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Twitterで天気をやらなくなった理由

気象予報士の尾澤です。

昨年5月、数年間続けていたTwitterでの天気予報をやめることにしました。

「やってられん!」の色んな意味をめんどくさくて詳しく書かなかったのですが、令和6年元日に発生した能登半島地震をめぐるX(旧Twitter)の動向をみて「これはちゃんと書いておかなきゃいけない」と思いました。

僕がTwitterで天気予報をやらなくなったのは、
もう「災害時にSNS(ていうか X )に頼るのは危険だと思う」からです。


理由は3つ、

  • 時系列で表示されなくなった

  • フェイクやデマの割合が大きく増えた

  • 真偽によらず注目を集めるものほど拡散されやすくなった


すでに X 内で言及されている方も多いですが、東日本大震災の時にくらべて災害時の情報収集に向いていない仕様に変わってしまったと思います。イーロン・マスクが買収したあたりから特に。

今のXのタイムラインは、時系列がグチャグチャでよく分からんアカウントによる刺激的な内容のポストが大半を占めているため、災害時に必要とされる「最新」「正確」な情報を取得しにくくなっているのが現状です。

X も只のいち企業によるものですから、利益をあげるための仕様変更は致し方ないと思います。昔は災害時のインフラとして有用であり、今はそうではなくなっただけのこと、残念ながら。

それでもたくさんの人が利用しているプラットフォームに、いち専門家として大雨災害時に正確な情報を発信する。というやり方もありますが、僕のような小さなアカウントは表示されにくくなってしまったので労力に見合わないし、いっそのこと「 X はデマやフェイクが多くて使えない」という認識に変わってほしい。とさえ思っています。

新しいのか古いのかも分からない。真偽も分からない。表示される回数こそ需要と考える情報発信が蔓延るSNSが、いざという時に命を救えるとは思えません。逆に危険に晒されることも十分考えられる。

はっきりいって、善意か悪意かにかかわらず災害時の不正確な情報拡散は害悪です。自戒を込めて。

もちろんSNSには有益な情報がたくさん転がっていますし、リテラシーを高めることでより使いこなせるでしょう。普段の天気予報くらいだったら問題ないとも思いますが、災害時に使い物にならない仕様であるなら僕は情報発信したくない。というのが理由です。今回の災害でより強く思うようになりました。

であるならどうするか。を考えた時、僕はやはりテレビやラジオからの情報を頼るべきだと思います。SNSよりも遅く、ある種の規制がかかった情報というデメリットはありますが、正確さは信頼できます。間違った情報を発信しないことに極端なほど気を遣う人たちですから。

あとはテレビラジオの情報が遅いぶん、各自で状況判断できるように防災の知識を蓄える。そのために防災教育が大事になります。

なので僕はテレビラジオでの天気予報を頑張りながら、防災イベントやお天気教室みたいな形でなるべく現場に出向いていきたいと思っています。


災害時の自粛ムードや不謹慎狩りについても言いたいことがあるんですけど、それはまた別の機会にします。

最後に、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。どうか穏やかな夜が過ごせますように。

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