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第2回ヴィクトリア・スマイル 決勝大会

2024年5月13日に開催された「第2回ヴィクトリア・スマイル」決勝大会。
この大会は毎月開催しているネタと大喜利で競うバトルライブ「ストイック女子」のチャンピオン大会的な位置づけの大会です。
前回の第1回は14組が参加し、見事、大吟嬢さんが初代女王に輝きました。
今回はその2回目。
今回は厳選された10組が決勝大会にコマを進めました。

ファイナリストはこの10組!

【ファイナリスト(50音順)】
※MSLは「モストストイックレディ(最優秀賞)」の略
☆ウメ (第14回MSL、第18回MSL、ネタ女王3回、大喜利女王1回)
☆おかか時代 (最終予選3位)
☆承子クラーケン (第19回MSL、ネタ女王1回、大喜利女王1回)
☆センス爆発女 (最終予選2位、ネタ女王1回、大喜利女王1回)
☆坊あかね (第13回MSL、ネタ女王1回、大喜利女王1回)
☆マミモンシンテターゼ (最終予選4位)※繰り上げ出場
☆マリア (第20回MSL、ネタ女王1回、大喜利女王1回<イーちゃん>)
☆瑞香理保 (第16回MSL)
☆もじゃ (第15回MSL、ネタ女王2回)
☆レモンコマドリ (第17回MSL、ネタ女王1回)

なお、最終予選1位の森林子さんはスケジュールの都合で欠場。
また坊あかねさんは当日都合により欠場となり、当日は9組での争いとなりました。

決勝大会のルールは以下の通り。

☆審査方法
 ネタ点+大喜利点の合計により決定

《ネタ》
・審査員4名×100点満点で審査
・お客様は面白かった3組に投票(男性各1点/女性各3点)

《大喜利》
・2ブロックにわかれ大喜利
・両ブロックを通じ良かった3組に投票(審査員各5点/お客様各1点)

そして決勝の審査員を務めていただいたのは、前回と同じくこちらの4名。
☆元木すみお氏(演芸作家、元M-1、R-1予選審査員)
☆山田浩康氏(演芸作家、「笑点」作家)
☆ギャバホイさん(芸人、R-1ぐらんぷり2012、2018セミファイナリスト)
☆フジヤマ(演芸作家、あらかわ☆お笑い河川敷プロジェクト主催)

元木すみお先生は、知る人ぞ知る東京演芸作家界の第一人者。
旧M-1(2010年まで)では決勝の8組を決める準決勝の審査員を務め、
R-1ではなんと第1回の決勝の審査員も務められています。
※M-1創設者の谷さんの書籍でも第1回大会の予選審査員として名前が出ていました。
古くは「笑ってる場合ですよ」や「テレビ演芸」、最近でもNHKの新春演芸番組の作家を担当されており、ネタもおぼん・こぼん師匠をはじめ、漫才協会や寄席で古くから活躍されている芸人さんのネタを書いておられました。
その他吉本新喜劇の台本や、テレビ・ラジオドラマ・舞台の脚本、はたまたディズニーランドのジャングルクルーズの台本など多岐に渡って活動されています。

山田浩康さんは、数々の漫才や落語の台本コンクールで賞を受賞され、現在は日本テレビ「笑点」や、テレビ東京の新春演芸番組などの作家をされています。あと本人はあまり語られませんが、父親はあのルパン三世の声優をされていた山田康雄さんです。(Wikipediaには載っています)
ちなみに山田さんも含め、あらかわ☆お笑い河川敷プロジェクトの作家陣は全員元木先生の門下生です。

そんなお二方とあらかわのライブではおなじみのギャバホイさん。そして私フジヤマが審査員を担当いたしました。
普段は終始ゆるい雰囲気が漂っているあらかわのライブですが、この大会は若干ピリッとした緊張感があり、出演される皆様はどう感じているかわかりませんが、たまにはこういう本気な感じも良いのかなと思っています。

