ペルソナ3オブザデッド リロードたのしみ日記(n+5)

何がそんなにエモいのか?P3信徒の17年

こちらは、「ペルソナ3のラストだけはなんとなく知ってる」くらいからの御(おん)にわかの方であらせられる普通の人間のお客様向けの記事です。

ペルソナ3って何?という方はどうぞそのまま公式サイト公式YouTubeへ行っていただき、琴線に触れるものがあったなら購入なりゲーパスなりでプレイしていただけると、沼の底の住人が喜びます。とにかくこの記事はペルソナ3とか他にもいっぱいのネタバレを含みます。ご注意ください。

 本記事の目的は、「ちょっと知ってる」方がP3Rをプレイして受け取るエモを倍々化することにあります。その手段として、ペルソナ3(以下P3)が最初の発売以後細く長く紡いできている物語17年分を、私こと1ユーザーの視点から語らせて頂きます。もちろん主観です。ソースが出せないこともたくさんあります(ごめんやけどめんどくさすぎて)。P3Rを始める前に本記事をお読みいただくことで、P3Rという作品から受け取れるものが400%増しになり、気が済むまで遊んだ頃にはP3Rコスパもタイパも最高じゃん実質無料だったな、と思っていただけることを企図しております。
 では始めます。

主人公生死論争

 「やったことないけどラストだけ知ってる」みたいな方はP3の物語の終わりに主人公が死んだことを知識としてスッと秒でインストールされたことと思います。ですがリアタイプレイヤーはそうではありませんでした。本編のエンディングは、当初、「コミュを上げたNPCが主人公の葬式に来て、人間関係を頑張った量が可視化される」という炎上必至の演出が準備されていたのですが、幸いにしてさすがにそれは、と止める人がいて、本編のようなふわっとした演出で物語の幕を閉じる形になりました。
 しかし演出がふわっとしていたため、当時です。プレイヤーたちは「主人公は最後死んだのか?」「え?どう考えても死んでるっしょ」「え?どの辺が?」となり、議論は真っ二つ。当時の議論の場は今はなき2ちゃんねるしかありませんでした。ちなみに筆者は「生きてる」派でした。演出がふわっとしすぎていて死を「描いた」とは受け取れなかったからです。生きてる派と死んでる派のボコし合いは「P3 FES」の発売で文字通り終止符を打たれるまで続きました。

後日談ーー2007年

(炎上)

 P3 FESで追加された新規エピソード「Episode Aegis」は、本編終了後の残った仲間たち(以下S.E.E.S.)の、大切な人を失った後の喪失の受容の物語……と言えば聞こえは良いけど私としてはお粗末なシナリオをダっル~いゲーム性で伸ばし伸ばしに消化しながら開発者のエゴを押し付けられるだけの苦行でした。S.E.E.S.の人格が本編と繋がらないと私は思うのですが各キャラの成長だと感じた人もいたようです。後日談に対する文句は売るほどあるのですが、畢竟、エピソードアイギスは開発者がインタビューで言った通り「アイギスに帰る日常をあげたかった」がための物語で、それ以上でもそれ以下でもないんだろうなと思います。
 P3本編のエンディングで流れる「キミの記憶」の歌詞に

無くしても取り戻す キミを I will never leave you

「キミの記憶」-川村ゆみ 作詞:小森成雄 作曲:目黒将司

とありますが、エピソードアイギスのラストでS.E.E.S.は「過去に囚われるよりも未来を選ぼう」というお題目で巖戸台分寮を、一切合切の思い出をおいて去るのです。分寮も取り壊しが決まってしまってます。めちゃめちゃleaveしてるんでキミの記憶どこいった!?ってなりました。

