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AI と著作権に関する考え方について

2024年2月29日に文化庁の著作権分科会法制度小委員会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について(素案)」。
ChatGPTのGPTsを使いながら整理しました。
Claudeを使って小学生向きに改編したのがこちらです。


背景

要点

情報技術の進展と共にAI技術の開発が加速し、特に生成AIによる様々な形態のコンテンツ生成が可能となった。これにより、著作権侵害に関する懸念が生じ、G7広島サミットでの議論や国内のAI戦略会議での論点整理など、国内外で生成AIと著作権の関係に関する議論が活発化した。これらの背景を受け、文化審議会著作権分科会法制度小委員会は、関係者からのヒアリングを行い、AIと著作権法の関係における各論点について議論を進め、本考え方を取りまとめた。これは、生成AIと著作権の関係に関する懸念の解消を目的としており、関係者が法的リスクを自ら把握し、著作権等の権利の実現を図るための参考とされる。

ポイントを箇条書き

  • 情報技術の進展によりAI技術が加速。

  • 生成AIによるコンテンツ生成が可能になり、著作権侵害の懸念が生じる。

  • G7広島サミットや国内AI戦略会議で生成AIと著作権の議論が行われる。

  • 文化審議会著作権分科会法制度小委員会が、関係者のヒアリングを基に議論を進め、本考え方を取りまとめ。

  • 本考え方は、生成AIと著作権の関係に関する懸念解消と法的リスクの自己把握・権利実現の参考として提供される。

関係者からの様々な懸念の声について

要点

平成30年の著作権法改正による「柔軟な権利制限規定」が設けられた背景には、自律的に生成物を生み出すAIの存在がありました。しかし、生成AIの社会への普及が進むにつれて、著作権者、AI開発・提供事業者、AI利用者を含む様々な関係者から、AIによる学習や生成物の利用に関する具体的な懸念が寄せられるようになりました。これらの懸念は、不利益を被る可能性や著作権侵害のリスクの不明確さに関するものであり、クリエイターや実演家などの権利者、AI事業者、AIを創作や事業に利用する者たちの間で特に顕著です。これらの声を踏まえ、本小委員会では、懸念の声を払拭するために、各層ごとの懸念とそれを基にした論点の整理が必要であると考えています​​。

ポイントを箇条書き

  • 権利者の懸念: 著作物がAIによって無断で学習されること、生成AIによる侵害物の大量生成、生成AIの普及によるクリエイターの仕事や創作活動の圧迫、海賊版を含む違法にアップロードされた著作物の学習。

  • AI開発・サービス提供事業者の懸念: 意図せず著作権侵害を引き起こし、事業者がその責任を負うこと。利用者が悪意を持って生成AIを利用した場合の事業者の責任。

  • AI利用者の懸念: AI生成物の生成・利用により意図せず著作権を侵害すること、法的には問題ない場合でも著作権侵害であると非難されるリスク、努力なしに作品を作るという同業からの冷評、AI生成物が著作物として認められず保護されない懸念。

これらの懸念は、AIと著作権の関係に関する社会的な議論を促進し、法的な枠組みの整備やガイドラインの策定を求める声につながっています。

開発・学習段階における「非享受目的」に該当する場合

要点

著作権法第30条の4は、著作物の情報解析など、「享受目的」を伴わない利用に関して権利制限を設けています。この規定は、AI学習を含む情報解析目的での利用が「非享受目的」に該当すると考えられるため、法的な保護の範囲内で可能とされています。ただし、もし利用行為が複数の目的を持ち、その中に「享受」の目的が含まれている場合、その利用は第30条の4の要件を満たさないとされます​​。

ポイントを箇条書き

  • 著作権法第30条の4は、「非享受目的」であれば、著作物の利用に関する権利制限規定が適用される。

  • 「情報解析の用に供する場合」は、「非享受目的」に該当するとされている。

  • AI学習のために行われる著作物の利用は、情報解析の一環として「非享受目的」に該当する可能性がある。

  • 利用行為が複数の目的を持ち、その中に「享受目的」が含まれる場合、第30条の4の適用外となる。

  • 「非享受目的」と「享受目的」の区分は、具体的な利用行為の目的に基づいて評価される。

検索拡張生成(RAG)等について(開発・学習段階)

