ATLUS・橋野桂氏の公式ブログのアーカイブ(2007~2009)

あちこち掘っていたら、フェス発売後の橋野氏の公式ブログをインターネットアーカイブにて発掘しました。

ATLUS公式サイトがリニューアルした際に消えてしまった開発ブログです。P3絡みの開発裏話をピックアップして、ここにも残しておきます。
今の時代では色んな意味でお出しできないであろう濃い話ばかりだし、ゲーム開発画面や開発室の写真も載っていたりするのでかなり貴重。添付画像を見たい場合はインターネットアーカイブの方へどうぞ。

↑こっちは副島さんの公式ブログのアーカイブ。P3とP4のイラストが多い。


橋野桂の開発通信vol.1~5

2007.04.16  橋野のクリエイティブ日記

皆様こんにちは。「ペルソナ3フェス※」のディレクターを務めております橋野です。

世の中はすっかり桜の季節ですね。いかがお過ごしでしょうか?
この度、「アトラスネット」というサイトがオープンしたという事で、挨拶を兼ねて「ペルソナ3フェス」の宣伝をさせていただきます(笑)

ついに今週4/19に発売を控えた「ペルソナ3フェス」。公式サイト内のスペシャルページでも触れておりますが、充実の内容になっておりますので、楽しみに待っていてください。
今後はこの「アトラスネット」内でフェス関連情報をお伝えできれば、と色々考えておりますのでサイトをご覧になっていただいている皆様には期待していて待っていただきたいと思います。それでは、またお会いしましょう。

2007.04.26  橋野桂の開発通信 Vol.1

皆さん、こんにちは。ペルソナ3のディレクターの橋野です。
先週、ついに、ペルソナ3フェスが発売になりました!
是非、このお祭りディスクを楽しんでいただければ、と思います。

お祭りと言えば、先日、「ファミ通アワード2006」という、エンターブレインさん主催のイベントに参加させて頂きました。
なんと「ペルソナ3」が、優秀賞(RPG賞)に選ばれたのです。
知らせを聞いたときは正直驚きましたが、この賞はユーザーさんからのアンケート集計の結果を反映しているとのこと。
支持してくれたファンの皆様、どうもありがとう!
開発チームを代表して、お礼を申し上げます。

会場で発表された大賞2作は、共にRPGだったので、2006年のナンバーワンRPG!とは言えないのかもしれないけど、なんせ、相手は超ビックタイトル。よって、気にしない(笑)
それよりも、ファンの方々に支えてもらえていることが、これまで以上に実感できて、本当に嬉しく思いました。
チームスタッフも喜んでて、開発室に持って帰ったトロフィーを、皆が携帯でパシャパシャ写真とってて、可笑しかったです。

開発作業って、身体的にも精神的にも凄く辛い面があるので、暖かい応援や支援は、本当に嬉しいものなんですよ。
面白かったよ、と言われると、苦労した甲斐があったなと思います。
(何人かのファンの方に会場でお会いすることも出来ました!)

今後も、アトラスのゲームを支持してくださるユーザーさんの為に、"アトラスらしいね"って言ってもらえる作品づくりに、取り組んでいきたい、と思っています。

…さて、このブログ?なんですが、毎週書いてくれってことで、何を書けばいいやら…と思案しております。
未発表タイトルのことは、まだ書けないので、過去作の苦労話とか、開発室の様子などを中心に、ひとまずは書いていこうと思いますので、たまに覗いてもらえたら幸いです。

では、良いGWを!!

2007.05.10  橋野桂の開発通信 Vol.2

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

えー、さて。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
いきなりですが、ただいま、缶詰作業中です。

ゲーム開発における缶詰作業は、大体の場合が、ケツかっちんの作業なのに、間に合いそうもなく、遅れてしまっている場合に「突入」を余儀なくされるもので、自業自得だからこそ悲しいかな、という緊急事態です。

仕事の役割がら、アトラスに入ってゲーム開発したいっていう人と話す機会も多いのだけれど、こういう話をすると、楽しそうだなぁと思う人と、キツそうだなぁと思う人が、はっきり分かれるんですよね。

さぁ、そこの楽しそうだなと思ったあなた!
ゲーム開発に向いてる可能性がありますよ!
いますぐ履歴書をまとめて、アトラスに送ってください。
(そして、手伝ってくれ〜)

…という冗談はさておき(あ、冗談ではなく、
やる気とセンスに自信のある方、ご応募待ってますー)、
早速、開発室周辺の画像アップの第一弾。

【画像】

見ての通り、ジャックフロスト君の自販機です。
これ、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、真女神転生3ノクターンに出てきた自販機と同じ、デザインのものなんすよね。
ペルソナ3でも、確か、使っていたはず。
以前、販促活動の中で使われていたものが、実際にスタッフ用の自販機として、置かれているんですよ。

そのうちに、ジャアクフロスト君の自販機が隣に置かれ、邪悪なる飲み物(えー、なんだろ。ガキ水とか?)が取りそろえられる予定は…もちろんありません。

飲み物は、大体90円。
外で買うより安くて便利です。
そのうちにアップされるかもしれない第2弾にも、ご期待下さい。

ではー

2007.05.25  橋野桂の開発通信 Vol.3

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

先週は、事業部の引越し作業でバタバタしていて
このブログをお休みさせて頂きました。すみません。
アトラス開発は、再び東京は飯田橋の軽子坂(の側)に戻ってきました。
スタッフの皆が慣れ親しんだこの地で、心機一転、頑張っていきたいと思います。
どうぞヨロシクお願いします。

…さて、今日は、開発スタッフに協力してもらい、ペルソナ3・ペルソナ3フェスの小ネタ(?)をご紹介したいと思います。

第1弾は、仲間たちの寮での1シーン。

【画像】

ゲーム画面では小さく映っていた彼らも、実は色々やってるんですね。
小ネタでしたが、楽しんで頂けたでしょうか。

第2弾も驚くほど小さいネタをお届けします。

ではー

https://web.archive.org/web/20120531150617/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/77

2007.05.31  橋野桂の開発通信 Vol.4

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。
ペルソナ3フェスの発売から少し経ち、
周りからクリアしました!という報告も聞こえてきました。
皆さんそれぞれに楽しんで頂けた様で嬉しく思います。
現在、開発チームは次回作の開発の真っ只中におります。
発表は、相当先になると思いますが、ペルソナ3を支持して頂いたファンの方を良い意味で、また驚かせたいなという思いで、チーム一同頑張っております。是非、ご期待くださいね。

さて、毎週更新の橋野ブログですが、来週から、不定期にペルソナチームの主要メンバーを招いて、開発の苦労話などをしてもらおうと思っています。
興味のある方は、来週末にでも覗いてみて下さい。

今週は時間がないので、予告だけ。
それでは、また!

