労働力調査がかかえる高齢者区分のおかしさ
要約
労働力調査は「70歳以上」の人をもっと細かく分けるべきや。今のままやと高齢者の実態が見えづらいし、雇用政策もうまく立てられへん。15歳から80歳までを労働力の中心とする区分を作れば、高齢者の働き方に合わせた対策ができるようになるんやないかと思います。
労働力調査
労働力調査って簡単に言うと日本の人たちがどんな仕事をしてるか、どんな人が仕事を探してるか、そういうのを調べる調査やねん。
毎月、統計局が選んだ4万ぐらいの家庭にアンケートを送って、回答してもらうんや。そしたら、就業者数や完全失業率なんかの数字が出てくるわけや。
これらの数字は景気や雇用の状況を判断するときに大事な指標になるんやで。だから、労働力調査は統計法に基づいて実施されてる基幹統計ということになってるんや。回答する人は義務があるし、調査する人は秘密を守らなあかんし、そういう厳しいルールがあるんや。
2021年版
さて、2021年のデータを人口ピラミッド風グラフでみてこか。
15歳以上人口
労働力人口の基礎は15歳以上人口や。5歳区切りの年齢階級で性別ごとに示されとる。やねんけど、上限がおかしいんちゃうかと思うわ。
70歳以上?
いやいやいや。上のグラフ見たらわかるけど70歳以上の人口が多くなりすぎて突出しすぎてますやん。せめてせめて70-74、75-79、80歳以上までは細分化せんと労働力の実態がつかみづらくなると思うねんけど。
労働力人口
ほら、15歳以上人口に労働力人口を重ね合わせると、縮尺がおかしなってみにくいやん。
というわけで、70歳以上のはじっこが切れるのは無視して縮尺調整。日本の労働力はおおよそ6,900万人。その分布は人口的制限があるわけで図のとおり。
右側グラフは性別ごと、年齢10歳階級ごとの推移やけど、基本的に増加傾向。性別ごとの推移グラフから、近年は女性が労働力人口の増加要因になってるわ。
そしてもちろん、全体の少子高齢化を反映して労働力人口の少若年層高齢化も進んでる。
完全失業者数
労働力人口とは、仕事をしてる人や、仕事を探してる人のことや。完全失業者数とは、仕事を探してるけど見つからへん人のことや。
日本は諸外国に比べて失業率が低い。15歳以上人口に完全失業者を重ねた上のグラフでは中心部のうっすいスジくらいで全然目立たへん。
ただ、もちろん拡大してみると総数およそ200万人の厚みがあるし、右側の推移グラフを見れば景気などに従って大きく増減してきた経緯があるわ。「××バブル崩壊」とか「○○ショック」とか「氷河期」とか、それぞれのピークにキーワードが思い浮かぶやろね。
年齢別でみると20代、50代が多く、30代、40代が少ないっていう特徴的な形をしてるわな。男女ともそうやから構造的な何かがあるんやろけど、真相は不明や。
不況による失業の影響を受けやすい年齢層があるんかもしれん。
非労働力人口
非労働力人口は仕事(≒賃労働)してないけど、仕事探してるわけじゃない人の数。
非労働力人口はこんな感じやね。70歳以上は突き抜けてもうとるね。
労働力人口のネガとかんがえれば、性質は反転してる。女性が多いとか。高齢者が多いとか。右下グラフが赤く染まりそうで…。
「70歳以上」という区切りのおかしさは、今後、高齢者の労働参加割合が増える見込みがある中で、ますます強調されていくことになるやろって気がしてる。
おわりに
80歳までの細分化を!
このnoteでは、労働力調査がかかえる高齢者区分のおかしさについて説明したで。
労働力調査では70歳以上の人を一括りにしてるけど、実際には70歳以上の人も多く働くようになるはずや。このような区分では、高齢者の雇用状況や労働力率を正しく把握できひん。
80歳くらいまでは追加的に設定することを提案したい。これによって高齢者の働き方の多様性やニーズに応えることができるはずやし、なによりグラフが見やすくなるねん。
ぱっとみて多くの情報を正確に把握できる図解・図示はめっちゃ大切やねんで?
動画
動画もあるで。ここでは完全失業者人口ピラミッドの長期推移。
YouTubeチャンネル「労働力価」では他データの動画も公開中。
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