要点

検索拡張生成(RAG)やそれに類する技術は、生成AIによって著作物を含むデータを検索し、その結果から要約や回答を生成する手法です。これを実装する際、開発や学習段階で、生成AI自体の開発に必要な著作物の複製や、既存のデータベースやインターネット上にあるデータを基にベクトル化したデータベースの作成などにより、著作物の複製が行われることがあります​​。

ポイントを箇条書き

  • RAG等の技術: 著作物を含むデータを検索し、その結果を基に回答を生成する技術。

  • 開発・学習段階での著作物の複製: RAG等の実装には、生成AI自体の学習や、データベース作成のための著作物複製が伴う。

  • データのベクトル化: 既存のデータベースやインターネット上のデータに含まれる著作物内容をベクトルに変換し、新たなデータベースを作成する行為が著作物の複製に該当する可能性がある。

著作権者の利益を不当に害することとなる場合について(開発・学習段階)

「著作権者の利益を不当に害することとなる場合について」の要点は、著作権法第30条の4の「ただし書き」に基づく著作権者の利益の保護とその適用条件に関連しています。以下に要点とポイントをまとめます。

要点

法第30条の4における「ただし書き」は、著作物の種類や用途、利用の態様を踏まえ、著作権者の利益を不当に害する場合には、権利制限の対象外としています。本条文は、著作物に表現された思想や感情を享受する目的がない場合の広い範囲の権利制限を認めつつも、著作権者の利益が不当に害される可能性がある場合には、その適用を制限するための柔軟な規定です。特に、AIによる学習データの収集やその他の技術的な措置が施されている場合において、著作権者の利益を考慮する必要があることが強調されています。

ポイントを箇条書き

  • 法第30条の4の「ただし書き」により、著作権者の利益を不当に害する可能性がある場合、権利制限の適用外となる。

  • 著作権者の利益とは、著作物の利用市場との衝突や将来的な販路の阻害を含む、広範な考慮が必要。

  • アイデアや作風が類似するだけでなく、具体的な創作的表現が共通する場合において著作権侵害の可能性がある。

  • 情報解析に活用できる形で整理されたデータベースの著作物に関しては、その利用が著作権者の利益を不当に害する場合がある。

  • AI学習のための著作物の複製等を防止する技術的措置の存在や、その措置を回避する行為は、著作権者の潜在的な販路を阻害する行為として考えられる。

  • 法的に認められた権利制限の適用外とするためには、著作権者から提供される情報や、特定の措置の存在による実績が重要な要素となる​​。

アイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成されることについて(開発・学習段階)

「アイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成されることについて」の要点は、AIによる生成物の著作権法上の扱いと、それが著作権者の利益に与える影響に関してです。以下に要点とポイントをまとめます。

要点の文章

AIによって生成される作品が、アイデアや作風が類似するにとどまり、既存の著作物との類似性が認められない場合、これらの生成物は著作権侵害とはならない。しかし、これらの生成物が大量に生産されることによって、特定のクリエイターや著作物に対する需要がAI生成物によって代替され、既存の著作物の潜在的な市場や販売機会に影響を及ぼす可能性がある。著作権法では、アイデアそのものは保護対象外であるものの、AIによる生成物が既存の著作物の利用市場に影響を与える場合、著作権者の利益を不当に害することに該当する可能性があると指摘されている。

ポイントを箇条書き

  • AIによる生成物が、アイデアや作風が類似するものであっても、既存の著作物と直接的な類似性がなければ著作権侵害にはあたらない。

  • しかし、これらの生成物が大量に生産されることで、既存のクリエイターや著作物に対する需要が代替されることが想定される。

  • 特定のクリエイターや著作物に対する需要がAIによる生成物によって代替される場合、著作権者の利益を不当に害することに該当する可能性がある。

  • このような状況では、著作権法上の「著作権者の利益を不当に害すること」と、著作権侵害が生じることによる損害は別個に検討されるべきである。

  • AIによる生成物が著作権者の潜在的な販路を阻害する可能性があるにもかかわらず、その生成物が学習元の著作物の創作的表現と共通しない場合、直接的な著作権侵害には当たらないが、著作権者の利益を害することにはなり得る​​。