★須藤氏と和田氏を招いたUI開発裏話・前編

2007.06.07  橋野桂の開発通信 Vol.5

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。
さて、先週お伝えしたとおり、今週から、不定期にペルソナチームの主要メンバーを招いて、開発の苦労話などをしていこうと思っています。

ペルソナ3で苦労した部分は、多々あるんですが、すぐに思いつくのは、動的なインターフェイス。最初は、うまくゲームの上で動かなくて、手間も想像以上にかかる…、レスポンス調整はどうしよう…とかで、一時はやめようか…と話したこともあるインターフェイスデザイン。
マスター間際まで、調整に調整を重ねていました。
でも、やれて良かった。ペルソナ開発中、ヴァニラウェアの神谷さんが、うちの開発にたまたま寄ってくれたときに、「これいいなぁ、悔しい!」って言ってくれたのを思い出します(笑)。
※悔しいっていうのはお世辞だったのかもしれないけれど、神谷さん最新作”オーディンスフィア”は、お世辞抜きに、他に見かけない素晴らしいグラフィックデザインを持ったゲームですよね。
アトラスネットで情報が見れるので、こちらも宜しくお願いします。

そういうわけで、まずはこの辺の話を、今回のデザインワークを担当してもらった、ペルソナ3のデザインディレクター和田と、インターフェイスデザイナー須藤をここに呼んで、今週と来週の2回に分けて、振り返っていこうと思います。



橋野「では自己紹介からお願いします。」
和田「皆さんこんにちは、ペルソナ3のデザイン面を統括していた和田です。」
須藤「どうも、インターフェイス担当の須藤です。」
和田「ペルソナ3のデザインテーマの一つは『イメージチェンジ』だったので、開発スタッフ的には積極的に色々挑戦していけたタイトルだったと思います。中でもインターフェイスに関してはペルソナ3立ち上げ当初から、動的で斬新なグラフィックユーザーインターフェイス(※以下GUI)をやりたい!!って話してました。久しぶりのシリーズ新作だし、ゲームの作り自体も大きく変えていこうっていう全体の動きの中で、デザインとしては、GUIをビジュアルイメージとして主役にしてみたかったんですよねー。方向性はすぐにOKが出たんで、それで”真・女神転生Ⅲノクターン”から一緒にやってる、インターフェイスデザイン担当の須藤君を呼んで、苦労覚悟の無理をお願いしました。今回はキミが主役だ!って言って(笑)」
須藤「今思えば、笑いごとじゃないですよね(笑)聞いてすぐに、面白そうだと思ったんですけど、いざやってみると今までのやり方と違ったので、最初はすごく戸惑いましたよ。イメージ部分でも、当時僕の嗜好にない表現だったので…」
和田「副島さんとイメージ固めるのに、えらく時間がかかったよね。」
須藤「ですねー…決定稿に至るまで30〜40案出しました…」
和田「僕は今までのアトラス作品の持つダークで重いイメージも大好きなんだけど、ペルソナ3では挑戦的に変えたくて、テーマカラーを最初暖色系で考えてました。けど色々試行錯誤していくうちにライトブルーに落ち着いたんですよね。」
須藤「スポーティーで、清清しさのある色。副島さんからのイメージですね。」
橋野「ペルソナ3は、1年を通す話というのが決まっていたから、変化する季節感を踏まえると、青で統一でいいのかなって思いも最初はあったけど、”青春の青”ですって言われて、なるほどって妙に納得した思い出がある(笑)」
和田「副島さんは青が好きなんだなあって。ステラ(※1)も青のイメージが強かったから。正直、似ないといいなって気持ちもあったけど、うまくイメージも差別化出来ましたね。ユーザーの皆さんにも良い意味で”変わった”感を、アピール出来たなって。」
須藤「自分でも、全体的にかなり良い感じに仕上がったんじゃないかなと思うので、イメージの一新に一役買えたなら、苦労した甲斐がありますね。」
橋野「最初のビジュアル面の変更の取り組みは、チームに良い刺激になったよね。アレ見て、サウンドの目黒もペルソナ3のサウンドを作り始めたしね。」
和田「その分、完成するまでは大変でしたね…」
須藤「はい…最初の頃は…いや、最後の方までキツかったな(笑)」
橋野「じゃあ、後半でその辺りの話をしていきましょう。」

(次回へ続きます。)

橋野桂の開発通信vol.6~10

★UI開発裏話・後編

2007.06.14  橋野桂の開発通信 Vol.6

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。
今週も、先週からのペルソナ3”インターフェイスデザイン開発苦労話”
の続きを紹介させていただきますね。



橋野「さて、インターフェイスデザイン苦労話です。後半は、イメージが固まった後の話ですね。」
和田「はい。イメージ固まったら次の問題は”動き”でしたね。」
須藤「センス良いウェブサイトを探して見まくりました(笑)。」
和田「今回は動きが肝だったからねー…ここに関してはプログラマーさんに苦労かけました…」
須藤「フラッシュで全体の動きのイメージはシミュレートしていたんですが、実際ゲーム上ではバラのパーツをプログラマーさんが組み合わせて出力するんですよ。でも想定していた作り方が予想以上に重くて…初めてパーツが出力された時、青くなりましたよ…」
橋野「これじゃマズイ、ゲームにならない、って。あの時止めさせるべきか迷いました…。だって、これまで須藤君とやってきたタイトルは、ほとんど全部、レスポンスを優先してもらって、時にはデザイン的な部分、泣いてもらってばかりいたから。最低限のレスポンスとGUIが両立出来ないなら、止めるのは僕の役目だったし、もったいないと思いながら、凄く迷った。」
和田「でも僕も諦めつかなくて、プログラムチーフの遠山さんと一緒に、まだ可能性があるので是非やらせてくれって。」
橋野「なんかさ、非難訓練の時だったっけ? どうするかすぐに決めなければいけないタイミングで、何故か非常階段の下でそんな話になって、外で担当スタッフと一緒にうなってた(笑)で、デザインもプログラムも俄然やる気だったから、もう少し、進めてみようって。」
須藤「けど、またそこからが大変でしたねー…データを軽くする為に試行錯誤…」
和田「最終的にキャンプ画面が出力できたのは相当終盤だったよね。そしてそこからようやくレスポンスやテンポの確認」
須藤「演出過剰にならないように気をつけました。今までは快適さ重視で情報をデザインしていたんですが今回は動きを絡めてより効果的に情報を伝えなくちゃいけないので、バランスを取るのが大変。想像はしていたんだけど、実際ゲームに乗っけてプレイする感覚ではまた違って。」
和田「ペルソナ3は仕様の量も凄かったしね」
須藤「用意する素材量に加えて、細かい動きの指定もあるから、プログラマーさんへの指示書が真III(※2)やDDS(※3)の3倍でした…でもユーザーの皆さんを始め、色々な方々に評価されるのを聞くと、ホントにやって良かったなあと思います。」
和田「そうだよねー。今後もこういう挑戦は続けていきたいですね。」
橋野「はい、是非宜しくお願いしますね。いろいろな苦労話、どうもありがとうございましたー。」

【画像】

さて今後も、こういった苦労話を不定期にアップしたいと思いますので、時々、覗いてくださいね。橋野でした。

https://web.archive.org/web/20140205020534/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/107

2007.06.21  橋野桂の開発通信 Vol.7

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。
暑くなってきましたね。もうすぐ夏です。
ペルソナ3は、夏休みくらいから特に楽しくなってきました!ていう感想も多く頂きました。
主人公達が、桐条家の別荘に遊びにいく辺りですかね。
実際の季節の巡りを感じると、ペルソナ3の開発をしていた頃を思い出します。
我々開発者の夏といえば、いつの間にか終わっていることが多いですね。
今年は、何か夏らしいことをしなくては…と考えていますが、毎年考えてるなー。

