初対面の人に出身地を聞く、ということ

 この記事は函館高専 Advent Calendar 2019(https://t.co/7Tanzwd5kI)の12/19の記事として書いています。

 当方の特技として、日本国内の地名を言っていただければ、だいたいの場所とアクセス手段を説明できるというのがあります。これは、これから記す「出身地を正直に言えない問題」に対して有効です。
 
 「出身地を正直に言えない問題」とは、例えば、
「どちらのご出身なんですか?」
 と話しかけられると、大都市・有名どころの出身ならいいとしても、マイナーな地名だと、言うのに躊躇してしまう方が多い、ということを指します。
 本校(函館高専)の卒業生で、首都圏に就職したりすると、同僚や上司などから、やはり上記のような質問が来ます。函館市育ちの人は、自信をもって言えるでしょうが、北斗市育ちの人が「北斗市です!」と言える人はどれだけいるでしょうか。となり街のブランド力に屈して「函館」と答えてしまう人が多いのではないか、そう思うと不憫でなりません。
 まして、町村部出身の方々は目も当てられません。過去に、厚沢部町出身の卒業生が、上司に出身地を質問されて「函館です」って答えたところ、「ぼくは江差なんだよねー」って言われて、慌てて「あ、となりの厚沢部です…」って気まずそうに答えなおした、なんて逸話も聞きます。
 
 では、なぜそのように答えるのか。それは、「世間一般の人はマイナーな地名を知らない」からです。
 例えば、だれでも知っている北海道の地名としては、札幌、小樽、旭川、函館、稚内、釧路、帯広、千歳、富良野、知床くらいでしょうか。北見、根室、留萌、苫小牧、室蘭、美瑛あたりになると知らない人も出てきそうです。赤平や美唄の場所を説明できる本州人はどれだけいるでしょうか。
 そんな中で、暮らしたことのない土地で、自分の出身地を告白するも、それどこ?知らないわーとディスられ、近隣都市からの方角や距離などを説明する、という屈辱を受けてきた人々の多いこと。そうです、知名度が低い土地の出身者は、傷ついてきているのです。そして、いつしか出身地を正直に答えるのに疲れ、たいして近くもない有名都市を挙げてしまうのです。
 
 なので、当方はそうした方々の理解者となるべく、初対面の人に「どちらのご出身なんですか?」と聞きます。
 もちろん、前述の理由により、だいたいの方は県名、または大都市名で答えます。
(過去の例)
ワイ「どちらのご出身?」
相手「新潟県の上越市です」
ワイ「上越ですか。直江津?高田?」
相手「え?(ここで戸惑う)あ、高田のほうです」
ワイ「春日山とか?」
相手「あー(さらに戸惑う)駅でいうと南高田ですね」
ワイ「そうなんですね。上越教育大行ったことあるんで、高田は何となくしってます」

 このやり取りで、相手との心理的距離は縮められ、その後のコミュニケーションにプラスに働いていました。全くの初対面でも話を深めるきっかけになるので、おすすめです。
 この方法は、出身地が相当な地方であればあるほど効果を増します。何で知ってるの?みたいな感じになるためです。
(例2)
ワイ「島根のご出身なんですね。どの町ですか?」
相手「いやー、知らないと思うよ。川本ってんだけど」
ワイ「え!石見川本ですか?!三江線ですよね!三次-粕淵は乗ったことありますー」(こっちも興奮)

 地名を知っているということもそうですが、実際に行ったことがあるという経験もあると、話がより盛り上がります。なので、全国各地に行った際には、行ったことのない場所もなるべく通るようにしています。そういう点では、空路よりも鉄道での移動のほうが通過地を記憶に残しやすいので、鉄路を選ぶことが多くなり、それが「鉄ちゃん」として扱われるゆえんのようにも思います。

 なお、まだまだ完ぺきではありません。例えば、

・鉄道が通っていない場所を言われると出てこない
 岡山県の鏡野町出身と言われて、出てこなかったことがあります。津山の近くということでやっと理解できましたが、全くの不覚。

・私鉄だとカバーしきれていない
 果敢にも「駅名を言っていただければ、わかると思います」と吹っ掛けてしまい、「聚楽園」と言われて(うわー、名鉄かー、無理だ)って撃沈したことがありました。それ以来、駅名勝負は避けてます(笑)。少なくともJRの駅名だけはマスターしたいところ。

 まぁ、結局は単なる地理オタクのイキりなんですけど(爆)、自分の育ってきた土地を知っているのって、心理的な距離を縮めるのに効果的だと思うんですね。同郷出身ならそれだけで仲良くなれそうというのと似てます。あと、高専卒ってだけで学校が違っても分かり合えるじゃないですか(笑)。
 少しでも相手との共通項を探し出して、それを共有するところを取っ掛かりとして、本質的なコミュニケーションへと発展させていくことはよくありますが、その「取っ掛かり」として、「その地名知ってる!」はいい方法なんじゃないかなぁ、と思っています。

 そんなこんなで、全国を網羅すべく、日々の愛読書はJTB時刻表です(笑)。

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