著作権法第30条の4の対象となるかについてのポイント

「著作権法第30条の4の対象となるかについて」の要点とポイントは、著作物に表現された思想や感情の享受を目的としない利用行為が、原則として権利制限の対象とされる理由とその具体的な適用範囲に関するものです。以下に要点とポイントをまとめます。

要点

著作権法第30条の4は、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為について、その必要と認められる限度において、利用することができると規定しています。この条文は、著作物の表現の価値を享受して自己の知的又は精神的欲求を満たすことを目的とする者からの対価回収の機会を損なわないため、著作権法が保護しようとしている著作権者の利益を通常害するものではないとされる利用行為を権利制限の対象としています​​。

ポイントを箇条書き

  • 法第30条の4では、著作物に表現された思想又は感情を享受しない目的での利用を、必要と認められる限りで許容しています。

  • 「享受」の目的がないことが権利制限の対象となる要件であり、これに該当する場合には、著作物を利用できるとされています。

  • 具体的な例として、プログラムの著作物のリバース・エンジニアリングや、美術品を試験的に複製する行為などが挙げられます。

  • 「享受」の意義は、「精神的にすぐれたものや物質上の利益などを、受け入れ味わい楽しむこと」と定義されています。

  • 法第30条の4の適用対象かどうかの判断には、行為者の主観だけでなく、利用行為の態様や利用に至る経緯などの客観的・外形的な状況も総合的に考慮されます。

  • 主たる目的が「享受」でない場合でも、同時に「享受」の目的があるような場合には、法第30条の4の適用はなく、場合によっては法第47条の5が適用される可能性があるとされています​​。

「生成・利用段階」における著作権侵害の有無の考え方について、「類似性」と「依拠性」の考え方を以下に整理します。

生成・利用段階の階類似性の考え方について

要点

類似性の有無は、既存の判例に基づいて、既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できるものについて認められる。AI生成物と既存の著作物との類似性も、この「表現上の本質的な特徴が感得できるかどうか」という基準により判断される。類似性の判断にあたっては、個別具体的な事例に即した判断が必要である。

ポイントを箇条書き

  • 類似性の有無は、既存の著作物の「表現上の本質的な特徴」を基準に判断される。

  • AI生成物における類似性の判断も、人間が創作した作品と同様の基準で行われる。

  • 類似性の判断は、個別具体的な事例を基に行われる必要がある。

生成・利用段階の依拠性の考え方について

要点

依拠性の判断は、作品が既存の著作物に類似している場合に、その作品を制作した者が既存の著作物の表現内容を認識していたかどうか、およびその類似の程度の高さにより判断される。生成AIの場合、利用者が開発に利用された著作物を認識していない状況でも、類似したものが生成される場合があり、このような状況は従来の依拠性の判断に影響を与え得る。

ポイントを箇条書き

  • 依拠性は、制作者が既存著作物の表現内容を認識していたかに基づいて判断される。

  • 生成AIにおける依拠性は、AIの利用者が開発に利用された著作物を認識していない場合でも発生する可能性がある。

  • 従来の依拠性の考え方を踏まえつつ、生成AIによる生成行為における依拠性の有無を整理する必要がある​​。

侵害に対する措置について(生成・利用段階)

「生成・利用段階」における「侵害に対する措置について」の要点とポイントは、著作権侵害が認められた場合にAI利用者が受け得る措置と、その責任所在に関する考察です。以下に要点とポイントをまとめます。

要点

著作権侵害が認められた場合、AI利用者は差止請求、損害賠償請求、および著作権侵害に基づく刑事罰を受ける可能性があります。差止請求は故意及び過失の有無に関わらず可能ですが、損害賠償請求と刑事罰は侵害者の故意または過失が認められる必要があります。AI利用者が侵害行為に係る著作物を認識していなかった場合、故意または過失が認められない限り、受け得る措置は差止請求に限られ、刑事罰や損害賠償請求の対象にはなりません。ただし、不当利得返還請求が認められる可能性があります​​。