逆になかなか過ぎ去らないのが冬の季節です。
すごく忙しいときは、床で寝袋に包まって寝ることもあるんですが、朝方の冷え込みなどで、体力が相当に奪われます。
※これを「ダメージ床」って皆が呼びます。
ペルソナ3の開発中は、冬が忙しかったので、正月を楽しく過ごす主人公達を見ながら、皆でうらやましがったりとかしました。なんか寂しい話ですね。
ペルソナ3は、1年を通したカレンダーによる進行システムが入ってるんだけど、開発の場合、シナリオの進行に合わせて、まずはゴールデンウィークまで、ゲームが実際に動くように繋げよう…とか、開発のスケジュールを、シナリオの進行度で切ることも多かったんです。
それで、開発の経過が現実のカレンダーに結構合ってしまって、実際の日付なのか、ゲーム内の日付なのか開発中に混乱することもありました。

春から今くらいの時期は、開発者にとっては、比較的元気の出る季節です。
この時期は、新人が元気だから(これはゲーム開発に限った話じゃないですね)。
今年も、新人がたくさん入ってきたんですが、皆、やる気に溢れていて、すごく元気。
アトラスのゲームが好きで、一緒に作りたいと、進路を決めて入ってきてくれた人たち。
ユーザーの方から頂ける応援に加えて、また、別の意味の力をもらえるんです。
新しい仲間を加えて、より面白いゲームをお見せできるよう、まだまだ、がんばらなくては!と思う、この頃です。

さて、今回は、開発室の風景第2弾。
開発室の隅っこにある、リフレッシュルームを紹介しますね。
前にお話した、事業部の引越しの際、開いていた小さな部屋の一つを、
開発スタッフ用の休憩室として使わせてもらっているんです。
ここには、お菓子や飲み物、テレビゲーム機などが揃えられていますが、
最近、マッサージチェアが設置されました。

【画像】

この椅子、松下製の”リアルプロ”っていう機械なんだけど、1000種類以上の手わざ!!が備わっているんだとかで、足から、手からと、全身ほぐしてくれるんですね。
この機械、操作パネルに「そこもっと」と書かれたボタンがあるんです。
マッサージ中に押すと連続して同じ箇所をマッサージしてもらえるって機能なんだけど、「そこもっと」とだけ書かれたボタンのインターフェイスが、あまりにもわかりやすくて、感心してしまいました。
技術の進歩に驚かされること間違いなしで、開発者の職人技を感じます。
※もし、お近くの家電売り場で見かけた際は、是非、お試しあれ!
僕らも、これにほぐされながら(笑)、これに負けないような職人技を、ユーザーの方にお見せしていけたらなと思います。

それでは、また!

★P3とタロットカードの回

2007.07.12  橋野桂の開発通信 Vol.10

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

昔、たまたま友人にタロットに詳しい人がいて、
そこで占ってもらったときのカードそれぞれの記号・意味合いの面白さにはまり、それを生み出した人間の想像力の豊かさに打たれた思い出があります。

ペルソナシリーズは、タロットを世界観のモチーフとして使っていますが、ペルソナ3では、タロットの持つ意味合いを更に掘り下げて使用することを試みました。
RPGを開発する際は、開発初期の頃はたくさんの資料を集め、スタッフと共有していく作業を行います。その中で、参考にした図書のひとつに、「ユングとタロット 〜原型の旅」という本があります。
この本は、タロット関連の本としては、とても変わっています。
大アルカナだけを取り上げ、作者のユング心理学の研究に合わせる形で、人間の精神性の成長の流れを綴っており、占いに関する記述や解説はなく、タロットそのものの意味合いや世界観を読み解いていくというものでした。
特に、ペルソナ3に用意した「コミュニティ」のシステムは、元々はタロットとは別のところで考えたものだったのですが、これを大アルカナのくくりで管理し、人間が生まれてから出会っていくコミュニティと、「ペルソナ」という概念をまとめていった…という作業過程を振り返ると、ペルソナ3の世界観やシステム設計の為に、とても参考にさせてもらった書籍でした。
タロットやユング心理学などに興味を持っている人なら、オススメです。

この辺りの話しは、江戸川先生(エドガ(ワ)ケイシーが元ネタです)に、授業で語ってもらっています。かなりまじめな意図で作っている(つもり)ですが、一人だけ謎のオカルトの授業で、キャラクターも気づけば濃くなってしまい、予想以上に浮いてしまいました(笑)。意味合いはともかくとして、それはそれで、楽しんで頂けたのではないかと思っています。

タロット関連の書籍以外にも、ペルソナ3開発時は、ライダー版やトート版など、カードもいくつかチームで買いに行きました。
タロットはその歴史と共に、実に多様な種類が世界中から出版されているので、もし興味があれば、コレクションしながら成立過程を調べたり、占い方を覚えてみるのも楽しいと思いますよ。

ではー。

橋野桂の開発通信vol.11~20

★フェス購入者から「厳しい意見」が届いている事に触れた回

2007.07.19  橋野桂の開発通信 Vol.11

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

7月も半ばを過ぎましたね。
フェスの発売から、しばらくたち、ユーザーの方からのご意見などを、アンケートや、メール等での反応を受け止めながら、次回作への参考にさせて頂いています。

楽しんで頂いた感想や、応援のメールもたくさん頂戴し、ペルソナ3開発に関わったスタッフ一同、本当に嬉しい限りです。
頂いた手紙の中には、開発者も唸るほどの、技術面を含めて、細かい改良点の指摘をまとめて頂いた方もおり(同じ開発者かもしれない(笑))驚きました。
また、ペルソナ3を通じて、中断していた夢の為の活動を再開しました!等、感謝のお手紙を送って頂いた方もいらっしゃいました。(こちらこそ感謝です)
ただ、ゲーム内容について、厳しいご意見も頂きました。
特に、ペルソナ3のベースにある長時間のプレイの単調さや、シナリオの描き方についてなど、充分に楽しめなかったという意見も頂いており、こうした厳しい意見も、真摯に受け止めながら、今後に繋げていきたいと思います。


ゲームの製作者として、次回携わる作品を手にとって頂いたユーザーの方に、より満足していただけるような作品作りを行っていきたいと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します。

頂いたアンケートを見ると、ユーザーの皆さんの年齢層が特定の世代に偏ることなく、15才〜35才の方を中心として実に幅広い世代の方に、プレイして頂いたことがわかりました。
これは、過去作のペルソナシリーズでも同じような傾向があったらしく、学園ジュブナイルというジャンルの特徴かもしれませんね。
ユーザーの皆さんは元より、応援のメールや、感想・ご意見を送っていただいた方、ペルソナ3、ペルソナ3フェスに関するアンケートに答えて頂いた方に感謝申し上げます。

また「アトラスは、今後、幅広いユーザー向けのゲーム開発にシフトするのか?」
と聞かれることがあります。もちろん、アトラスのゲームファンを今後も増やしていきたいと、我々は考えていますが、これまでのファンの方にこそ喜んで頂きたいコンテンツも、もちろん進行していますよ。諸々の発表は、先になると思いますが、お楽しみに。

今週はもう時間がないので、”開発通信”ということで、来週は、デジカメ持って開発室をウロつかせてもらって、開発室の最近の様子をお伝えする予定です。
以前、ペルソナ3のイベントでユーザーの方からの質問に、
「開発の方は、日頃、どんなゲームをプレイされていますか?」
と質問を受けたことがあるので、開発室の”流行ゲー”でも、調べてみたいと思います。

