Steamに同人ゲームを出してみた

この記事はCCS †裏† Advent Calendar 2020 17日目の記事です。

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おはこんばんちは
09HのP+LuCK(トシ)です。
毎年アドカレで怪文書を投げていましたが、今年は比較的まともな文章を書くことにしました。


Steamに同人ゲームを出してみました

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∀kashicverseは、エンドレスシラフというサークルで(いろんな方に迷惑をかけつつ)作った同人シューティングゲームです。
完成したのが2012の12月ごろ。我々まだ当時学生でした。
それを2020年の今頃になってSteamで配信してみました。
色々と感慨深いです。

パブリッシャーに頼らず、自サークルより独自配信

実は、エンドレスシラフは、過去にも∀kashicforceというゲームをSteamで配信しています。

ですが、こちらは企業パブリッシャー様にSteam配信に関するもろもろを丸投げする形でした。
対して今回は、外部の企業パブリッシャー等に依存せず、自サークルでSteamに配信してみました。

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そんな感じで、両方を体験しましたので、比較しつつ備忘録をまとめるなどしようかと思っています。

余談:何故自サークルで配信しようと思ったか

余談です。外部パブリッシュと自力パブリッシュの比較や備忘録を見たい人は飛ばしてください。

理由は、一言で書くと、我々が同人サークルだからです。
同人というのは、趣味です。生きるため、生業(なりわい)として、ではなく、生きる上での余暇でやってます。
対して、商業は、生業です。生きる為の活動が、商業でしょう。
つまり、同人≒趣味≠生業=商業みたいな感じになります。同人と商業は基本的に相容れないのです。
よって、商業、企業パブリッシャーに依存せず、自力で配信出来るなら配信してやろう、と思い、今回無事配信までこぎつけました。

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役割や土俵、求めてるもの等、商業と同人はいろいろと異なったりします。
何よりエンドレスシラフは「商業に出来ないことをやる」をアイデンティティにしているので、この辺やたらと拘ります。
ただ、これに関しては今回の内容から離れてしまうので、また別の日に書きたいと思います。

また、次より本題に戻りますが、自サークルで配信する事を推奨する様な確証バイアスがかかっています。よく咀嚼して自ら判断してください。

自サークルによる自作ゲームのSteam配信の備忘録

ここから本題です。

自サークルでSteam配信をするにあたり、便利だったことや、大変だったことがそれぞれありました。
まずはこれについて、パブリッシャーに委託した場合との比較もしつつまとめていきます。

1-1.Steamでは、BoothやDLsiteと同じ感覚でゲームを配信できる

この場合の「BoothやDLsiteと同じ感覚」とは、自身が主体となって操作できる事です。
具体的に、自身がボタン押した瞬間にゲームが配信され、ボタンを押した瞬間にストアサイトの情報が更新される事などですね。
ただし、初回一回に限り、作品とストアページの審査が入ります。
また、審査費用に約1万円かかりますので、注意してください。*
審査さえ終えて仕舞えば、以降はボタンを押した瞬間に何もかも反映される様になります。**
なお、Steamへの登録から作品の登録までは、マニュアルに沿っていけば迷う事もありません。


*1万円と書いたが厳密には$100。これはゲームの売上が$1000に到達すると返金される。
**厳密に言うと、価格を更新する際は、毎回簡単な審査が入る。

1-2.上記をパブリッシャーに依頼した場合

パブリッシャーに依頼した場合、ビルドの配信や更新、ストアサイトの更新は、パブリッシャーに任せる事になります。
それらを行うには、いちいちパブリッシャーに依頼したり説明したりする必要があります。
当然、相手も人なので、時間がかかったり、齟齬があったりします。
商業プライオリティ的に後回しにされることもあるでしょう。
また、企業なので、営業時間外は対応してくれません。
ここをどう感じるか分かれると思います。

2-1.Steam登録開始から配信までにかかる日数:だいたい6週間程

Steamで作品を配信するには、リリースの少なくとも 2 週間前までに、 Steam上でストアページを公開している必要があるというルールがあります。
つまり、作品を配信するためには、まずはストアページを完成させる必要があります。
ただ、ストアページのレビューには、完了までに通常3~5営業日を要します。
その上、大体は一回のレビューで通る事はなく、何度かフィードバックと対応の往復が発生するでしょう。よって、レビューが通るまで15営業日(つまり3週間)ぐらい見積もっておいても良いかもしれません
また、そもそもsteamworksでゲームの配信作業を始める前に、財務情報の登録と本人確認作業等があります。
上記確認作業で、公式に5日間程かかると連絡がありました(実際は1日でしたが)。
入力もろもろの時間を考えると、少なくともリリース予定日の6週間前からリリース準備を始める方が良いのではないでしょうか。
なお、ストアページのレビューのあと(もしくは同時)にゲームのレビューを行えます。
ゲームのレビューは、リリース時までに終わっていれば良いです。
ゲームのレビューも通常3~5営業日を要します。ゲームもレビューを何往復かするので、レビューが通るまで15営業日ぐらいかかることもあるでしょう。
よって、ゲームの提出締め切りは、少なくともリリース予定日の3週間前ぐらいの気持ちでいると事故が少なそうです。
なお、ゲームのレビューは、下記要素の確認に集約されます。
・製品が正しく起動すること。
・ストアページに記載の全機能が、現在のビルドで実装されていること。
(・製品におけるすべてのゲーム内購入には Steam ウォレットが使用されること。)
よって、これさえ満たしていれば、さっさとレビューに回しましょう。
一度通ればあとから更新し放題です。
クラッシュさえしなければ些細な不具合は見逃してくれるので、レビューが通ってから修正しましょう。