さておき大変な事実が明らかになりました。

 我らがP3主人公は「大いなる封印」によって封印そのものと化しており、成仏したわけではなかったのです。作中で何もわからない説明しかなかったので、ここでもすごく雑な喩えをしますが、P3主人公は「押したら世界が滅ぶボタン」の安全カバーになっています。身動き等もしません。押したら世界が滅ぶボタンを押しに来る奴(数ヶ月に1回ペースらしい)に対して特に何もしない、できない、という状態がPシリーズ世界の2010年→P4→P5と続いていく間、現実世界の2006年から今この瞬間まで続いているわけです。身近にP3主人公推しの人がいたら優しくしてください。我々の推しは今この瞬間にもキリストもかくやという受難の内にあります。
 なお、この主人公の結末はウケなかったせいか、後発のメディアミックスでは「生死をはっきりさせない」描写が選ばれています。

覚えておきたい?ポイントメモ

  • 主人公の死因は医学的に不明。「体に異常はなかった」と後日談中に発言あり。えっ剖検したの……?

  • 主人公の亡骸は火葬済み。

どうしてそういうことするの?P4Uーー2012年

正史扱いの格ゲー

 これより前に携帯機で「P3ポータブル」が出ましたが、本記事の趣旨とは関係ないので飛ばします。
 P3のあとに出たペルソナ4(以下P4)が非常によく売れ、なぜか格闘ゲーム(以下P4U)が出ました。当時は、開発には絆を育んだ仲間をしかる後に戦い合わせる性癖でもあるのだろうかと訝ったものでした。この頃、現在のPスタジオを率いる和田和久氏が開発スタッフとしてメディアに出てくるようになります。
 スマブラみたいなたんなるお祭りゲーであればよかったのですが、悲しいかな、がっつりストーリーを作りました、こちら正史ですと公式に言われてしまいました。完全ターン制コマンド選択RPGを選んで遊んでいるユーザーをよりによって格ゲーに導引するにはそうするしかなかったのだろうとは思いますが、ひどい話です。P4好きな人は推しを人質に取られたようなものでした。

巻き込まれる3推し(しかも矛盾してる)

 P4はそこまで刺さってなかった私は格ゲーやらされなくてよかった~と思って対岸の火事だと思っていました。しかし、今どきの格ゲーはプレイアブルキャラクターが最低でも20人はいないとお話になりません。P3のキャラも引っ張り出されてきました。いやぁ……あの時はキツかった……3のキャラがイロモノデザインに変えられていたし、設定が後日談とバチバチに矛盾してるのに「正史です」って言われてその売れればよかろうのいい加減さに腹が立ちました。まあ矛盾してるのほぼアイギス周りなので、はいはい嫁さん大事だねって呆れました。

どうしてそういうことするの?エリザベスルート

 まあそれでも、P3主人公は故人なので格ゲーに巻き込まれずに済んでおり、設定ガバガバなものをまじめに取り合う義理もないのでどうぞお好きにと思っていたのですが、アップデートでプレイアブルキャラクター追加、エリザベス、のストーリーがP3主人公のファン界隈をザワザワさせました。
 エリザベスは先に述べた「世界が滅ぶボタン押しに来るやつ」の恒久的な消滅のためになんかしているらしい、というものでした。P3主人公の魂が封印としての役割から解放されるーー!? この一縷の希望を与えられたのが2012年です。今何年ですか?2024年です。希望がポチっと与えられてから12年経ちました。P3主人公はまだ封印をやっております。一縷の希望も半縷の希望くらいにすり減っています。エリザベスは格ゲー続編のP4U2でも話の続きをやっており、なんか掴んだみたいですがP3主人公は戻ってきていません。

劇場版「ペルソナ3」ーー2013~2016年

番長ありがとう

 その間によく売れたP4がアニメになっていました。2クールやって、総集編的な劇場版をやって(2012年)、そのエンドロール後、UIでおなじみのカレンダーが時間を遡りだしました。予期していた人がはたしていただろうか、P3主人公が現れ……召喚器をこめかみに当てて、バキーン!という音ともにPersona 3 the movieの告知。大変だこれは。たいへんなことになった。告知のときのP3主人公はぶっちゃけあんまり似ていない……という印象でしたが、それも無理からぬことで、キャラデザをそもそもご用意してないのに、アニメーターの渡部圭祐氏に無理言って描いてもらったそうです。今になって振り返るに、劇場版P3はP3のフルリメイクにゴーサインが出るかなり直接的な契機だったのではないかと思います。それもこれもP4が売れてP4Aがウケたおかげですよね。番長ありがとう。劇場版ハッピーモーメントは2016年まで続きました。

