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オゾンの特性〜オゾンの基礎知識

どうも、おじさんです。
今回は、「そもそもオゾンってなに?」という初級編というか、基礎知識的なやつをお届けします。

オゾンとは​​

酸素って、酸素原子の「O」が2つ結合して「O2」の状態で存在します。酸素原子って、「O」が単体である状態を指すわけなんですが、Oは寂しがりやなので、常にもう1つのOとくっついているんですよね。
仲良しだ( ´・∀・)(・∀・` )ネー

一方、オゾンというのは、酸素原子「O」が3つくっついて「O3」これがオゾンと呼ばれるものです。
Oが2つなのか3つなのかという違いですね。
※「O2」や「O3」の正しい表記は数字が右下付きになります。

あっ、そうそう。
あの「オゾン層」もここでいうオゾンと同じものです。
ただ、成層圏(約10~50km上空)に存在するオゾン層のオゾン濃度は殺人的な濃度であり、私たちが業務で使ったり、一般のご家庭で家庭用のオゾン発生器を使ったりして作り出すオゾン濃度環境とはまったく異なりますので、「オゾン層のオゾン濃度は殺人的なレベルのオゾン濃度だよ」なんてことは、私たちが気にすることではありません。
また、オゾン自体は大気中に微量ながら存在していて、海岸や山や森などでは街中よりすこ〜しオゾン量が多い(濃度が高い)です。
オフィスの大型コピー機や一般家庭で使われている比較的大きな冷蔵庫などは、常日頃から微量のオゾンを発生しているってご存知でしたか?

オゾンの効果

まずオゾンの効果から。
濃度を無視して、オゾンの一般的な効果を並べるとこんな感じです。

・殺菌消毒効果(菌を殺したり減らしたりする)
・ウイルス不活化効果(感染できない状態にすること)
・野菜や果物などの鮮度保持効果
・害虫忌避効果(殺すわけではない)

オゾンにはそんな効果があるため、次のような利用シーンでオゾン発生器と呼ばれる機器が使われています。

【オゾン発生器の利用シーン】
・宿泊施設の客室の脱臭や殺菌、消毒作業
・自動車や大型トラックの荷台における脱臭や殺菌、消毒作業
・病院などの医療施設における空間除菌
・飲食店におけるウイルス感染拡大防止(ノロやコロナなど)
・介護施設や幼稚園、保育園における空間除菌と遊具の消毒等
・動物病院やペットサロンにおける菌及びウイルスの感染拡大防止
・食品関連業における浮遊菌の除菌
・一般家庭における空間除菌

その他、研究施設や不動産業、冠婚葬祭業などでも、脱臭、殺菌、消毒、ウイルス不活化を目的に幅広いシーンで利用され、日本の公衆衛生を支えているのです。

オゾンの毒性と濃度について

オゾンの毒性について。
オゾンには毒性があります。
「毒性」と聞くと、「えっ、なに、そんなにヤバいものなの?」と少し構えてしまいそうになりますよね。
けど、それはオゾンに限った話しではなく、アルコール(エタノール)や次亜塩素酸だって同じことなんです。
もっと言えば、酸素も水も砂糖もアルコールも、個人差はあるものの、摂取量を誤ればチャラリ〜ン♪👼てな具合に、最悪死にます。
要は量(濃度)の問題なんですね。

では、オゾン濃度がどのくらいだと危険なの?という話しですが、ざっくり言えば...

・有人環境:0.1ppm以下
・無人環境:3.0ppm以下

あたりを目安にしておけばいいかなと思います。
ちなみに、これについては厳格な定義や取り決めがあるわけではありませんので。

本来であれば、無人環境なら人もペットもいないわけで、実際に室内空間のオゾン濃度が5.0ppmとかになっても、あまり関係ないんですよね。
ただ、稼動させたオゾン発生器の電源をOFFにしたり、持ち出す際や作業が終わって換気をしたりするために、作業者が一度その部屋に人が入るわけじゃないですか。
だから、3.0ppm以下であれば、タオルで口を抑えるなどしてすぐにその部屋の換気を行えば問題ないレベルですが、それ以上のオゾン濃度が想定される場合は、マスクとか装着してからその部屋に入ったほうがいいですね。そして、機器の電源OFF→窓を開ける→空調設備をON→機器を持ち出し、速やかに退避する、が理想です。
まぁ、いずれにしても高濃度のオゾン濃度環境に人が長時間いると健康被害につながることがありますよ、けど、度を越したオゾン濃度に長時間滞在しなければ特に問題ありませんよ、ということですね。
※業務用と呼ばれるオゾン発生器を使用して、一般的なオゾン作業を行う際、オゾン濃度0.1〜1.0ppm程度で行われています。ただ、特殊清掃など厳しい現場環境においては2.0ppm以上で作業が行われたりしています。(もちろん無人環境ですからね)

よくオゾン濃度に関して、「(詳しくは知らないけど)オゾン濃度は0.1ppmを超えたら危険だと聞いた!」というご意見をみかけますが、それはおそらく日本産業衛生学会の「作業環境基準」のことかと思われます。

許容濃度4) 0.1 ppm(0.2mg/m3) 労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合に、当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度。
日本産業衛生学会の「作業環境基準」から

