見出し画像

個人の想いをどう社会ビジョン化するかの考察

たまご of イノベーターのおやゆびしゅうじです。
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースに絶賛通い中です。授業の一つ、クリエイティブリーダシップ特論・第2回(4月19日)で、NY在住のデザインリサーチャー岩渕正樹さんにお話しを伺いしました。ビジョンデザインについて、わかっているようでわかってなかったことにいろいろと気づいたので、今回はそんな自分なりの気づきを書きますね。

クリエイティブリーダーシップ特論とは?

クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているいろいろな分野のゲスト講師を囲んで、参加者全員で議論を行う、という授業です。クリエイティブリーダーというだけあって、かなり寄った方(失礼(^ ^))が多く、毎回、すごい刺激を受けるんですよ。

岩渕正樹さんとはどんな方?

NY在住のデザインリサーチャーで授業もNYからオンラインでお話しいただきました。なんと、スペキュラティブデザインの提唱者ダン&レイビーに師事されてらっしゃいます。ビジョンデザインの研究やパーソンズ美術大学非常勤講師などをされ、今年度は東北大で授業をされるそうです。柔らかい物腰の中に独自の主張が散りばめられていて、すごい知的な印象を受けました。

教わったこと

岩渕さんのお話しの中で僕が印象に残ったり気づいたことは以下の3点です。

・ビジョンは夢を見るところから始める

ビジョンデザインのプロジェクトに関わっている時に、ビジョンってどこから始めるの?ってチームでもやもやする時があるんですが、岩渕さんがはっきりと、”Vision comes form dreaming”、っておっしゃってたのはスッキリしました。肌感覚だったことをはっきり言葉にしてもらった気持ちです。ぼくにとってビジョンの出発点の拠り所になりそうです。

・DreamingはFantasyとTechnologyの間にある

画像1

スペキュラティブデザインのPPPP図をさらに発展させて行きながら、世の中に問題提起していくDreamingはFantasy(例えば、火星でみんなでサッカーしてる、みたいな)過ぎてもいけない、今のTechonologyのちょっと延長でできそうなところでもなく、その中間をめざす、と。現実や技術を知った大人がちゃんと見る夢ってことかな、と思います。

・ビジョン作りの態度

従来のデザイン思考とはちょっと違って、Dreamingに必要な考え方や態度は、

・User needs よりも Your Passion を大切にする

・Present profit よりも Future good を大切にする

・New feature よりも New culture を大切にする

・「便利そう・使えそう」 よりも 「どうやって使うの?」

・「ありそう」 よりも 「ありえないでしょ」

ってあたりはデザイン思考のその次っていうのはこういうことなんだなって改めて理解しました。

ビジョンやイノベーションって言葉はビジネスの香りがする、でも、ビジネスの前にやることがある、それがDreaming的なことをおっしゃっていたのが印象的です。ビジネスの世界にも身を置きながら、ビジネスとは一定の距離感を保っているスタンスが伺えました。ビジネスどっぷりのぼくにはなかった立ち位置でこの距離感は大切だなあって思います。

個人の想いを社会ビジョン化するプロセス

岩渕さんは個人の想いから始めてそれをソーシャル化するところにハードルがあり、組織の問題などとも関連してくる、とおっしゃっていました。ここについては時間切れでお伺いできなかったのですが、とても大切な部分だと思うので、最後にぼくの実体験をもとに、そのプロセスの例を述べておきます。ロベルト・ベルガンティの意味のイノベーションのプロセスともちょっと似てるんですけど、だいぶ違うんですよね、ぼくの実体験はもうちょっとしょぼんですよ (^^;)

画像2

①個人で夢を見る

まずは、岩渕さんもおっしゃっていた個人で世の中こうなったら面白いとか、こうなりたいなどを夢見るところから始まります。

②ローカルに夢を話す

夢の出来たてはまだうまく論理がつながってなかったりして脆いことが多く、とても壊れやすいので、ここでは出来たての夢を自分のつてでローカルに話していきます。たいていの人にはきょとんとされたり理解されないのですが、10人に1人くらい、妙に賛同してくれる人がいたりします。応援してくれる人が1人でもいると、妙に夢に自信が出てきて夢が増強されます。

③夢を実力者へつなぐ

応援者・賛同者をローカルに見つけつつ夢を増強し自信もつけていった先に、いよいよ夢を社会や組織へ影響力を持つ実力者へつないでいきます。ベンチャーの創業者、大手企業のお偉いさん、行政のキーパーソン、とかそういう人です。これもきょとんとされることお多いのですが、中にはヒットする方が出てくることがあります。そうなったらチャンスです。ここで必ず実力者からフィードバックをいただくのと次のアクションの確約を取ります。

④オフィシャルに夢を話す

ここまできたら一気にスピードアップです。実力者からのフィードバックをてこに動かしたい普通の人たち(はじめはきょとんとしていた人たちです)にオフィシャルに話をしていき、やった方がいいかもな、みたいな気持ちを共感して巻き込んでいきます。

⑤夢を社会・組織テーマ化する

最後にタイミングを見計らって手続きに則り、夢を社会や組織のテーマとしてオーソライズします。企業で言えば予算化する、とかそういう感じ。ここまでくると、ビジョンの初期の役割は完遂した、まあ、雛が親元を巣立っていくって感じですね。

上で書いたプロセスは偶然を作り込む感じなんですが、いつでも夢を「コンセプト」と「具体」の両極で話せるように準備しておくってことが大切と思います。心理学者のクランボルツ教授が提唱した計画的偶発性理論をビジョン作りに当てはめた感じですかね。

それではまた来週! ババン・バ・バンバンバン♪



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?