普通・準中型・中型免許のくわしい推移/運転免許統計2021

普通は世につれ、世は普通につれ。

「普通」が主観的であるにもかかわらず、客観的な制度に取り込もうとして破綻する。運転免許の世界でも「普通」というくくりによって制度自体が複雑化するという現象が起きてます。

普通・中型・準中型

いつの時代にも「普通免許」はありますが、近年であれば2007年の「中型免許」新設、2017年の「準中型免許」新設によって、「普通免許」の位置づけは変更されてきました。

この制度の変遷については本題でないので取り上げません。

制度の変更によって生じた統計上のうごきをみていきます。

普通免許

普通免許保有者人口ピラミッド@2001
普通免許保有者人口ピラミッド@2021
※2001との横軸不一致に注意

2001年時点で普通免許の保有者は7,000万人を数えました。2021年に550万人に急減しています。

上図の右下線グラフは年次推移を示します。どうも2007年と2017年に急減したタイミングがあるようで、これは中型、準中型の新設年と一致します。

つまり、制度変更によって普通免許が中型免許(限定付き)とみなされたり、準中型免許(限定付き)とみなされたりで保有者がいなくなってしまったというわけです。

中型免許

中型免許保有者人口ピラミッド@2007
中型免許保有者人口ピラミッド@2021

2007年に普通免許の上位に新設された中型免許は、当時すでに普通免許を保有していた人がみなしで保有することになりました。というわけで、2007年時点で7,500万人が保有しています。

その後、運転免許を新規で取得する人のほとんどは(その時点での)普通免許で十分間に合います。中型免許の新規取得は返納したり亡くなったりするなどでの減少分を補えておらず、総数は純減傾向です。

準中型免許

準中型免許保有者人口ピラミッド@2017
準中型免許保有者人口ピラミッド@2021

2017年に普通免許の上位、中型免許の下位という位置づけで準中型免許が新設。2007年から2017年までに取得された普通免許は準中型免許(限定付き)とみなされました。

ここ4年での数的な変動はほとんどありません。保有者が亡くなったりして減るでもなく、新たな取得者が増えるでもなく、保有者数をほぼ維持しています。

普通は世につれ、世は普通につれ。

普通という概念は10年足らずで変更を余儀なくされるもので…

新規取得(交付件数)

累計の保有者ではなく、毎年の交付件数の推移もみてみます。下図では淡色が新規交付、濃色が併記交付を示します。

また右下の線グラフが男女別総数の年次推移を示します。

普通免許

普通免許交付件数@2021

中型免許

中型免許交付件数@2021

準中型免許

準中型免許交付件数@2021

普通免許も年々交付件数を減らしているとはいえ、男女合わせて120万人に交付され、その大半が20代までの若年層。

中型は仕事で必要など、幅広い年齢層に交付。なぜか女性は30代からの取得が増えると。総数15万件。

準中型も選べる車種が増えるので、そこそこ需要があり10万件の交付。

合算

普通とか中型とかややこしいねん、というわけでぜーんぶ普通やという粗いくくりの「普通系」として合算で表示したのが下図。

普通免許を取得後に中型免許を取得した場合など、上位免許を延べ数で合算してしまっているため正確ではないものの、大勢にそれほど影響はないものと勝手に仮定。

保有者数

普通系免許保有者人口ピラミッド@2021

増え続けた保有者数も、少子化のあおりで頭打ち、高齢化により減少フェーズへ…

交付件数

普通系免許交付件数@2021

交付件数は下げ止まっている?これは延べ数の影響が大きく出ており正しい解釈が難しいかも。

保有者数/人口

普通系免許保有者と人口ピラミッドの重ね合わせ@2021

男性のほとんどが免許を取り出したのが40~50年ほど前でしょうか。女性では20~30年前ほどか?

人口ピラミッドと普通系免許保有者ピラミッドは完全に重なることはありません。高齢層ではっきり乖離しています。

また若年層においても乖離の兆しがあります。つまり免許を取らない・取れない若者が増えている可能性があると。

免許は世につれ、世は免許につれ。

世情を映す鏡としての運転免許統計には面白い発見があります。

動画でみる推移

今回は種類が多いので、YouTube再生リストをまとめて提示。



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