MCは前回大会で初代女王に輝いた大吟嬢さんとテラシマニアックさん。
ストイック女子でもMCをお願いしている盤石の布陣。
プレミア観覧ゲストもストイック女子同様、香衣さんにお願いいたしました。
ちなみに今回前説兼アシスタントとして、まみわさんにもご参加いただきました。一応リザーバーとしての役割もあったので、当日欠場の坊あかねさんの代わりに出場いただいても良かったのですが、以前、おせつときょうたさんが支配人を務めるライブ「GENSEN!」でも前説を務めていただき、それがとても良かったので、こちらの意向で今回は前説に専念いただきました。

オープニングが終わりネタブロック。
なおネタ順は今回も前回同様、ライブ前に、出演者の皆様に自分が出たい出番順を選ぶ方式で行いました。
※ネタ順選びの模様はこちらから

決まったネタ順は以下の通り
①マミモンシンテターゼ
②レモンコマドリ
③センス爆発女
④ウメ
⑤おかか時代
⑥もじゃ
⑦承子クラーケン
⑧瑞香理保
⑨マリア

ちなみに前回大会は、トリだった大吟嬢さんが優勝、トップ出番だったターリーターキーさんが2位という結果でした。
なおこの大会はトップ出番にはハンディとして+10点というアドバンテージを与えています。このあたりもネタ順選びの駆け引きの一つとなりますが、今回は最後のほうまで残って8番目に順番を決めたマミモンシンテターゼさんがトップ出番となりました。

以下、出番順に簡単にコメントを。

①マミモンシンテターゼ
あらかわライブには月2~3本出演いただき、おなじみのマミモンシンテターゼさん。普段はどちらかというとヘラヘラ口調でゆるふわな感じのネタが多く、それがマミモンさんの魅力でもあるのですが、今回は比較的シリアスな演技から入り、しっかりとしたコントを披露いただいた印象でした。
元木先生がコメントで「出番順がもっと後だったらもっとウケていた」とおっしゃっていましたが、やや出番順不利があったものの、しっかりとトップバッターとしての役目を果たしていただいたのではないかと思います。

②レモンコマドリ
こちらは東京では数少ないしゃべくりを基調とした女性漫才コンビ。見た目とキャラクターのコントラストが素晴らしいコンビで、あらかわライブでも若手の中で競えば常に上位にランクインする安定した実力の持ち主です。
ネタ順選びでは早い段階でこの2番手を選び、その意図は計りかねますが、山田さんのコメントでは「前年と比べて伝わりやすくなっている」「しっかり間を取っても観ていられる」という評価がありました。

③センス爆発女
長らくフリップネタを披露されていたセン爆さんですが、今回はフリップではなくコントを披露いただきました。フリップではその独特の世界観が、高い画力のフリップと、見事な声の使い分けによって表現されていましたが、今回のコントでは絵ではなくセン爆さん本人に視線が集まる分、センス爆発女さんという人間の魅力がより引き立てられていたような気がします。

④ウメ
ウメさんといえば、17年前にR-1でファイナリストになられていて、その当時予選の審査員をされていた元木先生も、その当時の「紙コント」は強く印象に残っているとのことでしたが、今回は一人で何役も演じる落語風一人コント(というのでしょうか)でした。ライブでもコメントさせていただきましたが、テーマ選びも素晴らしくそれにより奥行きのあるコントが展開され、会場のコンサートサロンという場も手伝って、とても重厚な一人芝居を観ているようで、且つ笑えるという素晴らしいコントだったと思います

⑤おかか時代
一応まだ名義はアマチュアということになるのでしょうか。あらかわのライブには何度となく出演いただき、ほぼプロ扱いしておりますが、今回はいい意味でアマチュア感がはじけた勢いのある漫才を披露いただきました。
初見だった元木先生と山田さんは圧倒されたようで、「笑わずにはいられない」「見れば見るほどクセになる」と評しておられました。

ここでネタブロックの前半が終了し、審査員のコメントの時間となりましたが、前回は元木先生が「ホメ出し」だと言っているのに「ダメ出し」と「セクハラ発言(?)」を多々されていたので、念のため、元木先生がどんな発言をされてもいいように、ギャバホイさんに最後に温かく包んでいただこうということで、元木先生→ギャバホイさんの順番でコメントをいただきました。
ただ今回は元木先生は、特に「ダメ出し」もなく「ホメ出し」をされていたので、若干拍子抜け(笑)。あとで伺ったところ、前年よりも皆さんのレベルが上がっていたので、良いところが目立ったとのことでした。

