第２種免許にみるタクシー運転手の高齢化／運転免許統計2021

2022年9月7日 16:06

普通とは何か。

答えのない、というか答えの定まらないこの問いは、免許制度を設計する困難の象徴といえるかもしれません。

普通二種・中型二種免許保有者数

このnoteではタクシー業務などに必要な普通二種、中型二種免許を取り上げます。バイクの「二輪」ではなく、種別としての「二種」であることに注意。ちなみに、二輪免許に二種はありません。

普通・中型二種免許保有者の全員が職業タクシードライバーでもないです。が、ここでは保有者≒タクシードライバーと考えます。

中型免許が2007年に新設されたことで、ややこしい状況が生じています。

まずは2001年、2021年の普通二種免許の保有者を性・年齢別にみたものがこちら。

2001年、なんだかやけに中年から高齢の男性にかたよった図やなと思わせる分布。タクシードライバーは中年男性、というなんとなくのイメージは統計上にも表れています。

2021年。形どうこうより、総数は147万人から7万人へ激減している点に目が行ってしまいますね。

図中の線グラフ（右下）は男女別にみた推移で、どうも二段階の激減年を経て現状に至ったようです。

該当の年次は2007年と2017年。それぞれ中型免許（一種・二種）と準中型免許（一種のみ）が新設された年ですね。

つづいて、2007年に新設された中型二種免許の性・年齢階級別保有者。

2007年までに取得された普通二種免許は、限定付きの中型二種免許とみなされることとなりました。120万人が普通から中型へ移行したわけです。

2001年に140万人以上いた普通二種免許保有者のうち、20万人は年齢を理由に引退したのかもしれません。

2021年。中型二種免許は先細り感の強い分布になっています。

右下の推移を見れば、2017年にいったんの急増をはさんで減少傾向が続いています。2017年は第一種の準中型免許が導入されましたが、第二種にはこの区分がなく、限定付きの中型二種免許とみなされたものと思われます。

制度変更をこえて推移をみるため、普通二種と中型二種を合算した数値で同様の図を作成しましょう。

人数比で「中型84.4：普通6.7」なので、ほぼほぼ中型の図をなぞることになります。

やはり先細り感のある図。

右下を見ればわかるように、男性の数が減り続けています。女性は増えているものの、男性の減少を補えていません。純減。

また高齢化によって今後も減少傾向は続くことが確実です。

「タクシードライバーは中年男性」という20年前の感覚が、近年は「タクシードライバーはおじいさん」みたいに変化した方もいるのではないでしょうか。

乗り込んだタクシーの運転手が女性だったり40代以下の男性だったりすると「めずらしいな」と思う感覚は、確率統計的にも的外れではないです。

入るを量りて出ずるを為す。

高齢化によって引退する人が増えるというのが間違いのないことだとしても、新たに取得する人もいるわけで、今後の動向は新規交付件数にも左右されます。

普通二種免許の交付件数を2001年と2021年で比較してみましょう。

交付件数の総数では2万人が1万人に半減。年齢別分布では中年層主体から若年層や壮年層に広がりました。女性割合が増えています。

右下線グラフに二度見られるスパイクは…なんでしょうか？リーマンショック？

普通二種免許よりも上位免許である中型免許。新規取得はより高いハードルがあります。

2017年に異常値を記録した以外、中型二種免許の交付件数は高々500件程度です。

合算でみたところで、高々数万件の交付にすぎません。先に見た100万人以上の中型二種免許取得者プールに与える影響は軽微です。

タクシードライバーの新規参入は限定的で、数年内に高齢層がごっそり引退する可能性も高く、

ここまで静止画であげた図からも様々な読み解きができそうですが、動画だとより多く正確かつ精確な情報を得られるかもしれません。

一々上げると数が多くなるので、YouTubeの再生リストにて。

二種免許は免許の区分が紫色で表示されています。

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