THE SECOND 2024 グランプリファイナル感想

結成16年以上の漫才師達によるお笑い賞レース、THE SECOND。第2回はガクテンソクの優勝で幕を閉じた。今回のnoteでは、そんなTHE SECONDグランプリファイナルについての感想を書いていこうと思う。

オープニング

今年はギャロップのオープニングアクトで開幕。2人のニンがしっかり出ている漫才で面白かった。今年のオープニングVは昨年を踏襲した形。そして、ハイパーゼネラルマネージャーの有田が賞レースにいることはもちろん、東野や華大と共演しているのが新鮮。

準々決勝

第一試合
ハンジロウVS金属バット

ハンジロウ

和田アキ子の髪型で掴んだ後、元嫁カフェという設定でコントイン。元嫁カフェは非常に素晴らしい設定。全くアドリブが効かないという下りも面白かったので、もっとウケても良いのになと思った。一方、6分のネタに縫い目が見えてしまっていたのが少し残念。

金属バット

こちらはあいみょんで掴む。交通安全かるたのあ、「あっかん、ポリおる」で爆発を起こした瞬間、金属バットの流れになったと感じた。そして、藤本元夫妻いじりで勝負あり。その他のボケも柄の悪い関西弁を駆使し、らしさを存分に出していて面白かった。

この試合は271-291で金属バットが勝利。ウケ的には妥当な結果だと感じた。また、金属もハンジロウも、1点0人だったことは十分に誇って良いことだと思う。

第二試合
ラフ次元VSガクテンソク

ラフ次元

そっちがツッコミなんや。相方の知らない秘密がどんどん明らかになるという設定。ラフ次元というコンビの入り口にうってつけので、練られた内容のネタだと思った。個人的には、ほっこり農業レベルのボケやツッコミが後半にもう一発あればなお良かったかな。

ガクテンソク

まず、東京進出ではなく転勤という理論が面白い。奥田が屁理屈的正論をかます形から、後半はよじょうのボケに対して、奥田のお笑い力の高さがうかがえるツッコミがビシバシ決まるのが痛快で面白かった。個人的には、2こづつぶんという言葉の違いを指摘する下りが好きだった。

この試合は255-288でガクテンソクが勝利。個人的にはラフ次元の点数が思ったよりも低いなと感じた。97番の方のコメントが素晴らしかった。

第三試合
ななまがりVSタモンズ

ななまがり

掴み進化し過ぎやって。森下が演じる架空キャラの特徴からお笑いの足腰の強さを感じることができる。その一方でM-1末期からの懸念点である、漫才としては受け入れられづらいスタイルという弱点が全く改善されていなかったのがアキレス腱になったのだろう。

タモンズ

ここもそっちがツッコミなんや。最初はちょっと厳しい戦いになるかなと感じたが、漫才の中で安部のキャラクターが浸透していくにつれて尻上がりに面白くなっていった。腹出されて「やめてよぉ!」が面白いというのは誇るべき才能。

この試合は、268-269でタモンズが1点差で勝利。個人的には、4分だったらななまがりの勝利だったと思う。6分の使い方というザセカンド独自の要素でタモンズが勝ったという印象。

第四試合
タイムマシーン3号VSザ・パンチ

タイムマシーン3号

安定感が素晴らしい。ベタなボケやメタなボケを上手に使って笑いをもぎ取るタイムマシーン本来の戦い方。男子走らず棒持たず高跳ばずを始めとしたデブボケのクオリティが非常に高くて面白かった。一点だけ言うならば、突き抜けた笑いがあれば完璧だった。

ザ・パンチ

あの頃と全然違うスタイルで勝負。ボケの質がめちゃくちゃ高い訳ではないのかもしれないが、寄席で鍛えた技術力で爆発的な笑いを何度もとっていて面白かった。雷親父というネタの本筋以外の部分で笑いが取れるのはザセカンドに向いていると感じた。

この試合は273-284でザ・パンチが勝利。タモンズVSザ・パンチの対戦が決定した瞬間、東野が日テレに喧嘩売り始めたのが面白すぎる。

準決勝

第一試合
ガクテンソクVS金属バット

ガクテンソク

指輪3ヶ月分や根拠のない自信などの言い間違えボケの質や、タウリン1000mg配合かというツッコミの質が高いのはもちろん、テンポも良く理想的な笑いが起こる漫才で非常に面白かった。ただ、よじょうの方が漢字の由来に強いことは少しだけ違和感があった。

金属バット

なんかという言葉をきっかけにした天丼軸にしたネタ。霜降りANNのカウスいじりみたいな○○は漫才構文が面白かった。髪型漫才などの爆発ポイントを作り、キツい言葉を使って笑いを取るのが凄いと思ったが、1本目と比べると少し粗が見えたのが残念だった。

この試合は、283-273でガクテンソクが勝利。まぁ妥当かなと。

第二試合
タモンズVSザ・パンチ

タモンズ

内容に一本筋が通っていた点や、安部のキャラクターを理解したこともあってか、1本目よりも面白いと思った。1つ1つの下りでも確実に笑いをもぎ取っていたし。ただ、ザ・パンチに勝つにはパンチ力が足りなかったのかなという印象を持った。

ザ・パンチ

パンチ浜崎が大江豊にそっくりという一撃を2本目に残してたのが巧み。それだけでなく泉から出て来たジャイアンでもう一爆発を起こした時点で勝負あり。ただ、1本目に比べると、ネタの本筋のボケが弱くなってしまっているというのは感じた。

この試合は、264-278でザ・パンチの勝利。ザ・パンチが1点4人でタモンズが1点0人なのにこの点差でザ・パンチが勝つの凄い。結果発表前に東野が浜崎の顔をバインダーでしばいたのが面白かった。

