秋が去る②

私は君たちが結婚するような気がするの。

なんでだろうね。

それから、大村、君はすごくすごいと思うんだ。

なんでかって
だって
きみは
私のメインストーリーを、いきなりサブストーリーに急転換させて、
その上私の脳内を上書きしてしまったんだから。
さすが。

男の子はいいな。
だって、私の大好きな男の子と親友になれるし
私の大好きな親友と恋人になれるから。
ところで、優花にお似合いとまで言ってもらえたのに
私たちは結ばれることはないのでしょうか。
とても悲しくて
悲しくて
ねえ
一度でいいから
もしも君とあの子が結婚するなら
その前に
一度だけ
私と結ばれて。
お願い。
一生の。

それでね、
思い出したことがあるの。
私のもとから去っていった男の子。
彼は私に問うた。
君の言う、帰れる場所って一体どういうこと?
俺にはわからない。
って。
私は
わかってくれなくていいと言い張った。
私にとっての帰れる場所というのは、
そう、
まぎれもなく美弥
そして彼は言った
彼女は君にとっての帰れる場所であるかもしれないけど
彼女にとっての帰れる場所って言うのは、きっと君じゃないんだよね?
私はそのとき
そんなの当たり前でしょう。

強がって答えた。
けどどこかで期待してたんだ。
私の帰れる場所は美弥。
美弥の帰ってくる場所は、私。
って。
だけど、あいつの言う通りだったみたい。
美弥の帰る場所は、大村だった。

美弥
美弥
美弥
帰っておいで。
美弥。

君としたキスは忘れない。
君のキスは
私のもとから去っていった男の子よりも上手だった。
それだけで好きになりそうになるくらい。

ねえ、
ねえ、
こっちを向いて。

二人とも。
私に背を向けて歩いていかないで。
おいてかないでよ。
ところで私は

君たちが結婚するんじゃないかなあという予想のついでに
もうひとつ、リアルに想像できる未来があるんだ。
何だと思う?

ふふ。
言わない。


やっぱり言おう。
あのね、死んじゃうの。
事故かなにかで若くして。
誰がだろうね。
言わない言わない言えない言いたくない。

現実になったら
どうしよう。
そのときの私は
きっと
今の私を
すごくすごく恨むのでしょう。
殺してしまいたいくらいに。

それでね
残された二人が
旅立った人をよすがにして
結ばれるの。
まさかね。
そんなこと。きっとない。
あってはいけない。

だけど
だけど
来週またキミに会える。
すごく期待している。
キスくらいは
してくれるんじゃないかと思って。

せがんだら
嫌われちゃうかしら。

だいすき

だいすき

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