【M1グランプリ2020】のおはなし~M1は止まらない~

【M1グランプリ2020】のおはなしをします。

キーワードは〖ネタ順の妙〗


お時間ゆるすかぎり、どうぞ。

【インディアンス】 ネタ『ヤンキー』
つかみ 6秒/ボケ数 38回/ネタ時間 4.37分
M1史上初の敗者復活枠のトップバッター。敗者復活戦でも高テンション漫才で会場を大いに沸かせていたが勢いそのままで登場し披露した。
つかみの速さ◎ 会場は温まっていない雰囲気が感じ取れたが、テンポの速さテンションの高さ、田淵さんの畳みかけるボケで瞬間湯沸かし器状態となり早い段階でお客さんをパワーで抱きかかえて笑いに引きずりこんだような印象。畳みかけるボケは展開が速いものの見る側が聞き取れる明瞭度の高さとちょうどいい尺の長さを保っており前年よりもテクニック↗を感じた。
ツッコミが一辺倒な部分がある為、大きい笑いにはなるが爆発が出来なかった印象。
【自己採点 89点】
【巨89/富85/塙89/志89/礼90/松90/上93  625点

【東京ホテイソン】 ネタ『謎解き』
つかみ 64秒/ボケ数 12回/ネタ時間 4.15分
M12009でのハライチのごとく新しい漫才スタイルを確立させ会場を沸かせた。ツッコミのスタイルも新しく声色・声量ともに爆発力があった。“アンミカ”や派生した“アンミカドラゴン・・・”などワードチョイスも◎
漫才のスタイル上のためか、つかみ(初笑)までが長い。オール巨人師匠の“ネタ自体が難しい、もっとわかりやすく”という指摘のように、たしかに見る側が追い付けていない部分は感じた。
持論であるがツッコミの理想は、見る側よりも0.数秒程度早く発動させること、かつ見る側が考える言葉よりも1段階面白い言葉にすることだと思っている。今回は、見る側との距離が段々と離れていった印象。もっとわかりやすいネタも多々あるが、準決勝ではかなりのウケ方をしていただけにネタ選びの難しさとあくまで決勝用のネタではなかったのかもしれないと感じさせられた。
【自己採点89点】
【巨86/富91/塙85/志89/礼88/松86/上92  617点

【ニューヨーク】 ネタ『エピソードトーク』
つかみ 7秒/ボケ数 22回/ネタ時間 3.49分
つかみの速さ◎ 時事ネタも盛り込みながら、キャッチコピー同様❝ダーク❞な部分を存分に放出していた。誰もが行ったことがあろう軽犯罪に対して正していくスタイル。比較的ネタ時間は短いが、ストーリー仕立てで、あるあるの要素もある為わかりやすく笑いに繋がりやすかった。
エピソードトークがネタの軸になっている為、展開自体が少なく爆発がなかったのが点数が伸び切らなかった要因か。
【自己採点91点】
【巨83/富93/塙93/志91/礼91/松92/上94  642点

【見取り図】 ネタ『マネージャー』
つかみ 25秒/ボケ数 27回/ネタ時間 4.37分
ワードセンス◎ 複線回収◎  
見取り図さんのストロングポイントでもある森山さんとリリーさんの見た目とは真逆のキャラクターのコントラストも十分に発揮。
早い段階でリリーさんが噛んでしまうシーンがあったが、その後に引きずることなく、反対に展開の多さとワードセンスにより笑いの膨らみが出て、噛んだことを忘れさせるほど爆笑をかっさらった。
後半の畳みかけも十分。この時点でウィークポイントは特に見当たらないが強いて言うならばネタ順が4番手の為、抑え目の得点になったか。
【自己採点94点】
【巨91/富92/塙93/志93/礼93/松91/上95  648点

【おいでやすこが】 ネタ『曲名』
つかみ 10秒/ボケ数 10回/ネタ時間 4.27分
ボケ数は圧倒的に少ないものの、一発目のツッコミの爆発力が超強力で◎
こがけんさんの歌唱力と違う曲に替えるタイミングが抜群であるところも◎
漫才としてはシンプルな作りであり、古典的な漫才のスタイル。シンプルなボケとシンプルなツッコミワードではあるが、今までにないくらいの強力なツッコミな為、新しいスタイルにも見えてしまう。前4組がテクニックで勝負する正統派であったことも爆発の要因か。
歌ネタ自体は爆発させにくいイメージがあったが、あれだけツッコミがパワーで押し切ると圧巻だ。お客さんも途中からはおいでやす小田さんのツッコミを待っている状態になっていた印象。
【自己採点 90点】
【巨92/富93/塙93/志93/礼93/松95/上94  658点

