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別に詳しくなくたって、好きなものは胸を張って好きと言えば良い

私の好きな小説の一つに『ノルウェイの森』があります。

『ノルウェイの森』は好きなんですが、村上春樹の小説は『ノルウェイの森』と『1Q84』しか読んだことがありません。『1Q84』の方は、面白い作品でしたが、好きかと言われればそうでもないです。やたらとセックスするなあ、という印象が強いです。

私は別に村上春樹のファンでも何でもないので、何となく『ノルウェイの森』が好きだと言うのが憚れました。村上春樹って熱狂的なファンがいるイメージがあったので……。

好きなものを好きだと発言する行為が憚れるって、何だかおかしな状況ではないですか。ある日、ふとそう思いました。私は一体何に気を遣っているのでしょうか。私は『ノルウェイの森』が好きですが、『ノルウェイの森』が村上春樹の作品の中でどういう位置づけなのか語ることはできません。それでも、私はこの小説を読んで、面白いと思い、この小説が好きだと思っています。この気持ちに嘘偽りはありません。だったら、堂々と胸を張って好きだって言おうと思います。

『映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレーコンテンツ消費の現在形~』の本のある一節を思い出しました。

「ちょっと好き」程度じゃ「○○オタク」だなんて、とても名乗れない。「Z世代の間では、『オタク』と名乗るハードルが年々上がっていっています。『これ興味がある』くらいでは当然ダメ」

映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレーコンテンツ消費の現在形~

言われてみれば、私は多趣味な方だと思いつつ、何か「オタクだ」と言えるジャンルは無いなと思ってしまっています。私はギリギリZ世代に入るか入らないかの世代ですが、なるほど自分も一種の「好きと公言するなら詳しくないといけない」という無根拠な空気にビビっていたのかもしれません。考えてみれば、好きだったら詳しくなる、というのはおかしな話です。本来は好きであることと詳しいことは全く別の状態であるにもかかわらず、さも因果関係があるかのようにセットで扱われてしまっています。

何か当たり前のことを回りくどく書いているような気がします。結局何の話をしていたか言いますと、村上春樹の作品をあまり読んだことが無かったので、『ノルウェイの森』が好きなのに何となく言いにくかったけど、これからは堂々と『ノルウェイの森』が好きだと言う、という単純な内容でした。

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