興味があれば、覗いてみてください。
ではー。

★ラーメンはがくれの話

2007.08.16  橋野桂の開発通信 Vol.15

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

さて、今回はペルソナ3の小さなネタ第2弾。
それは、「ラーメンはがくれ」の店内のテレビに、いったい何が映っているのか?ということです。
これ、そういえば…と気になっている方、いませんかね?
なんだっていいよ、という声も聞こえてきそうだけど(笑)、きっと、気になっている人はいるはず。
ということにこの際、させてもらって、この謎に迫ります。

【画像】
↑店内のこのテレビ。
たしか、開発中もデザインスタッフに聞いたような(忘れた)。

【画像】
↑テレビのアップ。
どっかの遺跡だと思っていたんだけど…

というわけで、直接、作ったスタッフに聞いたところ、
「島です。どっかの。」とのことでした。
「なんで、島の映像がラーメン屋に?」と尋ねると、
「まー、たまたま、やってたんでしょう。」とのこと。

なるほど、”島”か。改めてなんかすっきり。
気になっていた方も、すっきりしました?

ところで、ラーメンはがくれと言えば、これも、メガテンシリーズのシナリオ担当でお馴染みの、磯貝と考えたんですが、ご当地ラーメンが、次々と都市圏を中心にオープンする中で、新しいご当地を考えましょうかって、進めたんだけど、ゲームに入れた後に、実は、都内に実在していることが判明して、かなり驚いた思い出があります。
ちゃんと、詳しく調べないとダメですねー、こういうのは。

当時、会社の近くには、青葉さんっていう東京中野に本店のある、ラーメン屋さんがあって、スタッフにファンが多かったんですよ。
僕のやや怪しめの知識では、動物と魚介のスープを別々に作って、丼の中で足して割る…っていう、近年流行の”魚系?”ってやつの、はしりのお店ですね(たしか)。かなりの有名店です。

はがくれの店内モデルを作ったデザイナーも、もともとは、この青葉さんを意識して作ったみたいです。
けど、コミュやイベント用の背景として、店内を広めに作ったので、雰囲気はだいぶ違うものになりましたけど、ラーメン専門店としての雰囲気は、うまく出てるんじゃないかと思います。

そういえば、ペルソナ3で初めて、シリーズに触れてもらえた、新規のユーザーの方の中に、プレイのきっかけが、この「ラーメンはがくれ」でのイベントシーンの画像だったっていう声を、頂いたことがあります。

プレイのきっかけって、人それぞれで、面白いですよね。
ペルソナ3をプレイして頂いた皆さんは、最初は、どういうシーンが印象に残ったでしょうか?
ラーメン屋さんが印象的だった…って声、意外と多いかもしれませんね。

ではー。

★P3開発の参考資料の話

2007.09.06  橋野桂の開発通信 Vol.18

こんにちは、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

今回は、ペルソナ3開発の参考書籍紹介の2回目です。

本の名前は「9つの性格」。
タイトルの通り、オカルト系の本ではありません。

冒頭の質問集にイエス/ノーで答えて採点し、回答者の性格を9つのタイプに分類して診断してくれるという、まぁ、形式的にはありがちな性格分析の本です。

こういった本を何冊か用意したのは、日常感を如何に出すかというテーマの中で、人物設定に参考になるんじゃないかと、思いまして…。

この本で分類されている9つの性格は…

(1)完全でありたい人
(2)人の助けになりたい人
(3)成功を追い求める人
(4)特別な存在であろうとする人
(5)知識を得て観察する人
(6)安全を求め慎重に行動する人
(7)楽しさを求め行動する人
(8)強さを求め自己主張する人
(9)調和と平和を願う人

と、こんな感じです。

例えば、美鶴は(1)…、真田は(3)…とか、そういう風にベース案の参考にしたんですね。
(初期のベース案は、長い開発の中で、あれやこれやと変わっていってしまったので、そのまま照らし合わせられるものではないです。)

それよりも…この本、結構、面白いですよ。
たまたまかもしれないのですが、自分のことも、周りの人についても、かなり当たってるかも…と思える内容だったんですね。

…で、当時、参考資料として使った際に、大勢でテストをし合ったせいもあって、ペルソナ3開発それ自体のコミュニケーションに少なからず、影響を及ぼしたと思われます。

(2)(3)(4)(5)(7)辺りの人が多かったような。
1人が、限定で1つのタイプと診断されるというより、これらが複合的に混ざり合う診断になる場合がほとんどでした。

お互いが、知りたい知りたくないに関わらず、よりわかった気になってしまった…というか、まぁ、遊びのようなものといえばそれまでですけど、設定よりも、実はこっちのほうが、プラスになっていたりして(笑)
(何やってんでしょうね、しかし…。)

というわけで、もし、興味があれば、読んで、試してみてください。

※文庫でも出てるらしいです。

ではー。

2007.09.13  橋野桂の開発通信 Vol.19

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

開発者ブログに対する、質問やご意見が届き始めました。

ペルソナ3に関するものも多く、特に、開発の裏話や、各設定の元ネタ等を紹介してくださいという声が多かったそうです。
送っていただいた方、ありがとうございます。

さて、裏話…

と言っても、それだけだと、エピソードがすぐに思いつけなかったので、あれこれと考えた結果、次回からになってしまうんですが、「ゲームシステムの開発苦労話…」というテーマのくくりで、バトルやダンジョン、イベントなど、各システムに特化した開発の話を中心にしてみることにしました。

そういえば、こういう話って普段、あまりお話する機会もないので、きっと、開発の裏話として楽しんで頂けるんじゃないかと思います。

橋野が過去に関わったRPGタイトルを振り返ると、真女神転生if、デビルサマナー、ソウルハッカーズでは、バトルを中心にゲームシステム部分を担当。
真女神転生Ⅲノクターン、デジタルデビルサーガでは、シナリオ設定関連以外のゲームデザイン全般を。
ペルソナ3で、シナリオ設定含むゲームデザイン全般を、担当させてもらっています。

出来るだけ、ペルソナ3の話を中心にしていくつもりですが、他のタイトルの話も織り交ぜさせてもらいながら、この辺りの話をゆっくりと紹介してみたいと思います。
(まずは、バトルシステム辺りから、始めてみようかと。)

また、要望のあった設定面でも、例えばアイテムや施設のネーミングの元ネタや、ここでもたまに紹介している、小さなネタなど、今後も用意が出来次第、アップしていきたいと思いますのでお楽しみに!

