【物流2024年問題】大型免許は減少局面がつづくか?/運転免許統計2021

「物流業界の2024年問題」

物流業界における2024年問題とは、2024年4月から施行される働き方改革関連法によって、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に上限規制されることに伴う様々な課題のことです。

この規制は、ドライバーの労働環境を改善するために必要なものですが、一方で、人手不足や輸送量の減少など、物流業界に大きな影響を与えると予想されています。

人手に関する基礎知識

トラックを運転するには相応の自動車運転免許が必要。このnoteでは「大型免許」保有者人口ピラミッドを示し、人手不足の現況をとらえます。

大型自動車運転免許の性年齢階級分布

トラックなどの大きな自動車の運転に必要な大型免許。基礎的な物流網はもとより、ネット通販など生活に必要不可欠となった便利なサービス・インフラを支える免許です。

どのような属性の人が大型免許を保有しているのか、人口ピラミッドに重ねてみましょう。色つき部分が保有者をあらわしています。

大型免許保有者人口ピラミッド@2021

15歳以上に占める保有者は4%ほど。分布としては男性に偏り、年齢も高めに見えます。

性別ごと、5歳階級ごとに見た場合の最も割合が大きいのはなんと「70代前半の男性」で63万人ほど。元の人口が多いこともあるでしょうが、おなじく人口の多い40~50代男性は保有者数が伸びていません。70代ともなれば、すでに一線を退いている方も多そうな印象です。

推移2001-2021

20年前の様子と比べてみましょう。2001年には50代で働き盛りの男性が特に多いことがわかります。

大型免許の保有者分布@2001

ちなみに上図右下は男女ごとに見た年次推移で、2007年ごろを境に総数は減少フェーズに突入しています。

大型免許の保有者分布@2021
※2001との横軸不一致に注意

2001年から時を経ること20年。確実で着実な経時変化によって2021年は70代前半男性が最多で、50代前半男性がそれに次ぐ形となりました。

目立ちませんが、女性の数は増加し、20年で4万人ほど増えました。この点は36万人が減った男性と対照的です。ただし30代以下をみれば男女ともに数を減らしており、今後の情勢は不透明です。

「自動運転」という技術の応用先は長距離を移動するトラック輸送が大本命かと思いますが、こうしたイノベーションも今後の大型免許取得状況に影響を与えるかもしれません。

交付件数

運転免許統計では保有者のほか、交付件数も示されています。

大型免許交付件数@2001
大型免許交付件数@2021
※2001との横軸不一致に注意

大型免許の交付件数はここ20年で半減しました。上図右下の折れ線グラフを見れば、2008年に大きく減らしたことがはっきり表れています。

理由として考えられるのは、中型免許が新設されたため。2007年にできた「普通」より大きな「中型」という区分が大型免許の需要を減少させたためと考えられます。

仕事に必要な自動車を運転するには中型免許で十分だから、大型まで取る必要はない。そうした状況が生まれたのではないでしょうか。

動画で見る推移

保有者

交付件数


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