【マヂカルラブリー】 ネタ『フレンチ』
つかみ 0秒/ボケ数 12回/ネタ時間 3.45分
まず決勝に残った時点で上沼さんとの絡みに期待がかかっていた中、せり上がりで土下座で登場した段階で最速のつかみとなり、その時点でお客さんの笑いのハードルが一気に下がった状態となる。畳みかけるように“どうしても笑わせたい人がいる男です”で一気に会場を包み込んだ。
ネタは最終決戦の【吊り革】と直前まで迷っていたらしいが以前敗者復活戦でかけたものをチョイス。フランス料理のマナーをしっかり教わり、おとなしく学んでいる姿が完全な振りとなり最初のボケであるガラスにツッコむボケでは尾を引くように拍手笑いが続いた。ボケの破天荒さが売りではあるが、村上さんのツッコミの声・声のトーン・タイミング・ワードチョイス全てにおいて完璧でボケ自体を後押ししている。
ただ、後半すリすぼみなネタだけにもったいない部分であり、2位通過となった因子かもしれない。
【自己採点 92点】
【巨88/富94/塙94/志90/礼96/松93/上94  649点

【オズワルド】 ネタ『苗字を変えたい』
つかみ 17秒/ボケ数 20回/ネタ時間 4.33分
1つのテーマに対するネタの広げ方◎
ワードセンス◎(ひきにき、雑魚寿司など)
ネタの運び方やスキルは10組中1、2番であるが、今回は後半畳みかけていったが、若干“こっからでギアを上げる感”が無理があった気がする。
ただ、直前2組のパワー漫才とどうしても比較してしまう印象あり、大きい笑いになりにくかったか。
【自己採点 92点】
【巨88/富91/塙95/志93/礼95/松88/上92  642点

【アキナ】 ネタ『楽屋挨拶』
つかみ 30秒/ボケ数 21回/ネタ時間 4.13分
ボケ数も十分でコントへの入り方や表情・ステージの使い方など全てにおいてスキルはピカイチ。ただ、パワー漫才の余韻が残っており、テクニックで対抗しようとするとやっぱり弱くなってしまう印象。
準決勝でトップクラスのウケ方をしていたネタだけに決勝の難しいところ。【自己採点 89点】
【巨89/富88/塙87/志90/礼91/松85/上92  622点

【錦鯉】 ネタ『パチンコ』
つかみ 3秒/ボケ数 24回/ネタ時間 4.21分
つかみの速さ◎ 設定とキャラクターが合っていてネタをするだけで笑いに変換される印象。“レーズンパンは・・”の天丼ではあるが爆発力◎
ただ、ハズレた後に時間が空きすぎている部分がありネタ自体がリセットされてしまっている印象。4分間がぶつ切りになってしまっているといった感じ。ただ、後半組の中で唯一、おいでやすこが・マヂカルラブリーに対抗できたコンビであったように思う。
【自己採点 92点】
【巨87/富92/塙95/志95/礼92/松89/上93  643点

【ウエストランド】 ネタ『不倫がしたい』
つかみ 10秒/ボケ数 21回/ネタ時間 4.06分
ツッコミの言葉の強さ◎ つかみも速く、キャラクター性も高いので笑いに繋がりやすい。ただ、コンビネーションは低いので、爆発や笑いの膨らみは少なくなってしまう印象であり笑いのピークが分かりにくい。
【自己採点 90点】
【巨88/富91/塙85/志86/礼90/松90/上92  622点

〖最終決戦〗 
【見取り図】 ネタ『地元』【自己採点 94点】

【マヂカルラブリー】 ネタ『吊り革』【自己採点 95点】

【おいでやすこが】 ネタ『ハッピーバースデイ』【自己採点 96点】

〖総評〗
今大会の印象としてネタ順が明暗を分けた大会になったと思う。
インディアンスさん・ニューヨークさん・オズワルドさん・アキナさんは特に順番による影響を多大に受けた印象を受けた。再度、笑神籤を引き直したら全く違った結果になっているとも思うくらいネタ順の妙があったと思う。それだけ前年にも増してレベルの高かった大会だった。
おいでやすこがさんとマヂカルラブリーは爆発力が高く、特においでやすこがさんはパワーで押し切る形のスタイルではあるが、ツッコミの聞き心地が良く、会場がそのツッコミを待っている状態にさせたのが最終決戦に1位通過で残った要因でもあると思う。
反対にテクニックで勝負する見取り図さん・オズワルドさん・アキナさんに関してはもの足りなさを感じてしまうほどの空気感となっており、お客さんが付いていきにくくなっていた印象。
最終決戦では、どの組が優勝してもおかしくない出来であった。
これこそネタ順の妙であり、最終的に最終ジャッジ時の印象度が大きく判定を分けたのではないかと思う。
おつかれさまでした、マヂカルラブリーさんおめでとう!!

【おまけ】
M1グランプリ2020 今大会での注目コンビ
①真空ジェシカ(人力舎)  
②カナメストーン(マセキ) 
③風穴あけるズ(松竹)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?