★バトルシステム開発裏話&真3ノクターン関連も

2007.09.27  橋野桂の開発通信 Vol.20

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

さて、今回から予告通り、「ゲームシステム方面」の開発苦労話…というテーマで、バトルやダンジョン、イベントなど、各システムに特化した開発の話を中心に書いていこうと思います。
のんびりした隔週の更新になりますが、どうかお付き合いくださいね。

ペルソナ3では、弱点攻撃などを相手に与えると、ワンモア!となり、続けて攻撃が出来るターン制のバトルを作りました。
このシステムの元になっているのは、真・女神転生ノクターンで、実装したバトルのシステム(プレスターン)です。

今回は、そのバトルシステムにまつわる制作裏話です。

このシステムをご存じない方の為に、簡単に説明をしますと、相手の弱点などを攻撃すると、味方の行動回数がその場でストックされていき、そのストックが尽きるまでは、相手にターンを譲らず、連続で行動が出来るというものです。
これは、味方も敵も同様のことが起こるようになっています。
まずは、このシステムを作ったきっかけと、それを元にした、システムルールの製品版の完成に至るまでの開発を、振り返ってみることにします。

もう随分前になりますが、真・女神転生3の開発当時、レベルアップの為のバトルの”作業感”という言葉が、企画会議などで当たり前に使われ出していて、比較的難易度の低い、テンポと演出重視のサクサク感のある戦闘システムを持つRPGも、目立っていたように思います。
もちろん、それも味付けの方向性のひとつだと思いますが、メガテンのバトルとしては、やはり、軽さや爽快さよりもまず、中身の濃さや、緊張感を大事にしたいですよね。
それに、バトルそれ自体が、そもそも作業的で面倒なものと、頭から決め付けて、それを軽減させようとする味付けは、長くバトルに関わってきた者としては寂しくもありました。

そこで、エンカウントの度に行われるバトルが、常に緊張感を持った内容に出来れば、単純に作業感はなくなるのでは…
…と、かなり単純に考えました。

その為のルール作りのきっかけとして、「実際の戦闘って、例えばケンカなんかだと、かなり一方的な展開のことが多いよな…」と考えてみました。
これまでのターンバトルで、作業的に感じる原因の一つは、こっちが攻撃したら、相手の番…という、なんともルールに実直な、”殴り合い”にあるのかもしれないと。

そこで、バトルを今、敵味方どちらが支配しているのか、順番ではなく、戦況によって、ターンとしてプレイヤーに示し、戦況を有利に運べば、こちらのターンが持続するというルールを、持ち込んでみることにしました。

では、ボツった初期の案の諸々を、恥ずかしながらご紹介することにしましょう。

最初に、考えたのは、敵味方の場の支配率を示すゲージでした。
製品版では、行動回数を示すアイコン表示になっているので、
全然違うものですね。下がそのゲージです。

【画像】

場の支配中は、攻撃行動で、相手を押し続けられるようなシステムということで、通常のターン制と区別して、プレスターンと呼ぶことにしました。
こちらが攻撃をスカったり、効かない攻撃をしてミスったりしない限り、相手に反撃のチャンスを与えずに、相手を圧倒できれば、戦闘の時間も減るし、敵にターンが渡らなければ、爽快だろうなと。
もちろん、相手も同じ条件にすれば、ミスが命取りになりかねないので、緊張感もぐっと高まるだろう…というのが狙いでした。
最初にバトル画面として作った資料がこちらです。

【画像】

ルールの思いつきは悪くなかったと思うんですが、
このままだと、こちらがミス(避けられたり、ブロックされたり)
をしない限り、ずっとこちらのターンのままです。
敵の弱点などを一度覚えてしまえば、あとはそれを突いているだけで、簡単に勝ててしまいます。もちろん、そうしたくてそうしてるわけですが、敵味方のターンが適度に切り替わらないと、面白くはなさそうだという懸念が、すぐに上がりました。

そこで、浮上したのが、攻撃を受ける側の「慣れ」の概念でした。
ドッジボールを想像するとわかりやすいのですが、あれも、場の支配が切り替わるゲームで、押されている方のプレイヤーも、段々、相手のボールに「慣れ」て、そのうちにキャッチすることありますよね?
あの感じです。キャッチした途端に、ターンチェンジになるわけです。

そんなわけで、攻撃を受ける側のユニットそれぞれに、「慣れゲージ」なるメーター仮設定してみました。
そのメーターがこちらです。

【画像】

同じ攻撃を続けていると、慣れが溜まっていき、相手に見切られて、プレスターンを奪われる…という仕様案にしてみました。
画面入れ込みのイメージはこうなります。

【画像】

今見ると、かなり、いかがわしいですね(笑)。
こういうゲージなんかが、画面上に増えていくのは、大体の場合、失敗します(笑)。
「これで、まとめられなくはないけど…」という感覚は危険の合図。
速やかに、取り下げました。

さて、どうにもルールが美しくないので、うんうんと悩んだ挙句、押し押しのムードで相手にターンを与えず勝つ!
というイメージを引きづったまま硬くなっていく頭で、ようやく、

「こんなことをしなくても、1回行動すると、
ゲージが強制で減ればいいだけじゃん…」

ということに気が付きました。

こうすれば「慣れ」の概念などを使わなくても、
普通に動いているだけで、徐々に相手のターンに擦り寄っていくので、攻守の切り替えが発生しやすくなります。

本当に、なんてことないルールですけど、実際に開発をしていると、周りも見えなくなって、なかなか、当たり前の発想が出来なくなるんですよ。

ひとまず、これで見えたかなと思い、紙の上での検討はひとまず止め、プログラマさんと、実機テストに入ります。
まずは、狙った緊張感が出るのかどうかを、実機の仮プログラムで、シミュレートするわけです。

感触は、悪くないものになりました。
実機のテストが、実際に面白いってことは、まずないので(データが揃っていないので)、重要なのは、面白くなりそうな気配があるかどうかです。
しかし、気配はあるものの、実機で動かしてみると、その分、見えなかった問題も見つかっていきます。

「なんか、大味な予感…」

まだまだ、試行錯誤は続いていきます。
なかなか、スムーズにはいかないものなんです。。

長くなってきたので、次回、その先を書きたいと思います。

ではー。

https://web.archive.org/web/20120914011808/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/222

橋野桂の開発通信 Vol.21~25

★真3のバトルシステム開発裏話

2007.10.11 橋野桂の開発通信 Vol.21

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

さて、前回から、「ゲームシステム方面」の開発苦労話…というテーマで、バトルやダンジョン、イベントなど、各システムに特化した開発の話を中心に書いていこう…ということで、ペルソナ3のバトルシステム(ワンモア)の元になった、真・女神転生3からのバトルシステム(プレスターン)について、開発の裏話を進めていますが、今回はその第2回になります。

前回分、掲載の後、システム関係の話に期待を寄せて頂いている声を、いくつか頂きました。かなり細かい話になりそうなので、ご覧になっている方が退屈しないか心配していましたが、ちょっと安心してます。今後も宜しくお願いしますね。
(また、掲載内容に関係なく、次回作へのご期待や応援なども頂いています。
いつも励みになっているので、送って頂いた方、本当にありがとう!)