なにか風向きが変わる。ーー2017年

姿なき再会

 ぜーんぜん触れてきませんでしたがペルソナは音楽が特にP3から殊更の評価を得ているので音楽イベントをやってました。正式名称はその時その時ですが要はペルソナの音楽のライブなのでユーザーは「ペルライ」言っています。2017年のペルライは事件でした。なんと、開演前の会場内アナウンスにP3主人公(CV.石田彰)が現れたのです(現れてはいない)。会場内、悲鳴。

おどる!P3主人公

 2017年のライブの締めに告知されたのがペルソナ3ダンシング・ムーンナイト(以下P3D)でした。音ゲーです。なぜ踊るのかと言う話ですが番長がもう踊っていたから仕方がない。

生きてるみたいに働くじゃん?ーー2018年

感動と激動

 P3Dは2018年に発売されました。P3大好き民的には神ゲーです。色々と解釈一致。
 同年にマズイことが起こりました。公式さんが頭を打ったのか、P3P4P5のキャラクターで人気投票をやってしまったのです。PQ2っていうゲームの販促企画だったのですが……

 何だこの結果は!P3主人公一強じゃないか!これには結果発表を見守っていた特番の進行係の人たちもドン引きでした。P3主人公は大人気だということが再確認されました。しかし、PQ2はP3主人公推しにはおすすめできないゲームとなってしまいました。

ある予感

 PQ2のことはサラッと流しまして、P3Dに話を戻したいと思います。そのOPとED曲がすごいんです。やばいんです。歌詞が。

拙訳ですが貼らせていただきます。

Here comes the light of day
Don't you worry baby, Just believe
I'll spread my wings like a bird
I'll come to see you, so, take my word
Wherever you are, we'll meet again

歌詞の中の”I"がP3主人公なのだと仮定すると彼は我々との再会を約束しているのです。「鳥のように翼を広げて 君に会いに来るよ 約束する」
P3RのOP映像で信号機の上に鳥がいますね~いますね~
さらにこの「翼を広げて」という歌詞、「キミの記憶」の「今はただ翼をたたんでゆっくり眠りなさい」から来ていると考えるとエモくて死んじゃうわけですね。

和田和久氏(以下,和田氏):

 まず,リメイクを望む声が大きかったのはもちろん存じていました。いろいろな形で声は届きますし,アトラスが毎年行っているアンケートでは,リメイク希望のタイトルとして常に上位に入っていましたから。

 皆さんと同じく,私たち開発側にとっても重要な一作で,それだけに生半可な気持ちや考えでは,取り掛かれない作品でもありました。

 構想はかなり前からあったのですが,実際に制作に進んだのは2019年の終盤ですね。

https://www.4gamer.net/games/714/G071477/20230612109/

P3Dが発売されたのは2018年ですから、この歌詞はリロードをほとんど予告していました。

ED曲も歌詞が…ネ
かなり強めに「信じて」って言ってくるので私は信じました。「半端なリメイクかましたらぬっころ!」と思いながら。

~現在

いない気がしない

 それからP3主人公はよそのゲームとコラボしたりダウンロードコンテンツとして配信されたり、いないはずなんだけどなんかこまこまといる、という形でP3主人公ファンに寂しい思いをさせないでいてくれました。封印をどうしているのかは誰も知らない。そしてこれを書いている2024/1/29はP3Rの発売日の4日前です。

未来

P3Rがまた新しく始まるのは大変喜ばしいことだ。だけど現実2006年からずっと封印やってるP3主人公のことをどう思ったら良いの・・・・・?

 答えを得られると期待しています。