効いててトークが面白い
会場の近くにセガのゲームセンターがあり、ライブの開催を記念して「ユニゾンスクエアガーデン」特設コーナーが作られていたとの情報を得たとのこと。クレーンゲームが4つあるらしい
うちひとつはユニゾンのタイアップでお馴染みの「Tiger&Bunny」シリーズ。まあこれはわかる
が、残りの3つがなぜかスプラトゥーン…笑
斎藤「メンバーの1人が好きってだけで置かれてるだけでしょ」
田淵爆笑
後ろで少し俯いている貴雄。ファンには有名だが、誰かさんはスプラトゥーンガチ勢らしい。
斎藤「そんなことならサッポロ黒ラベルでもいいじゃんね」
いや、ビールのクレーンゲームてw
斎藤「僕の好物ね。水より飲んでるから」
それは流石に嘘w
この間の配信キリンがスポンサーだったけど、黒ラベル好きなんだね。と勝手に共感。

会場の音響の良さの話なんかもしつつMCは終わり、「せっかくアルバムを出したのでそこからも1曲」と言って
「夏影テールライト」へ

https://youtu.be/KO2y0Yr7tAY

晩夏のような初秋のような、少ししめやかな雰囲気の曲。それでもユニゾンは演奏にキレがあって、儚さの中に少しノリやすさが出るのが良いところだと思う。
この曲もアルバムに繋がりを作っていて、「幻に消えたならジョークってことにしといて」というフレーズで締められる。そう、個人的にこの流れがとても見たかったので期待がとても高かったのが次

「Phantom Joke」
fateシリーズのアニメタイアップ(と最近知った)曲
アニメ版とは歌詞が少し違うんだとか
特徴的なフレーズからスタートし、とにかく勢いで駆け抜けていく曲
やはり暴れ回る田淵、でもコーラスには定位置。偉い(?)
勢いのままフリーセッションへ。というか次の曲への導入として4拍子を刻んでいく。こういう途中に挟まれる演奏にも遊びを入れつつしっかりと次に繋げていくのがユニゾンの魅力。

「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」
ライブで初披露された後「一体いつ音源化するんだ!」と待ちぼうけを食らったのだが、そんな思い出も懐かしい、とにかくライブを盛り上げるキラーチューン。Phantomからの流れで突っ込んでいく強さよ…
おそらくシンセサイザーが前面に出てくるユニゾンでは珍しい曲、だがそう、踊るには持ってこいである。
田淵がやたらに演奏中に足を上げて踊る。いやそんなに動く必要もないが…なんだろう、普段からエネルギー有り余ってるんだろうか。
サビの出だしはコーラスパート(田淵が高音、貴雄が低音)になっていて、ここもいつもは観客大合唱のところだなあと噛みしめながらしれっと自分も合唱。これが楽しくてやめられない。

田淵のすごいところは暴れ回って弾いてないんじゃないかと思うところで、きちんとベースを弾いているところ。左手を離してマイクスタンドを回し始めたり、斎藤に絡みに行ったりしても、その間も右手がきちんと開放弦を弾いていたりする。まあフレーズが正しいかまでは判別してないけど、曲が破綻することはない。次の瞬間には左手はきちんと抑えるべきところにある。
ここのギターソロだったか、斎藤が前面に出てきて思いっきりかます、その足元に田淵!田淵が座り仰け反ってベースを弾いている!なんだこの構図は…と唖然だった(あまり珍しくもない光景)
そんな徹頭徹尾に盛り上げる夜な夜なドライブの後に、音源通りのセリフを斎藤が発して放たれるのが

「ライドオンタイム」
2ndアルバムの曲、自分が初めて行ったユニゾンのライブで聴いて好きになった曲だ。
曲名が曲中にひたすら出てくるので、それをコーラスするのが楽しい曲。勿論これもマスク越しに歌いましたとも。
先日の配信ライブでBIGMAMAというバンドがサプライズでカバーしたのも良かった。が、やはりオリジナルを聴くとアガってしまうものだ。
もう田淵も「みんな歌っちゃえよ!」みたいな雰囲気を出してたように見えた。本当にライブが好きなんだなぁこの人たちは、と思えた。

そしてラスト、ピアノのイントロが流れ出し
「harmonized finale」
タイバニの映画タイアップ
曲が出た当時、締めと言えばこれだったなあという思い出
ピアノに合わせたしっとりめの曲のようで、やはり演奏は力強く、「ずっと続けばいいな」「けど終わりが近づいてるのもわかるよ」そんなフレーズが沁み渡っていく。
別れの際に「また会えるよ」と
「終わりじゃなくてここから始まるんだよ」と
伝えてくれる。ユニゾンのライブ、今日はこれが最後だけど、またいつか会えるんだよ。と次に希望を持たせてくれる曲なんだなあと改めて考えさせられた。
メンバーやスタッフが必死になって、どうしたらこんな状況の中でも音楽を皆に届けられるか、ってのを考えた結論としての、こういった形で実現したライブ。最後の最後でグッときた。
原曲通りに最後は斎藤の弾き語りになるところで暗転。最初の演出を思い出しつつ、歌い終わったところを見ると、田淵と貴雄が既にハケていた…
そしてまだ薄暗い中、斎藤は何も言わずにお辞儀をしてハケていった。トークはうまいけど下手にペラペラ喋らずにピシッと締める、ユニゾンのそういうところも好き。

明るくなって、ロゴの垂れ幕に「See You Next Live!」の文字が!
やはり、まだロックバンドは生きている、演奏することをやめられない俺たちはこれからも続けていくから、また会おうぜ。
そんなことを改めて言われた気がして、そこに生きる希望が見えたかな、なんて。
(すごく余談なんだけど冒頭で言った「絵の具」、終演後に流れてきた…)

ライブ単体の感想をこれだけ長文で書いたのは初めてだけど、今回はコンセプト通り、座ってでもバンドって楽しめるんだなというのを実感させられたし、なんというか、そこから生まれた余裕が普段のライブとは違って印象深く残った、それでこれだけ書けたのかなと思う。実際配信ライブとかTwitterに実況とかしちゃってマジマジ見たりしないし、映画と同じでやっぱ現場でそれだけを集中して見る方がきちんと思い出になっていいと感じた。

あと古今東西色々なアーティストが活動を阻まれている世の中で、こうした形でライブが楽しめる環境があるんだな、というのが大きな発見。場を整えてくれた人たちには、深く感謝を申し上げたく存じます。

ただユニゾンが好きでその想いを吐き出そうとした割には、もっと視野が広い部分での話になったなあ、なんて思いつつ…
拙い文章で読みづらかったと思いますが、もしここまで読んでくれた方がいたら、お付き合いいただきありがとうございました。
また気が向いたら何か書きます。

それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?