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【AA長編スレガイド】バトル編!その②

前回の記事「【AA長編スレガイド】バトル編!その①」はこちらから!

【前回の簡単なまとめ】
「そもそもAA長編って何?」って話から始まり、戦闘シーンが多めなAA長編=バトル系AA長編を、AA技術的観点から三大区分に分けてご紹介!
(1)三頭身AAアクション系(三頭身特化型)
(2)拡大AA特化ハイカロリー系(拡大特化型)
(3)三頭身&拡大いいとこどり系(複合型)
前回は(1)三頭身AAアクション系に分類されるAA長編スレとして「醜いHERO」「violence333」「EVIL EYE」をピックアップしました!

各分類の詳細や「三頭身」「拡大」の説明は、前回記事をご参照!

 さあ今回は続きまして(2)拡大AA特化ハイカロリー系のバトル系AA長編スレを紹介していきます! 書き手によって個性が千差万別にあらわれる「拡大AA」を刮目して御覧じろ!

バトル系AA長編のおすすめピックアップ!

【拡大AA特化ハイカロリー系AA長編】

・「砂漠の国で宝探し」

保管庫:http://wald.xrea.jp/dessert/

「闇の森保管庫」収録)
連載期間:2005/04/16~2006/04/22
話数:16話【未完結】
ジャンル:冒険劇

【簡単なあらすじ】
十四世紀の中東。砂漠の町メディナに住む商人の息子「モナー」は、怪しげな男から手に入れた地図をもとに、宝探しの旅に出る。

 童話「アラジンと不思議なランプ」を冒頭に引用しつつ、ほんわかと牧歌的な雰囲気でお話が進められていく冒険劇です。本当のほんとうにAA長編が初めての人にも、AA表現の分かりやすさ、内容的に安心してオススメできるスレかもしれません。 いきなり能力バトル系を勧めるのだけはやめておけ
 とてもいいところで更新が止まってしまったのが残念ですが、AA長編は10個あったら8個は未完結が基本みたいなものなので……

 厳密にはバトル系AA長編って雰囲気じゃないんですが、このスレは他のスレにない拡大AAの特色を持っているため、今回取り上げさせてもらいました。

三頭身を忠実に再現した拡大AA

「ウラマーのモララー」って口に出すとなんか面白い

 基本的にどんなモナギコAAも「拡大AA」になると、ディテールが増す傾向にあります。文字・記号でデフォルメ的に表現されていたものが、より写実的に、よりイラストレーション的に、そのキャラクターがどういった表情、どういった個性を持った登場人物なのか、という部分の表現に優れているのが「拡大AA」の特徴といえるでしょう。
 今後紹介するAA長編の拡大AAも、そういった部分に着目してみるのも面白いかもしれません。

 ですが、上記のモララーを見てもらえればわかるとおり、「砂漠の国で宝探し」の拡大AAは三頭身AAをそのまま忠実に拡大しています。服の部分の「¥」もそのまま表現されています。
 これは当時2005年のAA技術が発展途上だとか、そういう作風の流行りがあったというわけでもなく、このスレ独自の唯一無二の個性なのです。

当時連載していたAA長編の拡大AAの一例

この三頭身AAがこうなる

【採取】 しぃのアトリエ ~モナーブルグの錬金術師~ 【調合】
2005/08/29 投下の拡大AA
身にまとうローブの翻しがスゴイ

 いうなればデフォルメ拡大AAとでもいうべき独特な拡大AA表現が、「砂漠の国で宝探し」の雰囲気づくりの一因となっているかもしれません。
 そしてこの拡大AAの作風を維持したままバトルシーンも書いてしまうんだからもう凄い!

~第五話~ 「怨恨」より

モララーと同じ顔をした盗賊に荷物を奪われたモナー
盗賊を探してモララーと一緒に砂漠にやってくる
モララーとそっくりな盗賊、いったい何ララーなんだ……!!

