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ペロブスカイトって何?

エネルギー問題を解決し脱炭素社会を実現するため、再生可能エネルギーの活用が加速している。従来型の「シリコン」を用いた太陽電池は、発電効率が天候に左右され、曇りや雨の日に発電量が大幅に落ちるという弱点がある。「ペロブスカイト太陽電池」は、室内の弱い光でも発電することができ、薄くて軽いため様々な場所に設置することが可能で、世界中の企業が実用化に向けた開発にしのぎを削っている。

太陽電池は半導体素子の一種で、光を吸収すると電子(マイナスの電荷を帯びている)と正孔(プラスの電荷を帯びている)が生まれ、それらが別々の電極に移動することで発電する。電子や正孔の移動距離が長いと、電極まで到達できず損失になる。シリコン系の太陽電池パネルは、薄くすることに限界があり、電子や正孔は長い距離を移動しなければならない。それに対して、ペロブスカイト太陽電池は、0.1マイクロメートルの厚さでも使えるため損失が少なく、太陽光の500分の1程度の室内の照明でも発電できる。また、曲げられるフィルム状の太陽電池を作ることで、いろいろな場所に使える。自動車メーカーは車体に、建設会社では建物に貼り付けて発電するなど、様々な業界で構想が練られている。

ペロブスカイト太陽電池の生みの親は、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授。ペロブスカイトは自然界にある鉱石で、人工的に作ったものが超電導体やLEDなどに使われている。ペロブスカイトの特性を調べていた研究室の大学院生・小島陽広さんが、宮坂さんと相談して実験を開始。ペロブスカイトが発電すると分かり、2009年に論文を発表したが、光電変換効率が低かったため、研究者からの反応はほとんどなかった。ペロブスカイト太陽電池に関心を持った海外の研究者が、電解液を固体材料に変える研究を始め、3%だった変換効率を10%を超えるレベルに引き上げた。その成果がサイエンス誌で発表され、ペロブスカイト太陽電池は注目される存在になった。そして、世界中で研究が重ねられ、変換効率は25%を超えた。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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