しないしないしない
カーン。カーン。カーン。キーン。
何処かから、工事現場の足場を作るためにハンマーで金属を叩くような甲高い音が頭の中に響いて仕方がない。うるさい、五月蝿い、煩い、うるさい。
ガヤガヤ、ガヤガヤ。コツコツ、コツコツ。
遠くの方から雑踏のようなざわめく声が雨雲かのようにゆっくりと近づいてくる。だめだ、飲まれちゃう、早く逃げなきゃ。どこへ?どこまで?どうして?なぜ?
カンカンカン。ガタンゴトン。ガタンゴトン。
踏切の音、減速することなく通り過ぎる電車。この場所はどこなのだろう。なんのために?どうして?
あぁ、うるさい。煩くて仕方がない。耳傾ければ聞こえるほどの女たちの噂話も、豪雨のように降り注ぐ男の罵声も。劈くような赤子の鳴き声も。
嬉しいと思った?喜ぶとでも?みんな殺してやりたい。みんな、みんな。
早く真っ暗で何も見えない、なにもきこえない安らかな眠りにつかせて。お願い。