 拡大AAで丁寧に描写された刀剣と鎖鎌による鍔迫り合い! これを三頭身AAで表現するとなると、武器を表現する部分と三頭身AAを表現する部分の文字や記号がごちゃごちゃしてしまって大変です。

 前回の三頭身アクション系の総括でも触れたとおり、何を表現しているのかわかりづらくなってしまうという欠点を克服できるのが拡大AAのメリットです。ここまで読んだ皆さんは「じゃあ三頭身AAなんていらないじゃん」ってもしかしてお思いかもしれませんが、デメリットとしては「とにかく書くのに時間が掛かる」に尽きます。これは何よりも無視できないマイナス要因だと思います。特に趣味の創作だと猶更。
 三頭身AAのメリット? 可愛いから良いんです!!

 拡大AAのメリットには「丁寧な描写が可能」以外に「大ゴマで迫力を出せる」というのがあります。次に紹介するのは正に大迫力なバトル系AA長編スレになります。

・「KOFHN3 魔法王国イテゥードス」より「呪いの決死戦」

保管庫:現在消滅の為、インターネットアーカイブ参照

連載期間:2007/03/11
話数:【単独完結】
ジャンル:シリアス、ファンタジー、魔術バトル、合作

【簡単なあらすじ】
魔法王国イテゥードスで無差別呪術テロを引き起こしてきた呪術師「ディディーズ・ロアニー」が遂に王宮への侵入を果たす。亡き父の復讐の為に国王の命を狙うディディーズを、死霊術師の「芋虫」と半人前魔術師の「ヌル」が迎え撃つ。

 拡大AAをふんだんに、っていうか8割超の使用率でバトル展開を描いており、拡大AAのクオリティで右に出る者はいない伝説の作品です。
 もうとにかく前後の話の流れとかいいからとりあえず読んで!凄いから! 
 ……
っておススメのしかたは、あんまりよくない部類の典型的な布教行為なんですが、そうならざるを得ないというか……

 というのも、どういう経緯で本作「呪いの決死戦」に繋がったのかを知りたくっても、過去ログがほぼ失われていてもう読めないんですよね。
 なので「KOFHN3」という参加型スレの成立経緯や「呪いの決死戦」に至るまでのあらすじを、俺の記憶や過去ログから引っ張り寄せたものを下記にまとめました。
 インターネット考古学に片足突っ込んでるので、興味ない人はさらっと読み飛ばして「なんだか知らんが魔法使い同士のバトルだな!ヨシ!」って認識でいいと思います。だいたいそれであってる。

~ここからKOFHNってなーに?の時間~

TIPS:KOFHNとは?
King Of Fighters Handle Name
「KOFHN」(……だったっけ?)
固定ハンドルネーム(コテハン)たちが自分の代理キャラ(コテキャラ)を持ち寄って、なんか闘ったりして最強を決めたりする参加型スレ(たぶん)

第一回、第二回KOFHNの過去ログは発掘出来たので、時間や興味がある人は内容をまとめてどっかで発表していただけると嬉しいです。

TIPS:KOFHN3とは?
KOFHNシリーズの3作目、2006年7月7日開始。
 
1、2作目との直接的な繋がりはないが、過去シリーズの参加者のコテキャラがNPC(non player character)として出演している。
 本作に参加するAA書きは、大陸を二分する「魔法王国イテゥードス」「機械立国グランチリヤ」のどちらかの陣営に所属し、国家間戦争に従事する。(従事しないで一国民として生活してもいい)
 ゲームマスターからの「ミッション」という名前のお題・ネタ振りに対して、各参加者はAA作品を書き込み、ゲームマスターによるポイント評価を獲得、二国家間で競っていくのが基本的な流れになる。
 MMOオンラインとかPixivファンタジアとか、そういうイメージ。

TIPS:「呪いの決死戦」とは?
「呪いの〇〇」という共通タイトルのミッション・シリーズの完結編。
 
魔法王国で暗躍していた呪術師ディディーズ・ロアニ―が表舞台に表れる。王宮の警備を正面突破した呪術師は、王宮地下に避難した国王を狙っているぞ! なんとかして食い止めろ! ……というお題振り。

 ゲームマスターからのミッションに対して、最高の返答をしてみせたのが本作「呪いの決死戦」ということになります。そりゃもう当時の熱狂はとんでもないことになっていました。

~ここまでKOFHNってなーに?の時間~

 読み飛ばした方もそうでない方もお待たせしました。本題のバトルAAの紹介のお時間です。

復讐の呪術師、ディディーズ・ロアニー
逃げた王女を追って迷宮図書館へ
王女の潜む地下フロア行の階段に
足を
踏み入れたはずが

 もうここまでやったら漫画じゃんね!