ポイントを箇条書き

  • 著作権侵害が認められた場合、AI利用者は差止請求、損害賠償請求、著作権侵害に基づく刑事罰を受ける可能性がある。

  • 差止請求は故意及び過失に関わらず可能だが、損害賠償請求と刑事罰には侵害者の故意または過失が必要。

  • AI利用者が侵害行為に係る著作物等を認識していない場合、故意または過失が認められなければ、受け得る措置は差止請求に限定される。

  • AI利用者が著作物を認識していなかった場合でも、不当利得返還請求が認められることがある。

  • 生成・利用段階では、生成時と利用時の場面で故意又は過失の有無についての判断が異なる可能性がある。生成時の行為が権利制限規定の範囲内であっても、後の利用時に著作権侵害となる場合があるため注意が必要。

  • AI開発事業者やAIサービス提供事業者も、規範的行為主体として著作権侵害の責任を負う場合があり、侵害物を生成した生成AIの開発に用いられたデータセットからの著作物等の廃棄請求などが可能である。

  • 侵害の予防に必要な措置として、生成AIに対する技術的な制限を付す方法などが考えられる​​。

侵害行為の責任主体について(生成・利用段階)

「生成・利用段階」における「侵害行為の責任主体について」の要点とポイントは、著作権侵害における責任の所在と、AI生成物の生成・利用が著作権侵害となる場合の責任主体の判断基準に関するものです。以下に要点とポイントをまとめます。

要点

著作権侵害の主体としては、物理的に侵害行為を行った者が主体となることが一般的です。しかし、著作権侵害の場合には、物理的な行為主体以外の者も、規範的な行為主体として著作権侵害の責任を負う場合があります。AI生成物の生成・利用が著作権侵害となる場合、物理的な行為主体であるAI利用者が著作権侵害行為の主体として、著作権侵害の責任を負うのが原則です。しかし、AIの開発や、生成AIを用いたサービス提供を行う事業者も、著作権侵害の行為主体として責任を負う場合があります​​。

ポイントを箇条書き

  • 物理的に侵害行為を行った者が著作権侵害の主体となるが、規範的な行為主体論に基づき、他の者も責任を負う場合がある。

  • AI利用者は、物理的な行為主体として、原則として著作権侵害の責任を負う。

  • 生成AIの開発者やサービス提供者も、著作権侵害の行為主体として責任を負う場合がある。

  • 特定の生成AIを用いた場合、侵害物が高頻度で生成される状況では、事業者が侵害主体と評価される可能性が高まる。

  • 事業者が生成AIが既存の著作物の類似物を生成する蓋然性を認識していても、防止措置を取らない場合、事業者が侵害主体と評価される可能性が高まる。

  • 事業者が防止措置を取っている場合、事業者が侵害主体と評価される可能性は低くなる。

  • AI利用者が意図して侵害物の生成を指示した場合でも、事業者が適切な措置を施していれば、事業者が侵害主体と評価される可能性は低くなる​​。

生成AIに対する指示の具体性とAI生成物の著作物性との関係(生成・利用段階)

「生成AIに対する指示の具体性とAI生成物の著作物性との関係」についての要点とポイントは、AI利用者が生成AIへの具体的な指示をどのように与えるかが、生成された作品の著作物性にどのように影響するかについてです。以下に要点とポイントをまとめます。

要点

生成AIに対する指示の具体性とその生成物の著作物性の関係は、著作権法上の従来の解釈および共同著作物に関する既存の裁判例に基づく考え方と同様です。指示が創作的表現に至らず、アイデアにとどまる場合、AI生成物に著作物性は認められないとされます。AI生成物の著作物性は、創作的寄与が認められるかどうかに基づいて個別具体的に判断されます​​。

ポイントを箇条書き

  • AIに対する具体的な指示が、創作的表現に至らないアイデアに留まる場合、生成物に著作物性は認められない。

  • AI生成物の著作物性の判断は、創作的寄与の有無に基づき、個々の生成物ごとに行われる。

  • 創作的寄与を評価するための要素としては、指示・入力の分量・内容、生成の試行回数、複数の生成物からの選択がある。

    • 詳細な創作的表現を示す具体的な指示は、創作的寄与があると評価される可能性を高める。

    • 生成物の試行回数自体は創作的寄与に影響しないが、試行を繰り返しながら指示・入力を修正する行為は著作物性を持つ可能性がある。

    • 選択行為自体は創作的寄与に影響しないが、創作性があると考えられる行為の一部としての選択行為は考慮する必要がある。

  • 人間がAI生成物に創作的表現といえる加筆・修正を加えた場合、その部分には通常著作物性が認められる​​。

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