この日本産業衛生学会の「作業環境基準」を持ち出して、「0.1ppmを超過したオゾン濃度はヤバいよヤバイよ」と、「おまえは出川哲朗なの?」みたいな人を見かけますが、これはあくまでも「有人環境」の話しなんですよね。
そして、無人環境に関するオゾン濃度の厳格な取り決めは今日現在ありません。
ぶっちゃけ、市販の業務用オゾン発生器で5.0ppmなどの濃度環境も案外簡単につくれるわけですが、それでも、オゾンが原因で作業者が何らかの健康被害を受けたという話しは、少なくても私が公衆衛生に携わってからの13年間で一度も聞いたことがありません。
だから、皆さん、オゾン発生器を使用して作業を行う際は、それなりに注意したり、オゾン臭をキツく感じるような環境に長時間いては良くないことなどを考慮して、それなりに気をつけておられるんだろうなぁという感想です。

オゾンのニオイ

これ、オゾンを少し知っている方でも、なかには勘違いされている人がいるようですが、オゾンって本来は無臭なんです。
ただ、オゾンが何かと反応したときに特有のニオイを発生します。
このときのニオイがいわゆる「オゾン臭(おぞんしゅう)」と呼ばれたりするんですが、厳密に言うと、これはオゾン自体のニオイではないんですよね。
「オゾンが何かと反応しているニオイ」がより正確な表現です。
ただ、オゾンはほぼすべての物質と反応するわけで、一切何も存在しない空間などは特別な実験装置でも使用しない限り自然界には存在しません。
つまり、オゾンは、いつでも何かしらの物質と反応しているため、オゾン臭を発生しているということなんです。

オゾン臭って、どんなニオイ?と思いますよね。
嗅覚にも個人差があるので一概には言えませんが、

・プールの消毒臭に近い塩素系漂白剤の臭い
・プールの消毒薬と新品のポリ容器等の臭いを混ぜたような感じ
・電球や蛍光灯などを割ってしまった時に一瞬周囲に漂うニオイに近い
・焦げたバターのようなニオイ
・稼働中の湯沸かし器周辺にうっすら漂うあのニオイ

などなど。
オゾン臭をそんなふうに感じる人が多いようです。
個人的には、「プールの消毒臭(塩素系)」ですかね〜。

オゾンが菌やウイルスを退治する仕組み

酸素原子の「O」が3つくっついてできたオゾンって、とにかく「不安定な物質」なんですよね。
どう不安定なのかというと、3つの内の1つのOがすぐに「何か」と反応しちゃうんです。
「反応ってなに?」と思いますよね。
オゾンの場合、それは3つのOの内、1つのOが菌やウイルス目がけて飛んでいって、ドラゴンボールのチャオズよろしく、「さようなら、天さん」てな具合で、菌やウイルスとともに消滅します。
これを「酸化」と言いますが、その酸化こそが菌を殺したり、ウイルスを不活化(感染できない状態にすること)するんですね〜。

オゾンの特徴

オゾンの特徴でもっとも注目すべきは

①酸化力がハンパない
②残留性がない

この2点だと思います。

(酸化力について)
オゾンの酸化力(菌やウイルスをやっつける強さ)は、なんとあの塩素の6倍であり、その酸化力の強さはフッ素に次ぐものとして知られています。
新型を含めるコロナウイルスやアルコールがほぼ効かないノロウイルスやロタウイルス、インフルエンザ。そしてウイルスだけではなく、数多の菌など。ほぼ敵を選ばないのがオゾンのすごいところです。アルコールや次亜塩素酸は効きづらい菌やウイルスがありますが、オゾンにはそれがほとんどなく、かなり広範囲の菌やウイルスを殺菌、不活化しちゃいます。

(残留性について)
先ほど、「オゾンは、3つのOの内、1つのOが菌やウイルス目がけて飛んでいって、「さようなら、天さん」てな具合で、菌やウイルスとともに消滅すると説明しました。
3つのOの内、1つのOが菌やウイルスにアタックして菌やウイルスとともに消滅するわけですから、残ったのは2つのO、つまり「O2」ということで酸素なんですね。
「オゾンは分解反応後、酸素に戻って完全無害化する」というわけです。
次亜塩素酸と違って残留性がないため、安全性が高いといわれているのは、この残留性がないことによります。

オゾンをどうやって作るのか

オゾン関連の主な機器には、気体のオゾンがメインの「オゾン発生器」と呼ばれる機器と、オゾンを水に溶かし込んだオゾン水を生成するための「オゾン水生成器」と呼ばれる2つの機器があります。

一般的には、これらの機器を使ってオゾンやオゾン水を生成するわけですが、具体的な仕組みとしては、気体のオゾンは機器内部の放電管と呼ばれるパーツによって放電現象を起こし、オゾンを生成します。

オゾン水の生成については2通りあって、1つはオゾン水生成器を利用して、「直接電解式」と呼ばれる方法で、高濃度のオゾン水を作るやり方。
濃度的には5.0ppmなどのオゾン水も生成可能です。製品にもよりますが。

もう1つは、先に説明した気体のオゾンを生成・放出する機器である「オゾン発生器」で生成した気体のオゾンをチューブを使うなどして、水中にオゾンを送り込み、無理やりオゾンを水のなかに溶かし込む方法。(これをバブリング式と言う)
とはいえ、気体のオゾンを水中に放出しても、効率良く水にオゾンが溶けないため、放出されたオゾンの大部分は水から漏れ出て大気中にファサファサ〜と逃げてしまいます。
そのため、直接電解式と比較すると生成効率はグッと落ちて上限1.0ppm程度のオゾン水しか生成できません。(まぁ、でも、1.0ppmもあれば結構な除菌作業ができますが)

今回は、オゾンの基礎知識をお届けしましたが、ひとまずこれだけ知っておけば基礎としては十分だと思います。

ではでは、本日もそろそろハイボールを飲む時間となりましたので、これにて解散したいと思います。

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