ムラハシ「面白いものをいっぱい聞いて…、死にたい（笑）。」
早津・写真 創価大学落語研究会所属。大学のゼミでピンネタを披露させられるもそこそこ滑り、同級生と気まずくなる。
渡邉・筆者 帝京大学お笑いサークルア☆テンション所属。留年するかどうか2/27に判明する。
湯澤・撮影者 帝京大学お笑いサークルア☆テンション所属。ライブ行き過ぎて、知らないユニットについて聞けば誰のコンビか教えてくれる。
落研の好きな先輩だという「シリアルナンバー」さん
２年生が全盛期
渡邉 「ムラハシ」はいつ始めたの？
早津 １年生の時に「NOROSHIという大会があるから出てみようか」っていう軽いノリで。ハタハタ（漫才）と、同期のコントと組んで、「ピンがいないぞ、ヤバイヤバイ」って話になって、「他にいないならやらして頂きます」って。よくそこで言ったなって。あんな人前が嫌いだったやつが。元々バカリズム好きだったから、あれを出来たらかっこいいなと思って、ピン芸人に憧れがあって。ただ、NOROSHI本番でハタハタは１年生なのに小難しいことやろうとして、大滑り。コントもまあまあ滑って、最後ムラハシが『浦島太郎』ってネタをしたんだけど、結構ウケて。終わった後にエゴサしたら「ムラハシ面白かった」って何人かが呟いてくれたりして「マジか！」って。それ以上にハタハタが滑ったのショックだったけど、ピンやってみようかなって希望が見えた。
渡邉 2年次は？
早津 2年生はほぼコロナで何も活動できず。でも活動できない中で、ネタだけは溜まってて。その年の夏芸会も無くて、コロナが落ち着いてきて学生R-1はあるらしいぞってなって。「あのネタ（『浦島太郎』）試せる！」ってなって、予選出たら1位通過で。「来た〜」って。
渡邉 決勝でも3位だったよね。
早津 でも、これ3位になった理由があると思ってて。当時の予選がZoomだったのよ。ネタやる場所の会場で撮影するんだけど、その配信を見てる人が投票するってシステムだった。俺のネタって爆発しない、ウケ量じゃない面白さのネタみたいな感じだったから、Zoomで評価されたのかなと思って。幸運続きで３位になれた。
渡邉 その時はもう「お笑いやめようかな」は？
早津 完全に無かったね（笑）。
渡邉 結構2年生の時に色々勝ち上がってるよね。ガチプロとかR-1とか。
早津 2年生は幸運だったね。ジャックジャックはガチガチの正統派コント漫才だし、学内でも結構ウケさせて貰ってて。そのウケてる時の動画を学生M-1とかに送ったら上がれたりして。2年生の時があるから今もお笑い続けられてる感じがする。あれが全盛期だったのかもね。逆に３年生は全然駄目だった。３年生の芸会はジャックジャックもハタハタも良くない（得票率）パーセントで…。しかも、同期のえだまめと好奇心とメルが決勝上がって、すげー恥ずかしかったよね。
渡邉 でも、２年生から結果を残してるんだし、落研内で尊敬されてる存在ではあるんじゃないの？
早津 俺以外の同期が決勝上がったりして、後輩とかも「俺なんて同期の引き立て役だと思われてるんじゃないか」とか思っちゃう時期もあった。基本ネガティブなんだよね。しゃーない。
イジメられずにイジられてた
早津 いやー、俺、不遇なんだよ。ずっと。
渡邉 例えば？
早津 ずっと人に下に見られる人生だったから…。いじめられることとかはないけど、みんな優しかったから。
渡邉 でもめっちゃ変な奴とかではないでしょ？
早津 めっちゃ変な奴じゃないけどイジられるから、下に見られてるのよ。
渡邉 勉強とか運動できないとか？
早津 勉強はそこそこできた。運動も、俺剣道部だったし。
渡邉 なんでイジられるんだよ（笑）。
早津 「THE・陰の子」というか。前髪も長かったし。ずっとなんかヘラヘラしてるんだよ俺。お笑いばっか見てたから人付き合いが苦手過ぎて、ずっとヘラヘラしちゃうんだよ。クラスの人気者と喋るときも「へへっ」みたいなスタンスで行っちゃうから。
渡邉 陰キャって「トガリ」と「ただ暗い」やついるけど、どっちだったの？
早津 イジられキャラというか。
渡邉 イジられキャラって実はみんなから好かれてたりしないの？
早津 いや、僕、クラスのカースト一番下なんですよ。クラスの人気者にイジられるけど、普段クラスの人気者にイジられてる奴からも更にイジられるような存在だったからね。
渡邉 そんなことある？（笑）
早津 とりあえずクラスが騒がしかったら、「早津、このクラス沈ませて来て〜」って言われて、俺も「へへっ…、静かにしろよ〜」とか言って、めちゃくちゃそこでウケるとかじゃなくて、裏笑いみたいなのが少し。一番イジられてると思ったのが…、俺のラインスタンプ作られたこと。俺がインフルエンザで休んだときに、クラスの人気者が「早津のスタンプ作ったろうぜ」みたいな話を進めてて、俺が知らないところでスタンプ作りが進められてて。しかもそのスタンプっていうのが、当時の俺のコンプレックス詰め合わせみたいな内容で。これ（画面を見せる）。「おかっぱヘア」「前髪整ってない」「アトピーだから肌荒れてる」「陰キャだからこの喋り方」っていう。
渡邉 これ逆に好かれてるんじゃない？（笑）
早津 そう。本当にイジメじゃなくてイジられなの。本当は嫌だったんだけど、イジられてクラスの立ち位置を確保させてもらってるみたいな感じだったから…、何も言えず…。
