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月収が3万円上がる 「J-POP式 レビュー執筆術」

もくじ

●まえがき●レビューとは何か?●レビューの「型」を覚えよう●J-POPの型をレビューにあてはめてみる●イントロは「この作品を取り上げる理由」を書く●Aメロでは「基本的な情報」を伝える●Bメロでは「注目したポイント」を伝える●サビは「発明・発見」を書く●Cメロは「裏付け」作業●二回目のサビとアウトロはさらっと済ませる●J-POP式レビュー執筆術は「型」に過ぎない●レビューに関する基本的なことQ&A

合計10000文字

●まえがき

この小冊子は、プロでライターをやっていきたい人のためのものです。普段あまり語られることのない「レビュー」の書き方について記していきます。

ライターはレビューとインタビューができれば十分食べていけるというのが僕の考えです(僕はこの2つしかできません)。

レビューはそれぐらいライターにとって基本的な仕事の一つですが、書き方はあまり共有されていません。編集者がライターを指導することが格段に減った昨今はなおさらだと思います。それがこの小冊子を執筆してみようと思ったきっかけです。

タイトルに「月収が3万円上がる」と書きましたが、レビュー記事は最近ウェブメディアにたくさん流通している「まとめ記事」や「あらすじだけの紹介記事」、「書き起こし記事」などに比べると一般的に原稿料が高いです。写真をたくさん使った取材記事より高い場合もあります。レビューを週に1~2本書いてメディアに採用されれば、原稿料は月3万円に十分達するでしょう。1記事のギャラが7000円だとすると、週に1本書けばだいたい3万円です。レビュー記事にはその人自身の視点や考え方が表れるので、次の仕事にもつながりやすくなります。

実は、レビューの書き手は不足しています。優れたレビューの書き手は、すぐに売れっ子ライターになります

レビューを掲載するメディアは相変わらず多いのですが、新しい書き手が育っていないというのが現状です。

基本的に、記事というものは好きなように書けばいいと思っています。受け入れてくれる編集者がいて、掲載してくれるメディアがあり、読者が喜んでくれるのなら、どんな書き方でもいいですし、お金も稼いでいけるでしょう。

ただ、今、ライターとして活動している中で「あまり稼げてないなぁ」と思っていて、もしレビューを書いたことがないのならば、ぜひレビューに挑戦してみてください。また、レビューに挑戦しているのに上手く書けないなぁ、と思っている人には、この小冊子がきっと役に立つはずです。

「J-POP式」って何? というもっともな疑問には、追ってお答えしていきます。

●レビューとは何か?

レビューとは、本、映画、ドラマ、アニメ、音楽、演劇など、さまざまな作品を紹介しつつ、独自の視点で読み解き、作品の面白さを伝える記事のことです。本の中には、小説、コミック、ノンフィクションなども含みます。

本に関するレビューは「ブックレビュー」とも「書評」とも呼ばれます。雑誌にはレビュー記事が欠かせませんし、ウェブメディアにもレビューはたくさん掲載されています。レビューが発展して書籍や新書になることもあります。

対象は形のある作品に限りません。俳優さんや作家などの人が対象になる場合もありますし、ビジネスやサービス、社会現象などが対象になる場合もあります。つまり、何に対してもレビューは成立します。

レビューの厳密な定義はさまざまですが、音楽評論家の田中宗一郎さんが語っていた「あるひとりの読者がその視点に賛同できるかどうかは別にして、参考にできる視点や構造を提示していくこと」という考え方は、わりと僕の考えに近いです。

レビューは「感想文」ではありません。「面白かった」「すごかった」で終始していては、レビューとは言えないでしょう。「どう面白かったのか」「どうすごかったのか」を書くのがライターの仕事です。

作品の全体像を伝え、注目すべきポイントをピックアップし、自身の視点を提示する。それができていれば、レビュー記事は成立していると思います。書き手の勝手な思い込みではなく、ある程度「正しさ」も担保されていたほうが良いでしょう。

レビューは「評論・批評」と訳しますが、難しく考える必要はありません。評論というと、現代思想や哲学の言葉を使わなければいけないと思い込んでいる人がいますが、そんなことはありません。また、何かを批判しなければいけないと思っている人がいるかもしれませんが、それも違います。「批評」と「批判」の字が近いので混同してしまっているのでしょう。

●レビューの「型」を覚えよう

レビュー記事には一つの型があります。この型に沿って書くことで、読者に伝わりやすく、編集者にとっても使いやすい(掲載しやすい)レビューになります。

実はこの型は、レビューを書いているライターたちの間で共有されているものではありません。筆者である僕が勝手につくったものです。長い間、レビューを書いたり、ほかのライターさんたちが書いたレビューを読んでいたりしているうちに気がついたものです。

僕はこの型のことを「J-POP型」と呼んでいます。レビューなのにJ-POP。何のことだかわからないかもしれませんが、まぁ、聞いてください。

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