死霊術師ネクロマンサーの芋虫!

半人前魔術師のヌル!

はたして二人は、復讐に燃える呪術師を止められるのか!
ここから先は君の目で確かめてくれ!(ファミ通)


 大ゴマでの迫力ある表現に特化している拡大AAは、作成に途方もない時間と労力が掛かります。作るのは人間ですから、途中で気力が底を尽きることもあるでしょう。
 じゃあ時間も労力も気力も掛けまくったらどんなAAが出来上がるんだろう! そんなAA長編が! 実際に存在する! 今回の記事で最後に紹介するのがこちらになります!

・AA戦記シリーズより「星導の動乱王」

保管庫:http://syukorex.web.fc2.com/monitor2.htm

(個人サイト「竜の井戸」内「私用AA保管所」収録)
http://syukorex.web.fc2.com/

連載期間:2010/09/29~2011/05/29
話数:2話【未完結】
ジャンル:シリアス、中世ファンタジー、大怪獣バトル

【簡単なあらすじ】
 古の時代に舞い降りた「翼の無い天使」を始祖とするギコ王国。長らく平穏な治世が続いていた王国に突如、双頭の蛇竜「アンフィスバエナ・ドラゴリアス」が現れる。圧倒的な巨躯と恐るべき猛毒の息によって蹂躙されるギコ王国だったが、もう一匹のドラゴン……稲妻の暴君竜「レックス」が虚空から君臨する。

第2話「暴君竜REX 君臨」より

 「拡大AA」っていうか「巨大AA」って呼称のほうが相応しい気がしますが、拡大AAを多用するAA長編の紹介でこのスレを話題にしないってのはありえないので、無理矢理に「拡大AA」の括りとして紹介させていただきました。
 見ればわかるとおり、細部まで書き込みが加えられた巨大なAAを惜しみなく使った大怪獣バトルが繰り広げられます。なんかもう僕がああだのこうだの言葉を尽くすより、上記の画像引用を見てビビっとくるものがあったらすぐ保管庫を見にいってもらった方が速いと思います。想像の100倍はスゴイので。

【拡大AA特化ハイカロリー系総括】

 小道具を用いた丁寧な描写、繊細な表情変化、巨大で迫力ある画面作り。三頭身AAには不可能な表現が可能な拡大AA、しかしいいことづくめではありません。そこに「ハイカロリー系」という名称を付けた理由があります。
 クオリティの高い拡大AAを多用したAA長編を書く側にとっては、時間的・気力的コストを大量に消費するために途中失踪リスクが高くなるのは勿論ながら、読む側にとっても読み始めるのにちょっとした覚悟を要する、つまり高カロリーな作品になりえるのです。

 数コマの三頭身AAで構成された作品と、数十コマ~数百コマからなる拡大AAをふんだんに用いた重量級作品。
 
作品としての質やジャンルがどうという問題ではなく、気軽に読み始められるかどうか。
 
 昨今は商業・非商業問わずに作品が溢れ変える時代。スッと手に取れるか、読もうと思えるかというか心理的障壁は結構馬鹿にならないのです。

 まあそもそも今の時代はAA長編ってだけで読むのに躊躇する人がほとんどなんだけどね!! ワハハハハ!!

 三頭身AAにも拡大AAにもメリット・デメリットが存在するんだったら、両方のいいところを合わせちゃえばいいじゃない、ってわけで次回は「三頭身&拡大いいとこどり系(複合型)」に分類したバトル系AA長編スレの紹介をしていく予定になります。待て次回!


まあこんな紹介記事を書いたところで、どうせAA長編を読む人なんかいやしねーだろ!ワハハハハ!って、鬱憤とか創作の負の面が噴き出しつつあるオヨビ先生に応援のコメントを送ろう!

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