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「正しさ」という冷たい仮面



私は正しいことをやっている。


.....って信じて生きてた。

本当はすごく嫌なんだけど、

私は一人っ子で、父も亡くなったから、

だから、

母と一緒に住まなくちゃね。

だから私は正しいことをやってるよ。

.....って信じて生きてた。

母と2人だけだから、母が旅行に行きたいって言えば、疲れてても、嫌でも行ってた。

それが私がやらなきゃいけないことだから

.....って信じて生きてた。

私は人間として正しいことをやっている。

だから、周りの人達は私を「優しい娘さん」って褒めてくれた。

でもあの頃、

全く理解できなかった。

何故、母は毎日毎日不機嫌で、

毎日毎日私を責め続けていたのか、

全然分からなかった。

一緒に住んであげてるのに、

いつも一緒に出かけてあげてるのに、

何故、毎日毎日不機嫌なんだろう.....。

何故、毎日毎日私は責められなきゃいけないんだろう....。


でもね、今ならはっきりとわかるんだ。

母の願いがようやくはっきりとわかったんだ。

母の願いは、

私が明るい笑顔で「私の人生」を思い切り謳歌すること。

母は私の笑顔を待ちわびていたんだよ。

来る日も来る日も私の笑顔を待ちわびていたんだよ。

彼女の願いは、ただそれだけなんだよ。

今、海の向こうで暮らす母の笑顔が、電話の向こうで輝いているのがわかるんだ。