決勝
ザ・パンチVSガクテンソク

ザ・パンチ

それまで封印していた伝家の宝刀を決勝戦でついに解禁。面白かっただけでなく、なぜか感動までしそうになった。その一方で、ネタの本筋のボケは2本目よりもさらに劣化。昨年のマシンガンズを彷彿とさせるほどのガス欠ぶりだったように思った。

ガクテンソク

M-1ラストイヤーの敗者復活戦ネタ。その時はそれほど印象に残らなかったが、6分になったことでネタの魅力が存分に出てたように感じた。醤油の回収は分かっていても面白い。個人的には、元SMAPと基礎から→じゃあ概念からいきましょうが好みだった。

この試合、まずザ・パンチは243点。昨年のマシンガンズを下回る圧倒的低得点を叩き出すの持ってるなぁ。そして、ガクテンソクが294点と史上最高得点を叩き出して見事2代目王者に輝いた。
最後、奥田が「何者かになれたんですけど、漫才辞めません」と宣言。この一言に漫才のがいかに素晴らしいものなのかが表れているように思った。

有田・華大のコメント

今回、ハイパーゼネラルマネージャーをくりぃむしちゅー有田哲平が、スペシャルサポーターを博多華丸・大吉がそれぞれ務めたが、2組ともセカンドチャンスをものにしたという点での起用なのが、この大会が信頼できる要素の1つである。
また、各人のコメントについて。
まず、有田は時に真面目に、時にウケを狙い、ラストは優勝者を中心に全体を労っていた印象。有田が賞レースの舞台に参加するという光景を見れて嬉しかった。
大吉先生は、M-1の審査員を務めていることもあってか、プロの目線で独自のコメント。こういうコメントをする人が一人いることで、感想に厚みが出る。
そして、華丸はタモンズVSザ・パンチ戦での新年会VS忘年会というコメントを始め、大会を楽しんでいるおじさんっぽさに溢れたコメントの数々が素晴らしかった。大吉先生と対極のコメントを残してくれる人もザセカンドには欠かせないだろう。
アンバサダーが芸能界に復帰するかどうかは分からないが、復帰したとしても、ザセカンドは来年以降もこの3人の続投で良いと個人的に思う。

放送時間

総合演出の日置氏のnoteを読んで、今大会の放送時間が3時間になる可能性もあったという裏話を知った。大会終了後、SNS等の感想で、番組としてのテンポが悪いや放送時間が長いという意見を目にしたが、個人的にはこの大会の適正時間は、ネタ時間やルールの変更がなければ4時間10分だと思う。
そう思った理由の1つは、賞レースにおけるネタ時間は、全体の3割で良いという持論を持っているからである。ちなみに、THE SECONDグランプリファイナルのネタ時間は1本6分。これが14本あるので、合計は84分になる。(ギャロップのオープニングアクトを除く)また、放送時間は4時間10分(250分)。放送時間におけるネタ時間の割合は、33.6%になる。ザセカンドはタイマントーナメント方式なのでネタの感想は2組終了後に述べる形であるため、30%を少し上回るのは十分に許容範囲である。
ちなみに、R-1 2024のネタ時間は1本4分、ネタ本数は12本なので合計48分。また、放送時間は144分なので、ネタ時間割合は33.3%。
続いて、M-1 2023のネタ時間はR-1同様1本4分、ネタ本数は12本なので合計52分。これに対して放送時間は220分なので、ネタ時間割合は23.6%。オープニングが長いというのも一因ではあるのだろうが、M-1は、ネタ時間に比べて放送時間が長すぎると思う。
そんなM-1と真逆なのがKOC。KOC 2023のネタ時間は1本5分、ネタ本数はM-1同様13本なので合計65分。これに対して放送時間は174分なので、ネタ時間割合は37.4%。これは、ブロックトーナメント制のTHE Wよりも高いネタ時間割合である。※THE W 2023は34.5%。(60/174)また、もしもKOCのネタ時間を変更せず、放送時間を30分拡大させたとした場合、ネタ時間割合は31.8%になる。
結論としては、THE SECONDの放送時間は3時間では短いということ、それに加え、M-1はちょっと長いのかな?ということと、KOCは短いので30分拡大してほしいということである。KOCについてさらに具体的に言うと、今大会での審査員変更は避けられないと思われる。人数が5人のままだろうと7人に増えようと、現在の審査員はきちんとコメントできる人たちばかりなので、放送時間を拡大して審査員のコメントをもっとじっくり聞かせてほしい。6時半から3時間半の放送枠があれば、それが完璧に出来るだろうし、それだけでなく放送時間に余裕を持つことも出来るだろう。

総括

個人的なことなのだが、このTHE SECOND2024は、飲酒しながら視聴した初めての賞レースであった。飲酒しながらネタを見ると面白さを理解しきれないかもしれないと思っていたが、案外変化はなかった。
そして、昨年、今年のグランプリファイナルを見て思ったこととしては、ベテラン漫才師が主役であり、ベテラン漫才師ファーストの大会であるということである。だが、正直今大会は、大会としてのドラマチックな展開は昨年よりも少なかったように感じた。M-1はM-1という大会存在自体がドラマを作りだしている面があるが、THE SECONDはあくまでもベテラン漫才師の生きざまがドラマを作りだしている。そういう意味では、良くも悪くもM-1よりもガチンコ的側面が強い。出場者であるベテラン漫才師達の魅力をここまで引き出す大会が、ゴールデンタイムに放送できていることは一お笑いファンとしてとても幸せなことだと思った。
来年のTHE SECONDも、今年のような素晴らしい大会になることを期待したいと思う。

最後に

ガクテンソク!
優勝おめでとう!


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