…さて、前回は、あれやこれやとゲージの案などを考える中で、「ユニットが行動する度に、強制でプレスゲージを減少させればいい」
という方法に気が付き、プログラムで実際の動きをチェックしようというところまでの話をさせて頂きました。
以下、その続きです。

画面上に仮のゲージを用意し、行動するごとに、ゲージを減少させ、ゲージがなくなると相手のターンに切り替えます。
そして、とりあえずの相性判定を実装し、弱点攻撃の判定を入れ、ランダムでクリティカルを発生させるなどして、数値上のやり取りだけですが、バトルの基本部分が動くようにします。

その後、検証の核の部分であるゲージの減少量の変化のプログラムをします。
味方に有利な攻撃を行った場合は、通常時に減るゲージ量の割合を減らし、ゲージがなくなることで相手のターンに切り替わるイベントの発生を、遅らせることが出来るという動作の「感触」を確かめる為ですね。

プレイヤーの技術介入(相性などの的確な対応)で、ターン変更を遅らせることが出来るという部分については、何をさせようとしているのかがプレイヤーに伝わりそうだ…ということで、その部分の感触は、悪くなかったのですが、一方で、別の問題も感じました。

ゲージの動きの規則性を把握しないと、実際に、あと何回行動が出来るのかを予測しにくく、プレイヤーに、落ち着いた戦略が立ててもらいにくいという、「大味になってしまう予感…」です。

小刻みに可変するプレスゲージは、一見、シンプルな動きのようで、1ユニット1行動のルールの上では、逆にわかりづらいことがわかりました。
そこで、ルールを更に単純化してみることにします。
要するにプレイヤーに最低限何が伝わればいいのか?
という軸で、考え直します。

出した答えは、残りの自軍の行動回数が、一目でわかることでした。

ここで、プレスゲージ自体をやめ、プレスアイコンを表示する案に変えます。
案自体は、パチンコの応用でした。
玉が4つまでカウントされて、ランプが光り、1ゲームごとに、ランプが消えていく…という、アレです。

イメージが固まったので、すぐに実機プログラムを改良し、試します。
すると今度は、あっけないくらい、わかりやすいものになりました。
実機でテストプログラムを触っただけだと、「こんなシンプルなものでいいのか?」という不安を感じがちですが、実際は、この上に、敵の思考や数々の技、より複雑な相性設定、など、たくさんの要素が乗ってくるので、ベースのシステムルールとしては、これで充分なんです。

あとは、様々な調整次第で、良くも悪くもなる…ということで、実機テストは終了です。
本仕様の作成に入り、デザイナーを交え、本格的にデータを揃えていくスケジュールに移行します。

下がその完成の画面。
真3のファーストダンジョンボス。フォルネウス戦ですね。

【画像】

懐かしいですね。プレスターンのシステムの遊び方を、最初のボス戦でプレイヤーに掴んでもらうために、調整にかなり時間をかけたことを思い出します。

我々のRPG開発の場合、最初に調整を始めるのは、ファーストダンジョンからなので、このシステムが乗ったあとの、病院の調整はいろいろな意味でしんどかったですね。
テストプレイで、皆がフォルネウス前で全滅を予想以上に、繰り返してしまいます。最初のザコ戦で運が悪いと全滅したり…(笑)

調整してわかったことは、プレスターンのシステムは、相手からのダメージ量が、ある程度高く、戦闘にリスクを感じる調整にすればするほど、面白くなる(ハイリスク、ハイリターンな度合いが強まるので)ということ。
逆に言うと、ダメージ難易度を易しくしすぎると、途端にシステムの特徴が消えてしまうことでした。

戦闘バランスは、最初から「歯ごたえのある」もののほうが、ユーザーの皆さんに歓迎されると思っていたので、結果的に、作ったシステムが、狙った難易度にマッチしてくれましたが、導入の位置づけのファーストダンジョンの調整は、メガテンだといつものことですが、仲魔ユニットの違いで戦力差が大きく出るので、連日連夜、調整班となんども設定のリトライをしてしまいました。

…というわけで、かなり大変だったんですが、こういう試行錯誤の中で、仕上げていくことは、きついと同時に、やりがいを感じる仕事でもあります。
ユーザーの皆さんに、楽しく遊んでもらえれば、尚更ですね。

さて、次回からは、このような経緯で作ったバトルシステムをベースに、ペルソナ3のバトルシステムの組み立てについて、振り返ってみる予定です。

ではー。

https://web.archive.org/web/20140205020353/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/236

★P3のバトルシステム開発裏話

2007.11.08  橋野桂の開発通信 Vol.22

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

前回は、長期の社員研修でここのスタッフがいなかったので、更新できず、すいませんでした。
というか、本当は事前に用意しておくはずが、いつも、掲載の直前ギリギリまで、待ってもらっているせいで、間に合わなかったんです。担当者様、ごめんなさい。

さて、「ゲームシステム方面」の開発苦労話…というテーマで、バトルやダンジョン、イベントなど、各システムに特化した開発の話を中心に書いていこう…ということで、今回はその第3回。

…前回までは、真・女神転生Ⅲで実装した、プレスターンと呼んでいる、バトルシステムの開発の話をしました。
前置きが長くなりましたが、これをベースに、
ペルソナ3のバトルシステムの組み立てについて、振り返ってみたいと思います。

ペルソナ3は、新しいゲームファンの方にも、手にとってもらいたいという、大命題があったので、ゲームシステムの中でもバトルシステムの内容を決めるのに、一番時間がかかりました。

今までやってきたノウハウがうまく生きて、かつ「わかりやすく」するにはどうしたらいいか…

バトル担当からは、当初、リアルタイムに近い、アクション要素を取り入れた、お手軽なシステムという方向性も出ていたんですが、前回まででお話したとおり、”お手軽さ”という方向で、バトルをまとめたくないというか、自信がないというか(笑)。

そこで、今までやってきたプレスターンのシステムを、”わかりやすさ”の点から再度、見直してみることにしました。

プレスターンのシステムは、真Ⅲ開発当時、テストプレーヤーからは「わかりにくい」という声が届いていました。
わかりにくいので、ダメだということではなく、やってるうちに、わかってきた…ということで、特に、最初は、ルールの感覚が掴みづらかったようです。
(皆さんの中にも、同様に感じた方がいるかもしれませんね)

その要因の一つは、行動回数をプレイヤーパーティユニットで、”共有”している点です。ここが、プレスターンの特徴であり、だからこそ、すぐにわからない部分なのかなと思いました。
少しだけ敷居が高いのかなと。

そこで、システムに使う特徴的なルールを、直感的にわかりやすいものだけに絞り、これまでやってきたことを、ブラッシュアップさせてみようという方向で、ペルソナ3の位置づけに合わせた仕様を切ろうとしました。

「うまくやれば、もう一回動ける」
「うまくやれば、相手がコケる」
「全員、コケると、総攻撃!」

上の3つがバトルの基礎ルールとして、聞いただけで、すぐにわかるかどうかに拘ってあげたものです。
「もう一回」というフレーズは、誰でもわかるフレーズなので、「プレスターン」とは区別して、「ワンモアプレス」と呼ぶことにしました。
(まぁ、システム名は、どうでも良かったりしますが、考える側としては、付けたくなってしまうものです(笑))

↓いきなりですが、ペルソナ3のバトルの制作途中画面です。

【画像】

↓こっちが、おなじみの完成版

【画像】

遊び方の基本は、これまでの相性バトルなので、
あとは敵配置などの調整で、上の3つがうまくかみ合うかがポイントでした。
「うまくやって、もう一回行動を連続で起こし、
 相手を全員コカして、総攻撃を狙う…」というモチベーションを、プレイヤーに与えられるかどうかです。

これには、バトルの設定担当者に相当な苦労をかけました。
相性の設定の仕方、敵の置き方で、システムバランスが、天と地ほど変わってしまうんですね。

ゲーム制作の場合、開発の終盤(調整期間)をうまく乗り切れるかどうかが、ゲームを面白く仕上げる為の重要なポイントになります。
例えば、2年の開発期間のプロジェクトでも、勝負は、最後の2ヶ月です。他の22ヶ月をどんなに慎重に、順調にこなしても、最後の2ヶ月がうまくいかないと、面白いと言ってもらえるものになりません。
例えば、起案されたゲームの企画アイデアがどんなに面白そうでも、最後がダメなら、そこでもうダメなんです。
(もちろん、最後だけ良くても、それはそれでダメなんすけど;)
悲しいけど、コレ、ゲーム開発の実際なのよね…という感じです。