2-2.上記をパブリッシャーに委託した場合。

パブリッシャーにお願いする場合は、コミュニケーションコストがかかりますので、もっと余裕が必要です。
実際、配信までに数ヶ月かかります。
また、ビルドを渡した時点で、パブリッシャー側によるデバッグが入ります。
商業なので、相応の品質管理が求められますから、当然です。

3-1.言語の壁

一番ネックとなる問題は英語力です。
Steam上の標準語は英語で、何もかも英語で対応する事となります。
当然、Steam担当者からの連絡も英語でやりとりしますし、レビュー結果も英語です。
ゲームのローカライズはもちろん、販売ページの文章も英語がメインとなります。
これを自力で行う必要があり、ここが一番大変でしょう。

英語の業務的なやりとり自体は、deepL翻訳などを介せば、千葉大に受かるレベルならなんとかなります。
問題はローカライズです。
最近なら、海外製ゲームのガバガバ日本語翻訳を見る事もあるでしょう。
意味は通じるけど、ガバガバすぎて笑ってしまうアレです。
deepL翻訳に頼ってローカライズを進めると、おそらくアレらと同じ状態になります。
これを防ぐために、エンドレスシラフでは下記方法をとりました。

我々が選んだローカライズ問題への回答:
アーリーアクセスに設定し、ネイティブのプレイヤーの方々と一緒により良くしていく

アーリーアクセスでリリースし、Steam communityと連携し文章を修正していく道を選びました。
その上、ゲーム内の全テキストを公開し、誰でも編集可能としました。

↑実際に公開したURL

これにより、ネイティブの人が自由に文章の修正が可能となり、ガバガバ翻訳を防ぐことに成功した、気がしています。
正直性善説な作り方ですが・・・同じやり方をwikiもやってて上手くいっています。
私はwikiに信仰心があるので、このやり方でもうまいこと行くんじゃないかなぁと思ってやってみました。
割りと良い感じな気がしてます。
気がしてます。
(ネイティブじゃないからなんもわからん)

3-2.パブリッシャー委託の場合

上記の大変な作業すべてを肩代わりしてくれます。
ここがパブリッシャーに依頼した場合の特に強いアドバンテージでしょう。
また、専属のネイティブが翻訳してくれます。安心度が高いです。
なお、∀kashicverseレベルの文章を翻訳家に翻訳してもらった場合、7桁程費用が掛かります(泣)

4-1.広報周り

自身がパブリッシュするのですから、広報活動も自らが行わなければなりません。
コミュ障な我々にはなかなか難しい事ですが、地道にやる必要があります・・・。
正直なんもわからん

4-2.パブリッシャー委託の場合

全部やってくれます!
そのパブリッシャー自体にファンがいらっしゃいますので、まずそこに広く知られます。
その上、日英共にTwitterやTGS等で広報活動を行っていただけます。
特に英語での広報は、大変ありがたいと感じました。

ただ、やってくれることはあくまで自社広報にとどまっています。
自社の既存の枠の中では、充分に広報活動を行っていただけます。
ただ、広告費を払ってまで外部に向かって宣伝はしてくれません。
元からいるフォロワーに対して告知するという感じになります。
そこだけ注意してください。

以下、時間が足りないので足早に備忘録をまとめます

・価格変更のボタンが事故りやすいデザイン
価格変更は毎回Steam側にレビューを通す必要があります。
だいたい1日でレビューは通るのですが、「価格適応ボタン」がわかりにくい場所にあります。
その上、とてもわかりやすい所に、でかでかと「価格提出ボタン」があります。

ファックなことに、この「価格提出ボタン」を押すと、再度レビュー待ち状態になります。
通った価格情報も破棄されます。
レビューのやり直しです。
これによって、価格の変更が少なくとも1日遅れます。

・アーリーアクセス⇒正式リリースは、価格がレビュー状態だと行えない
価格変更のレビューを依頼した状態だと、正式リリース状態に移行できません。
事前に「本日正式リリース!」とかやってた場合、誤って「価格提出ボタン」を押すと大変酷いことになります。
我々はこれをやらかしました!

なお、Steamは土日は休みです。
日曜に配信しようとした場合、日曜にこの失敗をすると、月曜日の夜頃まで先延ばしになります。
残念無念・・・。

なお、Steamworksのページを載せていいか調べてないので画像はありません。
ただ、価格変更を反映する際、よく注意してください。

・DLCもストア、及び、ビルドのレビューが必要
でもストア公開後リリースまで2週間必要ルールはない
DLCもストアレビューが必要で、しっかり文句言ってきます(問題点のご指摘ありがとうございます)。
ただ、公開後2週間リリース出来ないルールはない様です。
現在進行形でDLCのストアを準備しているので、今後ここに結果を追記します。

備忘録は以上です。
最後、時間の都合で走り書きになってしまいすみません。

結論としましては、私は自サークルでのSteam配信に満足しています。
自身の宗教抜きにしても、今後も自サークルでSteamに出していくと思います。

関係ないですが、N社のDLソフトもceroが必要なくなりました。
そのうちこちらへの移植も検討したいなぁと思ったり思わなかったり。


最後に

エンドレスシラフは同人ゲーム作るマンを常に募集しています。
格ゲーコマンドでSTGしたり、対戦格闘アクションシューティング落ちもの音楽リアルタイムストラテジーゲームみたいなちょっとネジの緩い同人でゲーム作っていきてぇ思う人は、是非とも1回飲みましょう。

質問、文句、飲み約束等、何かあればこちらにDMなりリプライなり送ってください。

https://twitter.com/endless_shirafu/


懺悔:画像載せてる時間なかった許して


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