続いてネタブロック・後半戦。
大吟嬢さんに「普通のライブではあり得ない」と言わしめた、もじゃさん→承子クラーケンさんの並びでスタートしました。

⑥もじゃ
前回大会では元木先生に「君に最高得点をつけた」と言われ、優勝かと思っていたら結果9位という結果に終わったもじゃさん。今回はその雪辱なるかという戦いでした。
毎度ながら登場時からインパクトの強いネタを披露。そのキャラクターもさることながら、そことそこを結びつけるか!という目からウロコのネタで、会場の笑いをさらっていました。

⑦承子クラーケン
髪型も変わってより「お笑いソルジャー」感の増した承子クラーケンさん。
毎度おなじみのパワー系ながらも、時に繊細で、細部までぬかりない“短めオモシロ”の連発で、こちらももじゃさんのインパクトに負けない印象を残していました。

⑧瑞香理保
前回は並み居る先輩芸人がひしめく中、3位という好成績だった瑞香理保さん。今回も熾烈な月次の予選を勝ち抜いて堂々の決勝大会進出。
冒頭独特のキャラクターで皆をひきつけ、内容も構成がしっかりしたコント。アマチュア時代からあらかわのライブに出演いただいていますが、事務所にも所属し、プロになったなと感じさせるコントでした。

⑨マリア
出番順決め予備抽選で1番を引き当て、自らトリを選んだマリアさん。
漫才協会の漫才新人大賞を獲るなど、実力派女流漫才師というイメージでしたが、今回はまさかのコントを披露。しかしながら、漫才でも垣間見える会話の上手さとテンポの良さ。言葉と人(ニン)の伝え方は漫才同様天下一品。終盤の自虐畳みかけも素晴らしく、元木先生はフライングで「最高点をつけた」とおっしゃっていましたが、マリアさんはもじゃさんの二の舞かと恐れられていました(笑)
ちなみにマリアさんが漫才新人大賞を獲った時、審査員を務められていたのが山田さんです。

以上がネタブロック。
審査は4人の審査員が100点満点で採点。その合計にプレミア観覧ゲストの香衣さんを含むお客様投票の点数を加えたものがネタ部門の点数となります。なお毎度MCの大吟嬢五島さんが引っかかる、男性は1票1点、女性は1票3点というルール、最近はジェンダーという話も良く出てきますが、現実問題として、女性芸人の最高峰の大会「THE W」では、決勝の観覧客(たぶん番組観覧のエキストラだとは思いますが)は女性ですし、準決勝でもおそらく招待されている女性エキストラがいるようなので、同姓のシビアな目で観ても笑いを獲れる方、票を獲れる方が真の実力者であるという観点で、女性のお客様の点数を高くしています。

ネタブロックと大喜利ブロックの間に、審査員も務めていただいたギャバホイさんのネタと、前年女王・大吟嬢さんがネタ披露。審査とは関係ありませんが、元木先生は大吟嬢さんのネタを絶賛されていました。さすがは前年女王。ギャバホイさんもショートコントではない新たなスタイルに挑戦されているで、そちらもぜひご覧いただきたいです。

そして大喜利ブロック。こちらは2ブロックに分かれて各2問ずつ大喜利を回答。ブロック分けはネタ順を参考に、偶数出番だった方がAブロック、奇数出番だった方がBブロックに振り分けられ、審査員とお客様は両ブロックを通じて面白かった3組に投票するという形式で行いました。なおこちらは審査員+テラシマニアックさんが+5点、お客様は+1点として点数計上しました。
なおお題については公正を期すため、各ブロックごとに出演者に番号を選んでもらって決定する方式を取りましたが、今回はややこの問題運というのもあったかなと個人的には思います。でもどんな賞レースでも「運」を味方につけたものが頂点を獲れると思うので、運を持っているかどうか、そしてその運を味方につけられるかどうか。それも大事な要素になってきます。
でも一つ言えることは、「運だけでは勝てない」ということ。
今回の審査結果もそれがわかるような結果となりました。

