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220222 名古屋旅行記②名古屋駅(1日目)

2-1 中京テレビは入れない。

名古屋に着いた僕は、友人Aを待っていた。
彼は小学校からの仲で、今回の愛知旅行に同行したいと言っていた。
しかし、彼は東京からの新幹線に乗り遅れてしまったらしく、僕は2時間ほど待つことになった。

(何をしようか...)

遅刻によって、スケジュールが後ろ倒しになることは問題なかったのだが、
ただ待っていると言うのも、時間がもったいない。

(オドぜひ...って名古屋の番組よな...?)

オドぜひとは、『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』という、中京テレビ製作の深夜バラエティ番組だ。
この番組のファンである私は、『オドぜひグッズが欲しいな...』と思いながら、
中京テレビの住所を調べた。
運良く、中京テレビは名古屋駅の隣の駅に本社を構えており、
徒歩で15分くらいの位置にあった。

とりあえず、のんびり歩いてみることにした。
時間はたっぷりあるので、名古屋の街を満喫しつつ、
どんなグッズがあるんだろうかと想像しながら向かった。

この旅を機に卸した革靴によって、若干の靴擦れを起こしていたが、
知らない街を歩く高揚感を前には、些細なことだった。

20分ほど歩いて、中京テレビに着いた。

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僕は、比較的空気は読めるほうだ。

(これは......入れないやつ......やな?)

僕の中のテレビ局のイメージは、在阪局によって形成されていた。
MBSやカンテレ、ABCなど、どのテレビ局も一階は開放されており、
喫茶スペースや番組の展示、お土産売り場などが並んでいる。

しかし、中京テレビを前にした僕は、なぜか面接前のような面持ちになっていた。

(これ、テレビ局というより、会社やわ...)

たまたまイベントがない時に来てしまっただけかもしれないが、
welcomeな雰囲気でない大企業に、1人で乗り込んでいく勇気もなく、
僕は無言で踵を返した。

テレビ局へと吸い込まれていくサラリーマンたちの流れに逆走しながら、
晴れ渡った寒空の下、僕の左足の踵は少し痛んだ。


2-2 郷に入れば郷に従え

名古屋駅に戻ってきて、友人Aと合流した。
咎めもしなかったのだが、彼なりに罪悪感を持っていたのだろう。
彼が前回、名古屋に来た際に旨かった親子丼を奢ってくれると言う。
昼食を食べていなかった僕は、彼に連れられ地下街へ入っていった。

親子丼屋は、鳥開と言う店で名古屋ではかなり有名らしい。
昼時はすぎていたが、先客も数人いて、僕の期待値は上がっていった。
席に案内され、メニューを開いた僕は、つい心の声が漏れてしまった。

『タカッ』

親子丼で1900円...?

名古屋コーチンを使用しているとはいえ、ちょっと高くね...?
一方、その横に慎ましく若干小さな写真が載っている
『国産若鶏』の親子丼は約半額の1000円だった。

『...。』

名古屋に来たからには、名古屋コーチンを食べるべきなのだろうが、
まさか庶民の味方、親子丼に寝首を掻かれるとは思わなかった。

しかも、親子丼の中心にのる卵黄が、名古屋コーチンか国産若鳥かで
値段が400円違うらしい。

この街は、名古屋コーチンを中心に回っている。
そうでもなければ、こんな値段設定がまかり通るはずがない。

少しの沈黙の後、僕らは郷に入れば郷に従えの精神で、コーチンに従った。
しかし、せめてもの抵抗で、卵黄は国産若鳥のものにした。

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めちゃくちゃ旨かった。

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