で、この最後の調整期間というものは、最後だけに、「納期」との勝負で、オシオシになってしまうリスクが大きいので、長期の開発の場合、考えることは常に「最後に調整をちゃんとさせてくれー」
ということだけだったりします。

…ちょっと生生しい話になってきましたが、ペルソナ3のバトル、どうだったでしょうか?
なんとか調整を付けて、納得のいく形でリリース出来たと、我々は思っているのですが、楽しんで頂けていたら、嬉しいです。

次回からも、システムの開発の話を続けます。
よかったら、覗いてみてください。

ではー。

★P3の開発デモムービーの話

2007.11.22  橋野桂の開発通信 Vol.23

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

「ゲームシステム方面」の開発苦労話…
というテーマで、バトルやダンジョン、イベントなど、各システムに特化した開発の話を中心に書いていこう…ということで、今回はその第4回となります。

前回まではバトルシステムについて、開発の苦労話を進めてきましたが、ペルソナ3では、ゲームルール作りと並行して、開発初期には、フィールドからエンカウントまでの演出を模索します。

特に、ペルソナ3では、動的なインターフェイスや、マンガ的でコミカルな表現など、これまでのシリーズのイメージを、変えていこうという、デザインスタッフの試行錯誤がありました。

当時の、演出検討用のデモムービーがこちら↓

【ムービー】

出して良かったのだろうか…。

製品版とは、全然、違うので、驚かれたかもしれませんね。
(僕も久々に見て、こんなだったっけ?と。)
というか、フィールド上でそのままバトルしてます。
メモリの関係も当然あるので、やはりバトル画面に切り替えも検討。
えーい、それがこちら↓

【ムービー】

こっちの方が少しは、製品版のイメージに近いかな。
近くないか。というわけで、開発初期は、いろいろやってます。

次回からも、システムの開発の話を続けますね。
よかったら、是非、覗いてみてください。

ではー。

https://web.archive.org/web/20140205014956/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/286

※アーカイブページではムービーは再生不可能でした。

★コミュの開発裏話

2007.12.20  橋野桂の開発通信 Vol.24

こんにちわ、ペルソナ3ディレクターの橋野です。

前回、あまりの忙しさで、ブログを飛ばしてしまいました。
ここの更新を待ってくれている、全国若干名の開発日記ファンの皆様、すいません。鋭意製作中の次回作、今まで以上に、喜んでもらえるものにしたいと思いますので、許してください。

さて、「ゲームシステム方面」の開発苦労話…というテーマで、バトルやダンジョン、イベントなど、各システムに特化した開発の話を中心に書いていこう…ということで、今回はその第5回となります。

前回まではバトルシステムやエンカウント演出などの話を、つらつらとさせて頂いておりましたが、今回は、ペルソナ3の制作においての「コミュ」と「イベント進行」のお話です。
ユーザーの皆さんにとって、システム的に、これまでと大きく変わった部分の一つに、カレンダーによる日常進行と、コミュのシステムがあったんじゃないでしょうか?

特に、平日含めて「全日」いれることで、日常感がうまく出ないかなぁ…という狙いを元に、予定や目的の立ち方次第で、おなじ1週間でも、日常生活の楽しさが変わる感覚…みたいなものを、ゲームで味わえたら楽しいものになるかも…という思いで、日常の進行システムを作りました。
(最初は、高校生生活3年間(!)を作る予定でしたが、自他共に無謀さに気が付き、1年弱でまとめました^^;)

実際、昼間学校いって友達を作って、夕方コミュやって、夜にダンジョンいって…という、基本のゲームループを、平日含むカレンダーで長期間プレイするというのは、どんな感じなのか・・・データの揃う開発終盤で確認するのは、後戻りが出来ないだけに危険すぎるので、事前に、PC上で動く、日常進行のシミュレータを作って、プレイ進行の感じを掴むことにしたんですよ。
(毎作、こういうのは開発が本格化する前に作ります。
真女神転生3のときは、仲魔がバトルで成長する仕様を入れることにしたので、合体と成長のゲーム性を確かめるためのシミュレータを作成しました。
こっちは数値ばかりの表だったのですが、P3用のものは、テキストなど、それっぽいものをかなり入れ込んだので、開発”裏”ツールということで、ここで紹介してみます)

【画像】

↑ネームエントリーまで出来る本格派(?)
カレンダーや予定表、日々の行動が平日・休日含めて、コマンドで実行出来ます。

【画像】

↑実際に部活などに入部して、コミュを発現させることが出来ます。
ツール上では、5つまでコミュを持てるようになってます。

【画像】

↑極めて簡易ながら、ダンジョンクエストらしきものが受けられます。
これは、後の製品版では、エリザベスのクエストになりました。

【画像】

↑合体施設で合体シミュレータを起動させることも。
中身はテスト用の仮のものです。
こんな感じのツールを、数人で2週間くらいかけて作ります。

テストをしていくうちに、日常の目的の示唆のタイミングや、コミュの発生タイミング、要らない時間帯など、様々な感触を得ることが出来たんですよ。
これによる、その後の仕様のアレンジがなかったら、開発終盤で、いろんな問題が発覚して、きっと、発売日を守れなかったことでしょう(恐!)

余談ですが、このツールでスタッフから感想を集めて、判明した中で、意外だったのが…「恋人が出来ると、こんなシミュレータのプレイでさえも、俄然、楽しくなった!」という感想でした^^;
絵もなにもなく、簡素なコメントログが出るだけなのに…、青春の日常生活での異性のパワーは強力だなぁと(笑)
これにより、日常感の演出には、やはり欠かせない要素として、異性とのコミュを当初の予定よりも充実させるきっかけにもなったツールです(笑)
如何だったでしょうか?

また次回、開発裏話、続けていきます。
ではー。

https://web.archive.org/web/20140205020202/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/319


vol.25では開発室の模様を写真つきで紹介されていました。P3の話は出なかったので省略。

橋野桂の開発通信vol.26~

★P3の日常パートのゲーム進行について

2008.02.07  橋野桂の開発通信 Vol.26

皆さん、こんにちは。
ペルソナ3ディレクターの橋野です。

寒すぎ。

さて、「ゲームシステム方面」の開発苦労話…というテーマで、進めてまいりましたが、今回は、日常のゲーム進行の調整のお話をします。

製品版では、寮のラウンジに帰ると、「おかえり」と言われたり、「タルタロスいかないか?」などと誘われたりするんですが、実は、当初仕様には、こういう「挨拶」や「誘い」はなく、話しかけて初めて、挨拶されたり、誘われたりする仕様でした。

しかし、通しプレイが出来るようになって、進行を試してみると、話しかけないとリアクションのない生活感が、寂しい…というより、ゲーム進行として目的が見えなくなり、このままでは、ゲームにならないぞ…というレベルの問題が発生しました。
こう聞いて「そんなもんなの?」と思った方、多いと思います。
けっこう、RPGのゲーム進行の調整は、ほんのちょっとしたことで、感触が大きく変わるのです。