ということで最終結果発表。
ライブでは3位からの発表となりましたが、3位となったのは「承子クラーケン」さん。実はネタ部門は大接戦の末、承子さんが1位。大喜利でも着実に点数は伸ばしていたのですが、惜しくも3位という結果になりました。

そして2位は「マリア」さん。
出番順トリということもありましたが、安定したネタと、大喜利でも存在感を見せつけ、初出場ながら堂々の2位を獲得されました。

そして見事二代目女王に輝いたのは・・・

「ウメ」さん!
ネタ部門では承子さんに3点差の3位でしたが、大喜利では審査員とお客様の全員が投票するという無双状態で、見事栄冠を勝ち取りました。
まだ女性芸人が今ほど多くなかった時代にR-1ぐらんぷりで決勝まで進み、その後も着実に実績を積まれ、この大会の予選にあたる「ストイック女子」でも、今期唯一、最優秀にあたるMSL(モストストイックレディ)を2回獲得。前年から通してもネタ女王に3回、大喜利女王に3回輝かれているウメさん。実力と実績は申し分ないウメさんの優勝は今思えば必然だったのかもしれません。

とはいえ今回は本当に2位以下も僅差の大混戦。
前年も審査員を務めていただいていた元木先生と山田さんも、出場者の皆さんの成長とレベルの高さをホメていらっしゃいました。
私自身も日々のライブで皆さまの細かな成長を実感はしていますが、こうした1年に1回の機会があるとそれがよりクリアに感じられて良いなと思いました。

そして今回出場いただいた皆様、審査員を務めていただいた元木先生、山田さん、ギャバホイさん、MCを務めていただいた大吟嬢さん、テラシマニアックさん、プレミア観覧ゲストの香衣さん、前説兼アシスタントを務めていただいたまみわさん、あとお手伝いをしてくださった山嵜のおっさん他スタッフの皆様、そして来場いただいたお客様、全ての皆様に感謝をいたします。
ありがとうございました。

このヴィクトリア・スマイル、そしてストイック女子はこれからも可能な限り続けていきたいと思います。この環境が、女性芸人の皆様のほんのわずかでも向上のきっかけになれば幸いです。

最後に、今回の審査結果を公開いたします。
拡散されやすいXでは上位の方のみ掲載していますが、こちらはこれまでの文章を読んでいただいて、たとえ最下位の方であっても、ちゃんとここまで勝ち残り、出番順の運不運はあれど、しっかりネタを披露されたということを知っていただいているという前提の上での公開です。
ちなみに各審査員の個別の点数までは掲載しておりませんが、今回は4人が4人とも別の方に最高得点をつけています。その結果審査員票だけで言えば、3人が同点1位という現象が起きました。
ということで今回はお客様投票と大喜利での結果も大いに結果に影響しています。もちろんそれぞれに好みはあるかと思いますが、審査としてはかなり公正な結果だったのではないかなと思います。
出演者の皆様には、こちらをご覧いただくことで、ご自身の課題や目標を見つける一助になれば幸いです。その上でもっと細かく内訳を知りたい方は、フジヤマまでご一報ください。


【第2回ヴィクトリア・スマイル 決勝大会】結果

☆女王 383点 ウメ(審査員346点+男性1点+女性9点+大喜利27点)
★2位 375点 マリア(審346+男性2+女性9+大喜利18)
★3位 371点 承子クラーケン(審346+男性1+女性12+大喜利12)
・4位 363点 もじゃ(審344+男性1+女性9+大喜利9)
・5位 355点 センス爆発女(審345+男性2+女性3+大喜利5)
・6位 345点 瑞香理保(審330+男性2+女性6+大喜利7)
・6位 345点 レモンコマドリ(審326+男性3+女性6+大喜利10)
・8位 337点 おかか時代(審335+男性2+女性0+大喜利0)
・9位 310点 マミモンシンテターゼ(審297+ハンデ10+男性1+女性0+大喜利2) 



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