渡邉 悲しいなあ（笑）。
早津 大学入ってこの事忘れてたんだけど、最近友達がこのスタンプ送ってきて（トーク履歴見せる）。「おいそのスタンプ使うな」ってTHEイジられキャラのツッコミしてさ。やっぱり当時は全人類にコンプレックス抱いてた。視界に入る全員に「クソ〜」って。ちっちゃい舐められをいっぱいしてるんだよ、俺。
心配性故の予防線
早津 ネタを作る時は発想というか発明というか、まだ誰もやってないの何かな〜と思いながら作っちゃう。奇をてらうというか。やっぱり、どうしても奇をてらいたいって思っちゃうから。あと、奇をてらえば滑っても言い訳できるから（笑）。
渡邉 聞きたくなかったな（笑）。
早津 奇をてらったネタって変なことしてるから、それは受け入れてもらえなかっただけだから。そこはお客さんのキャパシティの問題ということで（笑）。新しいことをやろうとするっていう時点で価値はあるから。これで良いんで俺らはって。うん、ダサいね〜。
渡邉 ピンネタは？
早津 もうピンはコスプレフリップの人になっちゃってるから、コスプレ先行でネタ考えちゃってるな。気にしちゃうのよ。夏芸会とかNOROSHIとかで受け入れてもらったから、「次もそれで行ったほうが良いのかな〜」って気にしいになっちゃったのはある。
渡邉 フリップの一枚一枚の大喜利は思いついたのを溜めとくの？
早津 夏芸会はしばらく活動してなかったから、本当にネタがなくて。ミホークがどんな事を言ったら面白いかなと思って。ONE PIECEのセリフをずらすネタにしようと思ったんだけど、３分行かなくて。予選は「こんな剣士は恥だ」っていう大喜利で歌いながらやるネタをして。ただ歌うところが思いの外ウケなくて。決勝は新ネタ卸そうと思って、考えついた中で本当に大喜利フリップの人を参考にしようと思って、ランダムフリップという結論に至り、それからは毎日大喜利を考えて…、しんどかった…（笑）。溜めてたボケとかもかき集めて…。
渡邉 ムーディ勝山のフリップとかも、学生R-1の時のだもんね。
早津 そうそう。いやぁ〜、恥ずかしいぜ。「こいつ決勝だから、今までの寄せ集めで戦おうとしてるぜ」とか思われてんのかなぁとか思いながら。決勝は（最終決戦）３組残るとかそのモチベじゃない。もう、ただただ滑らないように。
渡邉 元々お笑いやる上でテッペン取ったるぞみたいなモチベではない？
早津 いやぁ、もう、「笑ってください」。そもそもハタハタで尖ったことやってたのも、「俺らはウケるウケないじゃないんで」っていう予防線を張らないと、滑るのがしんどいから。
好きな学生芸人
渡邉 好きな学生芸人とかは？
早津 来た。それ。それめっちゃ喋ろう。ムーニーマンシップ（IOK・OB）見て、学生芸人にこんなに面白い人いるんだと思って。プロにはいない下ネタだから新しい形だし、それにしても完成度が高くて。学生お笑いの頂点みたいなものを見た気がして。その後に好きになったのは、無尽蔵（東大落研OB）かな。
渡邉 全体的に好きな傾向はどんなのなの？
早津 えー、完成度の高い、下ネタ漫才です。
（一同笑い）
早津 キッスエンドラン（IOK・OB）も好きだし。同期のインサイドの芸会のネタも好きだし。下ネタのくせに上品なのって凄く良いというか、粋だなと思って。下ネタ好きは学生お笑いで開拓された。無尽蔵さんの『子供の作り方』とかって、あんな台本綺麗でずっと下ネタという下らないことやって、最高だなって思う。そういうことをしたかったのかもしれない。でも自分ではあんまり下ネタやったことない。
渡邉 それはどうしてなん？
早津 それは…、気にしいだから（笑）。落研メンバーに「こいつ下ネタに手出したな」とか思われるかもしれないと思って。創価落研って正統派が多いんだけど、本当は下ネタやりたいのかもしれない。一回ジャックジャックで下ネタとまでは行かないけど、ちょいカスりぐらいのネタをやったことがあって。でもまだ（下ネタに）振り切れてない、キッスさん、無尽蔵さん、ムーニーマンシップさんに比べたら。その３組の影響が大きいかな。
ムラハシの今後
渡邉 卒業後はどうする予定？
早津 でも…、本当に迷ってるね。親はめちゃめちゃ寛容。多分普通の社会ではやっていけないんだと思われてるから。就活とか無理なんだろうなって思われてるから、（芸人になるのも）受け入れてはくれる。あとは俺自身がどう決めるかなんだけど。俺は…、放送作家で…、ラジオ番組のブースの中で…、色んなハガキ職人の大喜利とか聞きながら…、死にたいのよ。面白いものをいっぱい聞いて…、死にたい（笑）。そうなれたら最高かなと思ってて。
渡邉 そんなに演者志望って訳ではないのね。
早津 人前が嫌だし、人とおしゃべりするのそんなに得意じゃないからさ（笑）。でも、お笑いの話なら喋るのは好き。今日も結構喋れてる（笑）。
渡邉 いやあ、今日はありがとうございました。
早津 いや、最後に創価落研の話させて欲しい。
渡邉 あ、どうぞ。
早津 創価落研をよろしくお願いします。みんな面白いし、みんな、頑張ってるので、よろしくお願いします（笑）。
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