これに関連した話をしてみます。

この業界にいると、よく、シナリオについての話題や議論の中で、「ドラマのシナリオと、ゲームのシナリオは違う」といったような話を耳にします。
シナリオライターの方が、初めてゲームシナリオを担当するときなどは、やはりこの違いに、苦労される場合もあるようです。

その違いのひとつに、ゲームならではの「キーフリー」があると思います。
もっと突き詰めて言うと「キーフリーの為の目的設定」の存在といったらいいでしょうか。
小説やドラマは、この「キーフリー」というものがないので、極論、主人公が全く目的を持たないような人物として描かれていても、お話はどんどん進みますが、ゲームの場合は、キーフリーの時点で立ち往生です。
なので、普通はそうならないように、キーフリーの前までに、次の行動の為の示唆を入れる必要があります。

皆さんにも、こんな経験ありませんか?
予定のない休みの日に、家にいるのもなんだからと、とりあえず外に出るんだけど、しばらく、ボーっと行き先を考えて立ちどまってしまった経験。
開発中のペルソナ3も、こんな感じでした。
キーフリーのたびに立ち止まってしまうので、これはまずいなぁ…と。

日常のカレンダーさえあれば、日々を進められるだろうと、当初は思っていたのですが、実際は、他者からの挨拶や誘いといった、「流れ」に乗るような動機付け…が必要そうだなと。

これ、現実でも考えてみれば、そうかもしれません。
誘われたから、とりあえずいっとく…とか、流れに身を任せてみることってありますよね。
全ての行動を1人の意志で常に決定し続ける…なんて、かなり疲れてしまうことのような気がします。

…要するに、挨拶一つ入れただけでゲームの進行の感触が、ずっとよくなりました…という話でした。

なんだか、2行程度で済む話を、拡大してお送りしてしまったような気がしますが、別に開発のネタが尽きかけているわけでは決してありません。

ではー。

★『P4』発表

2008.03.21  [橋野桂]  橋野桂の開発通信 Vol.28

ペルソナ3ディレクターの橋野です。

前回は、開発以外が社員旅行ということでお休みしました。
もちろん、開発は今、社員旅行どころではありません…。

めちゃくちゃ忙しいです。

チェックにつぐチェックと、データの修正につぐ修正…
アリナミンにつぐアリナミン…
ボロマンションの水漏れにつぐ水漏れ…
(なんでこんなときに…)

…というわけで、皆さん!!
大事なお知らせです!

本日、3月21日発売の「週刊ファミ通」を、是非、是非、ご覧になってください!

ペルソナシリーズ最新作「4」の発表を、プロモーション映像DVD付きでさせて頂いております。

「4」は、前作の世界観を踏襲した、完全オリジナルの作品になります。

「3」「フェス」を経て、ユーザーの皆さんから、数多くの応援や、感想・ご意見を頂いており、それらを制作の糧ともさせて頂いています。

これまでのファンの方々はもとより、これまでシリーズに触れたことのないRPGファンの方でも、充分に楽しんで頂ける面白いものに仕上げたいと思います。

新作についての詳しい事は、まだここには書けませんが、是非、ファミ通の記事と付録のDVDをご覧になって下さい。

次回からは、過去の振り返りブログではなく、新作の話を少しづつですが、していけると思います。

とりあえず、マスターしないと…
あと少し、チームスタッフと共に、
がんばって乗り切っていきたいと思いますので、
どうか、宜しくお願いします。

ではー。

以降はP4の話題一色となっていました。
気になった箇所だけ載せておきます。

最近は、仕事も落ち着いてきて、リンクキャンペーンのファンサイトさんのプレイ日記などを拝見させてもらっています。みなさん突っ込みまくりで面白いすね。
気づくと時間が経ってるので、仕事にやや影響が(笑)

ネットでのアンケートなどの集計をみると、P4の購入者の半分近くが、P3からのユーザーさんなんですよね。
近年のアトラスのRPGユーザーさんは、メガテン系だと「ソウルハッカーズ」や「異聞録」から始めました…って方が、かなり多かったんですよ。たしか。
古くからシリーズに関わっている者としては、ユーザー世代の移り変わりを実感したものですが、P3、P4でまた多くの新しいユーザーさんたちを、迎え入れることが出来たようです。
こうしてアトラスのファンの方が増えていくことは、次の開発に繋げていけるので、開発スタッフ一同、うれしく思います。

どんな作品であれ、ゲームならではの遊びや、こだわりをもって、アトラスらしい作品作りを、今後も続けていきたいと思っているので、どうか宜しくお願いします!

https://web.archive.org/web/20140205015317/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/650

Q;P3フェスのような位置づけの作品が、P4で出ますか?

続編希望のご要望をたくさん頂いたんですが、
その中でも、この質問が多かったですね。
P4は、P3とP3フェスを経て、
制作に取り組んだ作品ということもあって、
そういった位置づけの続編は現状では予定していません。
その先の続編については、いつになるかわかりませんが、少しづつ準備をしていきたい…と思っています。

Q;もしも続編が発売されるとしたら、どのような内容になりますか?
 (制作者さんの方で考えている課題や、目指したい作品性などがあれば、教えてください)

課題や作品性…というかなり難しいご質問ですが、
作品性については、ペルソナに限った話ではないのですが、
他のチームのスタッフ共々、今後もアトラスらしい拘った内容で、
制作を続けて行きたいと思っています。

課題は…もちろんたくさんあります(笑)
専門的な細かい話は、ここでしても意味不明になりそうなので、
それらを除いた話だけしてみます。

ゲーム制作は、まず第一に時間がかかるし、
大勢のスタッフが必要なんですね。
しかも、スタッフが多かれ少なかれ常に入れ替わります。
(会社というのは、そういうところなんですね。)
そして、数年おきにプラットフォームも移り変わっていきます。

たまに「ゲームにしては・・・よく出来てる」
という感想を聞くことがあるのですが、
ある種の誉め言葉であるようにも見えますが、
なんとも寂しい言葉でもあるんですよね。

今に始まったことではないのですが、
開発のリソースを新プラットフォームへの移行のためにある程度割かなくてはいけないことなどを、こうして考え合わせると、もしかすると、
映画や漫画など他のエンタメジャンルに比べて、
良いもの、面白い遊びの技術がなかなか熟成されにくいという一面があるのかもしれません。
だとすれば、そういう熟成の中で、新しいアイデアが生まれる…
なんてことも、頻繁には起きにくくなっているような気もします。
(我々の努力が足りないだけ…といったら
それまでなんですが^^;)

ですので、何らかの続編を作るうえでも、
それをうまく乗り越えて、オリジナリティの高い、ワクワクしてもらえるものを提供していければな…
というのが、なんとなくの課題といったところでしょうか。

なんだか、ピンとこない話をしてしまったような気もするのですが、面白がって頂けるものを、なんとか頑張って作っていきたい…と、ほぼ気合だけの話でした(笑)

https://web.archive.org/web/20140205015316/http://www.atlusnet.jp/topic/detail/664

P3の変な画像祭りの回。

P3の変な画像祭りの回その2。

P3の変な画像祭りの回その3。

ゲームの企画開発の話。(P3の話題ではない)

上の続き。


おしまい。
フェス後日談で相当クレームが入った事、P4リリースの時に若干それがトラウマになっていた事が窺えて面白かったです。

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